小豆島の名産といえばオリーブ。
その良質さはアメリカで開催された世界的なオリーブオイルの品評会で2012年に「金賞」、2015年に金賞の中でも特に優れた「ベストオブクラス」に選出されたほど。
しかし、そもそもなぜ小豆島にオリーブ栽培が根付いたのでしょうか。
その歴史と背景をご紹介します。
Contents
そもそもオリーブの起源って?

野生のオリーブはもともとどこに生えていたのでしょうか。
オリーブの野生種は地中海沿岸からアフリカ北岸付近に、なんと数万~数十万年前から自生していたとされています。
それがギリシャへ伝わり、5~6000年前から栽培が始まったと伝えられています。

現在オリーブの産地というとイタリアもイメージしますが、紀元前370年頃にギリシャによって移植されました。
日本のオリーブの歴史

林洞海(はやし どうかい・1813-1895)の肖像画
日本の初オリーブは文久2年(1862)、徳川将軍の侍医・林洞海がフランスから持ち込み、薬用に育てたものだと伝えられています。
林の栽培は失敗しましたが、その後東京や和歌山、兵庫などでも栽培され、和歌山では結実し兵庫では製油や加工できるまでの成果が出ました。
しかしどこも継続して栽培するのは難しいことでした。
本格栽培へ~小豆島でオリーブ始まる

写真:写真AC
農産物としての本格的な栽培が始まったのは明治41年(1908)のこと。
日露戦争に勝利して漁場が拡大したことで漁獲量が増加し、缶詰に用いるオリーブオイルが大量に必要になりました。
オリーブオイル漬けの缶詰は現在でも定番ですね。
そこで国をあげてオリーブ栽培に力を入れることになり、三重、鹿児島、そして香川で栽培試験がスタートしました。
このうち香川県小豆島のオリーブだけ結実に成功しました。
なぜ小豆島でオリーブ栽培は成功したの?

小豆島で栽培されているオリーブ。写真撮影:Guidoorスタッフ
簡単に言うと小豆島が地中海の気候に一番似ていたからです。
とはいえギリシャやイタリアなど地中海は冬季に降雨があり、夏季には雨が降らずにアフリカからの乾燥した風が吹く気候。
一方、小豆島は冬も一定の降水量があり平均気温も似ているものの、全体的に湿度が高く夏は梅雨期があり、台風もやってきます。完全に一致とはなりません。
くわえて東南アジアにしか生息しない害虫もいます。
当時の農家の人たちのたゆまぬ努力と工夫によってオリーブ栽培が成果を出したのです。
国産オリーブ産業の拡大と衰退

小豆島オリーブ公園で栽培されているオリーブ。写真撮影:Guidoorスタッフ
小豆島のオリーブ栽培は拡大し、他の県にも広がっていきます。
昭和24年(1949)から28年(1953)にかけてはオリーブオイルが暴騰し、栽培熱が高まります。
ところが昭和34年(1959)頃から農産物の輸入自由化が始まったため海外の安いオリーブオイルの大量入手が可能となり、国産オリーブは下火になってしまいます。
平成のオリーブ再興

写真:ODAN
オリーブが再熱したのは平成に入ってからのこと。
健康食品ブームでオリーブが注目されるようになったこと、そして国内でイタリア料理が定番化したことが要因と考えられています。
その後町や国をあげての質の良い国産オリーブを作ろうという動きが生まれます。
また民間企業の農業参入が認定され、食品関連企業を中心に農地を借りてオリーブの栽培に取り組む企業が増大し、平成27年(2015)には小豆島内のオリーブ栽培面積が137ヘクタールと過去最大になります。
世界に挑戦する小豆島オリーブオイル

写真:香川県観光協会
そして2015年。
ついに小豆島のエンジェルロードの近くにある「オリーブの森」で採れたオリーブで作られたオイルが、ロサンゼルス国際エキストラバージンオリーブオイル品評会でベストオブクラスを受賞しました。
明治41年(1908)から始まった国産オリーブ栽培で、およそ110年で紀元前から栽培されていた世界中のオリーブに負けない品質まで至ることができたのは、小豆島の農家の方たちの計り知れない努力があってのことでしょう。
ちなみに「オリーブの森」のオリーブ畑は実際に見学することができ、売店もあるのでその場でお土産を買うことも可能です。
歴史を頭の片隅に、小豆島での旅行も料理も楽しんでみてはいかがでしょうか。
【オリーブの森】
香川県小豆郡土庄町甲2721-1
小豆島ヘルシーランド株式会社
【公式サイト】
https://www.healthyolive.com/
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【小豆島オリーブ公園】
・香川県小豆郡小豆島町西村甲1941-1
・8:30~17:00(年中無休)
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