仲衿香「Slightly Off」SH GALLERYで開催。記号とイメージ、そして「ズレ」の魅力

現代社会を行き交うアイコンやコードなどの「記号」をモチーフに、絵画の可能性を探るアーティスト・仲衿香の個展「Slightly Off」が、東京・原宿のSH GALLERYで開催されます。会期は2026年10月17日(土)から11月7日(土)まで。

本展では、「現在地」「LANDSCAPE OF THE WEB」「ICON」など、仲が継続して制作してきた代表的なシリーズの新作を展示。日常やインターネット上にあふれる記号と、厚く塗り重ねられた絵具。記号やイメージを絵画へと再構成するなかで生まれる、偶然性や「ズレ」も作品の重要な要素となっています。

記号を「意味」から切り離し、絵画へ

仲衿香《34.103295,-118.339334》2026年、Acrylic on panel、72.7 × 53 cm

仲衿香が作品に取り込むのは、商品のアイコンやインターネット上で流通するコードなど、私たちの日常に深く入り込んでいる視覚的な記号です。

それらは本来、情報を伝えるために機能するものですが、仲の絵画では、その意味だけでなく輪郭や形そのものが取り出され、新たな図形として画面上に再構成されていきます。

美術評論家の西村智弘は、仲の作品について、関心の中心にあるのは「記号の内実というよりも外形、いわば器としての記号」であると指摘しています。

普段は意味を読み取るために見ている記号を、ひとつの形としてあらためて見つめる。そこから、記号がどのように成立し、私たちの認識や生活のなかで作用しているのかという問いが立ち上がります。

思い通りにならない絵具が生む「ズレ」

仲の制作をもうひとつ特徴づけているのが、絵具そのものの物質性です。

支持体の上に絵具を厚くのせて描く過程では、作者が完全には制御できない動きが生まれます。予定していた形からわずかに逸れたり、重なりによって予想外の表情が現れたりする。仲は、そうして自分と支持体のあいだに生まれる「ズレ」に魅力を感じています。

情報を伝えるための記号と、作者の意図を越えて動く絵具。

異なる性質を持つ二つの要素がひとつの画面に置かれることで、記号は本来の機能から少しだけ外れ、別の見え方を獲得します。

「Slightly Off」というタイトルも、作者と支持体、記号と絵画のあいだに生じる、わずかなズレを想起させます。

「現在地」「LANDSCAPE OF THE WEB」「ICON」の新作を展示

仲衿香《34.103295,-118.339334》2026年、Acrylic on panel、72.7 × 53 cm

本展では、「現在地」「LANDSCAPE OF THE WEB」「ICON」など、仲が継続して制作してきたシリーズの新作が一堂に会します。

今回公開された2026年の作品には、《34.068603,-118.402238》《34.103295,-118.339334》のように、緯度・経度の形式を持つ数列をタイトルにしたものもあります。

場所を示す情報でありながら、作品として目の前に現れると、それは色や形、厚みを持った絵画として存在します。その二重性も、仲の作品を見るうえで重要な要素です。

仲衿香について

仲衿香(Erika Naka)

1994年長野県生まれ。東京造形大学卒業。

現代社会に存在する断片的な記号を、視覚的な要素として絵画空間へ取り込み、その形や構造を再構成するアーティストです。

商品のアイコンやインターネット上で流通するコードなど、日常のなかで強い視認性を持つ記号をモチーフとしながら、その意味だけでなく、輪郭や形そのものにも目を向けてきました。

制作では、支持体の上に絵具を厚くのせることで生まれる物質感も重要な要素となっています。絵具が作者の予想を越えて動くことで、自身の意図と画面とのあいだに生まれる「ズレ」を受け入れ、瞬間性や偶然性を作品へ取り込んでいます。

厚みを持った絵具、重ねられたグラデーション、柔らかな質感と、情報として機能する記号。それらをひとつの画面上で交差させながら、記号と絵画の関係を探求しています。

SH GALLERYで個展を重ねるほか、Art Fair Tokyo、Kiaf SEOUL、ART TAIPEI、ART BUSAN、FOCUS Art Fair、MEET YOUR ART FESTIVALなど、国内外で作品を発表。2026年には、台北のWhitestone Gallery Taipeiで開催された「ART OF MIKU -Taipei Exhibition-」にも参加しています。

受賞歴

  • 2020年 Between the Arts Award
  • 2018年 CAF 白石正美賞
  • 2017年 ワンダーシード入選

2026

  • 「ART OF MIKU -Taipei Exhibition-」Whitestone Gallery Taipei/台湾
  • ART FAIR TOKYO 20/SH GALLERY/東京

