『アートウィーク東京2026』では何を見る? 10のAWT FOCUSと参加アーティストを紹介

2026年11月4日(水)から8日(日)まで開催される「アートウィーク東京2026(Art Week Tokyo 2026)」。

東京都内の美術館やギャラリーを横断するこのイベントでは、各参加施設の展覧会に加え、アートウィーク東京独自のプログラムも展開されます。

なかでも今年、大きく形式を変えるのが特別展「AWT FOCUS」です。これまでひとつの会場で展開されてきた企画を、2026年は都内10カ所へ拡張。国内外で活動する10組のキュレーターが、それぞれ異なる展覧会を監修します。

映像プログラム「AWT VIDEO」には、国内外10人のアーティストが参加。

今回はAWT FOCUSとAWT VIDEOを軸に、アートウィーク東京2026で展開される展示と参加アーティストを紹介します。

10会場で展開する「AWT FOCUS」

「AWT FOCUS」は、2023年に始まったアートウィーク東京の特別展。

2026年は開催形式を刷新し、ウィーンを拠点とするギャラリーフェスティバル「Curated by」とのコラボレーションによって、都内10カ所へと展開します。

10組のキュレーターが、それぞれ異なる作家やテーマ、空間と向き合う構成です。

今年の特徴は、作品だけでなく「誰が、どのような視点で展覧会を組み立てたのか」まで比較できること。キュレーションそのものが、もうひとつの鑑賞軸になります。

「逆立つ翼のパッチワーク」|ウェイティングルーム

Multiple Spirits《ダンジョンは生ける光の陰影へ》2025年 Photo by Takashi Fujikawa. Courtesy Waitingroom.

監修を手がけるのは、クィアフェミニストコレクティブ「Multiple Spirits(マルスピ)」。

現代のZINEや出版文化、さらに近代的な制度が成立する以前から存在してきた多様な伝達のあり方を手がかりに、知識がどのように生み出され、共有されてきたのかをたどります。

監修:Multiple Spirits(マルスピ)
会場:ウェイティングルーム

「増塩太朗、ソフィー・ニス」|XYZコレクティブ

ソフィー・ニス《If Nature Didn’t, Warner’s Will》2012年 Courtesy Galerie Greta Meert, Brussels.

増塩太朗とソフィー・ニス、2人の作家による展覧会。監修はオリヴィエ・ミニョンが務めます。

監修:オリヴィエ・ミニョン
会場:XYZコレクティブ

「メアリー・ウェザーフォード:Komorebi」|思文閣銀座

メアリー・ウェザーフォード《Summer Sounds》2024年 Photo by Frederik Nilsen. Courtesy Shibunkaku.

アメリカのアーティスト、メアリー・ウェザーフォードによる展覧会です。監修はジェレミー・ストリック。

監修:ジェレミー・ストリック
会場:思文閣銀座

「土屋信子:ハートのA」|スカイザバスハウス

土屋信子「Stay as a Wave」展示風景 2023年 Photo by Nobutada Omote. Courtesy SCAI The Bathhouse.

身近なものや廃材を組み合わせ、空間に応答する立体作品を制作してきた土屋信子。

本展では、ロンドンのカムデン・アート・センターでディレクターを務めるマーティン・クラークがキュレーションを担当します。

銭湯を改装したスカイザバスハウスという特徴的な空間と、土屋のサイトスペシフィックな作品。その関係性にも目を向けたい展覧会です。

監修:マーティン・クラーク
会場:スカイザバスハウス

「ジュリアンノックス:How Much Light Must I Consume?」|スペースアン

ジュリアンノックス「What Colours Can We Dream in This Night Filled with Salt?」展示風景 2025年 © Levi Fanan, courtesy Fundação Bienal de São Paulo.

