スカジャン絵師 横地広海知さんと、「スカジャン」発祥の地、神奈川県横須賀市にあるドブ板通りでスカジャンに込められた思い、ファッションとしての可能性などその奥深い魅力に迫ります。スカジャンをこよなく愛し、研究している横地さんだからこその目線で文化、歴史を交えてスカジャンの魅力を語っていただきました。
「柄は魔法。柄を身に纏う」スカジャンにはストーリーがある
横地さん:柄には魔法や魔術があると思っています。そもそも糸目って魔力的な力が備わるとされているんです。糸を縫ってお守りにしたりとかありますよね。「刺繍文化=祈り=神聖」なものという考えがあって、黙々とやる作業なので感情が宿ると思うんです。そうして作られたものを貰うのって感じるものが特別にあると思うんです。
手間を掛けるって行為は、神聖なことに繋がっているんですよ。寺社仏閣文化にも繋がっていることだと思うんですが、神社やお寺にはものすごい時間をかけて育った木や、その木を手間暇かけて加工さたものが使われています。
木が重宝される理由のひとつには、「費やされた年月」というものがあって、それらが何層にも積み重ねて構築されているからこそ神々しさを感じるんだと思います。「費やされた年月」「積み重ね」、それは祈りに等しいことなんですよね。
スカジャンは、職人たちによって手間をかけて作られるものです。スカジャンの刺繍も何万針と縫ってあるわけですから、それだけ格別な「想い」が込められる、伝わっていくと思うんですよ。
前回までのスカジャンと横地さんへのインタビュー記事はこちら!
スカジャンの研究「文様と刺繍の力」
横地さん:「文様」にもそれぞれに固有の意味を持っています。スカジャンは文様と刺繍が組み合わさっています。ですから「着物の織り文化」に通じるような、「刺繍で縫いこんでいく柄」には力があるんですよ。
文様と柄ひとつひとつに意味がある。それを纏うということは、自分を守ることにも通じていくことだと思います。
一番それを楽しめるのはオーダーで自分の好きな柄を入れることですよね。干支でも星座でも自分のアイデンティティとなるものを身につける、ということでスカジャンが勝負服になると思うんです。そういったスカジャンの本来の楽しみ方も大切にしていきたいです。
柄の研究もしています。例えば、ペルシャから始まる唐草模様。元々は結婚式のときなどの着物の柄としても好まれていました。これには連続性や、鉄線花というツルの強い花の「パートナー同士の結び付きを強める」という意味があります。
現代でも、2つをつなげるとハートになるような唐草模様が作られたりと、柄には様々な意味を込めることができます。細かいところにもこだわりが出せるので非常に面白いですね。
ガラの意味を
教えてくださいよ