2025

  • 「Dulling and Revival」個展/Gallery and Bakery Tokyo 8分/東京
  • FOCUS LONDON 2025/Saatchi Gallery/ロンドン
  • Kiaf SEOUL 2025/COEX/ソウル
  • 「OIL SELECTION」OIL by 美術手帖 gallery/東京
  • 「FUSION」LOVUS × HONDA/LOVUS gallery/東京
  • Art Fair Tokyo 2025/SH GALLERY/東京
  • 「The Hints 2025 ―今と未来を見つめる10の視点―」三井住友銀行東館/東京
  • 「ART OF MIKU」BARNEYS NEW YORK KOBE STORE/兵庫

2024

  • 「YANMAR DESIGN みらいのけしき展」YANMAR DESIGN/東京
  • 「OIL by 美術手帖 5th anniversary Vol.2 OIL SELECTION」六本木 蔦屋書店/東京
  • 「MEET YOUR ART FESTIVAL 2024 “NEW ERA”」WHAT CAFE/東京
  • 「STORY」個展/SH GALLERY/東京
  • 「MOMENT」GINZA SIX/東京
  • Kiaf SEOUL 2024/COEX/ソウル
  • 「grid3」biscuit gallery/東京
  • 「ART OF MIKU」PARCO/札幌・渋谷
  • 「cafe and sake boro」/東京
  • 「APOCALYPSE」SH GALLERY SEOUL/ソウル
  • 「巡り来る自己:F collection の一瞥」N&A Art SITE/東京

2023

  • 「The Rhapsody of Illusions」biscuit gallery/東京
  • 「Study:大阪関西国際芸術祭 vol.3」グランフロント大阪/大阪
  • KIAF Seoul 2023/COEX/ソウル
  • 「1st GROUP EXHIBITION」SH GALLERY SEOUL/ソウル
  • TBSドラマ「18/40〜ふたりなら夢も恋も〜」タイトル制作
  • NEW ERA collaboration cap「THE PACKAGE by ZOZOVILLA Vol.6 -Erika Naka-」
  • 「What are we __ for?」SH GALLERY/東京
  • 「Neo Japan Pop Art Explored」Artspace@Helutrans/シンガポール
  • Hankyu Art Fair 2023/阪急うめだ本店
  • ART FAIR TOKYO 2023/SH GALLERY/東京
  • 「Study:大阪関西国際芸術祭 2023」/大阪

2022

  • 「Piece of the times」銀座 蔦屋書店/東京
  • ART TAIPEI 2022/Taipei World Trade Center/台北
  • 「SLEEPING JIVA」個展/SH GALLERY/東京
  • 「MITSUKOSHI CONTEMPORARY GALLERY」/東京
  • 「MULAL EXHIBITION」MATTER/東京
  • 「Blue Period」Warehouse TERRADA G1 Building/東京
  • MEET YOUR ART FESTIVAL 2022/恵比寿ガーデンプレイス/東京
  • ART BUSAN 2022/BEXCO/釜山
  • 「OKETA COLLECTION:THE SIRIUS」/東京
  • ART FAIR TOKYO 2022/SH GALLERY/東京

2021

  • 「Not Found」個展/SH GALLERY/東京
  • グループ展/SH GALLERY/東京
  • ART FAIR TOKYO 2021/SH GALLERY/東京
  • 「SHIBUYA STYLE vol.15」西武渋谷店/東京
  • 「Intersection – Now, from here – Part2」Bunkamura Gallery/東京
  • 「nine colors」阪急うめだ本店/大阪
  • 「3 people 10」Shinwa Art Museum/東京
  • 「nine colors XV」西武渋谷店/東京

2020

  • 「100 people 10」SHINWA AUCTION/東京
  • artTNZ Art Fair/SH GALLERY/東京
  • 「Backside Works. & Naka Erika」SH GALLERY/東京
  • 「AFT Art Hunting」SH GALLERY/東京

2019

  • 「Present Place」個展/SH GALLERY/東京
  • ART FAIR TOKYO 2019/SH GALLERY/東京
  • 「Nothing seek, nothing find」グループ展/ARTDYNE/東京

2018

  • 「CHU CHU SHOW 2018」グループ展/Nakawa Gallery/東京

2017

  • 「CUBE」グループ展/TURNER GALLERY/東京

仲衿香「Slightly Off」開催概要

SH GALLERYは2015年に東京で設立され、2021年に原宿へ移転。国内外のアートフェアや展覧会を通じて、現代美術のアーティストを紹介しています。

SH GALLERY|仲衿香 アーティストページ

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Project Direction / Editor-in-Chief: Taro Okazaki

プロジェクト統括・編集長:岡崎 太朗

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【プロジェクト統括・編集長】岡崎 太朗(Taro Okazaki)