シエラレオネ出身のアーティスト、ジュリアンノックス(Julianknxx)による日本初個展。

口承文化から着想した映像表現を通して、ローカルとグローバルの物語がどうつくられるのか、そして境界的な空間に生きる感覚を問いかけます。

監修は、アフリカとディアスポラをめぐる歴史や文化をテーマに活動するキュレーター兼ライター、エコウ・エシュンです。

監修:エコウ・エシュン
会場:スペースアン

「鴨治晃次:Everyday Life」|タケニナガワ

鴨治晃次《静物 / Still Life No. 10》2022年 Photo by Kei Okano. © Koji Kamoji, courtesy Take Ninagawa.

1935年東京生まれ、1959年にポーランドへ渡った鴨治晃次。以後、ポーランドの前衛美術において重要な活動を続けてきました。

本展では、ワルシャワを拠点とするキュレーター、マリア・ブレヴィンスカが鴨治と協働。日常と生存、歴史のなかで人がどう生きるかを見つめます。

監修:マリア・ブレヴィンスカ
会場:タケニナガワ

「エリカ・ヴェルズッティ:彫刻の肖像」|ミサコ&ローゼン

エリカ・ヴェルズッティ「Sex Scene」展示風景 2025年 Photo by Nicolas Brasseur. Courtesy the artist and Fortes D’Aloia & Gabriel, São Paulo/Rio de Janeiro.

ブラジル出身のエリカ・ヴェルズッティによる「彫刻の肖像」。ジュリー・ブクブザとの協働によって、2025年にパリで手がけた彫刻展示から展開するモノプリント作品を紹介します。

彫刻そのものではなく、そのイメージを平面へと移すことで、「彫刻をどう見るか」という視点を別の角度から提示します。

監修:ジュリー・ブクブザ
会場:ミサコ&ローゼン

「青柳菜摘:有り得べき言葉、有り得べき世界」|ミサシンギャラリー

青柳菜摘《関係名デモンストレーション》2025年 Photo by Minji Yi.

映像やリサーチ、詩など複数のメディアを横断して活動する青柳菜摘。

監修は韓国のインディペンデントキュレーター、シン・ジェミン。Gallery 38のサポートを受けて制作された、細井美裕とのコラボレーション作品も展示される予定です。

監修:シン・ジェミン
会場:ミサシンギャラリー

「日本国憲法展 2026」|無人島プロダクション

「日本国憲法展2024」展示風景 2024年

日本国憲法をアートの視点から読み直す継続企画「日本国憲法展」の第4回。

グレッグ・ドボルザークと小野賢が監修し、高田冬彦、MESをはじめとする作家の作品を通して、憲法と現在の社会との関係を捉え直します。

監修:グレッグ・ドボルザーク&小野賢
会場:無人島プロダクション

「The Quiet」|ユタカキクタケギャラリー

グレゴリー・オリンピオ《Le Plancher des Vaches》2025年 © Gregory Olympio, courtesy the artist and blank projects, Cape Town.

アウグスト・アルビゾが監修する「The Quiet」。会場はユタカキクタケギャラリーです。

監修:アウグスト・アルビゾ
会場:ユタカキクタケギャラリー

10の展覧会はいずれもAWT FOCUSという共通の枠組みにありながら、作家、テーマ、会場、キュレーターの組み合わせは大きく異なります。

作家名だけでなく、キュレーターや会場から気になる展覧会を探す。そんな選び方ができるのも、2026年のAWT FOCUSの特徴です。

10人の映像作家が「場所」を見つめる「AWT VIDEO」

映像プログラム「AWT VIDEO」も、2026年のアートウィーク東京を構成する重要な企画のひとつ。

今年のテーマは「あなたのための旅行ガイド(Your Travel Guide To…)」。上海のロックバンド美術館でエグゼクティブディレクター兼チーフキュレーターを務めるX・ジュー=ノウェルが監修します。

タイトルに示された「旅行ガイド」には、明確な目的地がありません。

焦点となるのは、地理そのものよりも、移動や記憶、労働、インフラ、テクノロジーによって場所がどのように形づくられていくのかという問い。

10人のアーティストによる映像作品が、それぞれ異なる角度から「場所」という概念に向き合います。

出展作家:

  • 伊波リンダ
  • チチ・ウー
  • カンディス・ウィリアムズ
  • 大木裕之
  • ケン・オキイシ
  • 高田冬彦
  • 田名網敬一
  • へ・シャンユ
  • 山本篤
  • シュビギ・ラオ

会場は丸の内の三井住友銀行東館1階 アース・ガーデン。11月4日から8日まで、10:00〜18:00に上映され、入場は無料です。

東京の街を実際に移動しながらアートを見るイベントのなかで、「旅行ガイド」や「場所」という概念そのものを映像で捉え直す。その構成も、AWT VIDEOの興味深いところです。

「AWT VIDEO」開催概要

日時:11⽉4⽇(水)~8⽇(⽇)

開場時間:10:00~18:00

場所:千代⽥区丸の内1-3-2 三井住友銀⾏東館 1階 アース・ガーデン

料⾦:無料

https://www.artweektokyo.com/video

各展覧会の詳細や、参加美術館・ギャラリーで開催される個別の展覧会については、アートウィーク東京公式サイトで確認できます。

青柳菜摘、須田悦弘、森万里子――展示からAWT BARへ

AWT BARイメージ ©️ Office Itokae

会期中に作品を見ることのできるアーティストの表現は、展示室だけにとどまりません。

南青山にオープンするポップアップバー「AWT BAR」では、青柳菜摘、須田悦弘、森万里子の3人が、それぞれコラボレーションカクテルを考案します。

アーティストカクテル

展示室での作品だけでなく、作家の発想が飲み物や空間へどう展開されるのか。その広がりまで体験できるのが、AWT BARの面白さです。

「田舎暮らしの5人の石鹸」

青柳菜摘は、AWT FOCUSのミサシンギャラリーで「有り得べき言葉、有り得べき世界」を開催。カシャーサとライムジュースにブルーキュラソーや卵白などを加え、氷とともにブレンダーにかけた、泡立つ石鹸水を思わせるカクテル。

「パートタイムジョブ」

須田悦弘はギャラリー小柳で個展を開催。ドライタイプのシードルにウイスキーをスプレーして仕上げるカクテル。

「All That Shines – 燦燦」

森万里子は森美術館で回顧展「森万里子:燦燦」を開催。金箔入りのスパークリングワインに、半球状の葛餅や色鮮やかなローズキャビアなどを浮かべた一杯。

「AWT BAR」開催概要

会場:港区南青山5-4-30 emergence aoyama complex

会期:11月4日(水)~8日(日)

営業時間:10:00~22:30(ラストオーダー 22:00)

https://www.artweektokyo.com/bar

作家から選ぶか、キュレーターから選ぶか

アートウィーク東京2026では、美術館やギャラリーに加え、AWT FOCUS、AWT VIDEOなど複数のプログラムが同時に動きます。

気になる作家の個展を起点にするのもいい。キュレーターの視点から展覧会を選んだり、映像、彫刻、インスタレーションといった表現方法から巡るルートを組んだりすることもできます。

とりわけ今年のAWT FOCUSで意識したいのは、作品そのものだけではありません。

10組のキュレーターが何を選び、どう配置し、どのような文脈を与えているのか。その違いを見比べることで、展覧会そのものの見え方も変わってきます。

作家を見るだけでなく、展覧会を「どう見せるか」に目を向ける。それも、2026年のAWT FOCUSを巡るひとつの楽しみ方です。

アートウィーク東京2026 展示プログラム概要

  • 会期:2026年11月4日(水)〜11月8日(日)
  • AWT FOCUS:都内10会場で10の展覧会を開催

  • AWT VIDEO:「あなたのための旅行ガイド」/監修:X・ジュー=ノウェル
  • AWT VIDEO会場:三井住友銀行東館 1階 アース・ガーデン
  • AWT VIDEO時間:10:00〜18:00
  • AWT VIDEO料金:無料
  • 公式サイト:アートウィーク東京 公式サイト
Direction & Editing
Project Direction / Editor-in-Chief: Taro Okazaki

プロジェクト統括・編集長:岡崎 太朗

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