福岡県八女市発「八女ブルワリー」のクラフトビールで乾杯

中心に緑色の背景に白字で八女ブルワリーの文字。左は青空の下に広がる茶畑。右上には、瓶のクラフトビールが3本と紺色の箱。右下には瓶に注がれたビールを手に、見つめる醸造担当者。

日本国内でのクラフトビールの人気が高まる中、福岡県八女市にある『八女ブルワリー』が注目を集めています。

八女ブルワリーは地元の特産品である「八女茶」などを副原料にしてクラフトビールを醸造することで、地元の魅力を発信しており、クラフトビール愛好家たちにも人気のブルワリーです。

また、醸造所がある「べんがら村」には、直売所や天然温泉などがあり、八女市の観光シンボルとして人気のスポットになっています。八女ブルワリーのクラフトビールについては、多種多様な種類があり、どれを飲んだらいいのか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。

そこで、今回は八女ブルワリーのクラフトビールの種類や特徴、味わい、おすすめポイントについてご紹介します。

クラフトビールの特徴とは?手作業で醸造される独自の味わい

グラスに継がれた琥珀色のビールが2杯、並んでテーブルに置かれている様子。

クラフトビールとは、大手メーカーで大量生産されるビールとは異なり、手作業で少量ずつ醸造されたビールのことを指します。八女ブルワリーでは、地元の特産品である「八女茶」をはじめとするこだわりの素材を使用し、丁寧に醸造されたクラフトビールを提供しています。

まずはクラフトビールの定義や特徴についてご紹介します。

ビール醸造における伝統的な製法、天然素材の使用など、小規模で独自性の高いビールを生産しているのがクラフトビールの特徴です。

日本では小規模ブルワリーの業界団体である日本クラフトビール業界団体連絡協議会「クラビ連」の「全国地ビール醸造者協議会(JBA)」が、クラフトビールを2018年5月に以下のように定義しました。

1.酒税法改正(1994年4月)以前から造られている大資本の大量生産のビールからは独立したビール造りを行っている。

2.1回の仕込単位(麦汁の製造量)が20キロリットル以下の小規模な仕込みで、ブルワーが目の届く製造を行っている。

3.伝統的な製法で製造しているか、あるいは地域の特産品などを原料とした個性あふれるビールを製造している。そして地域に根付いている。

つまり『醸造される時期や量が決まっていることから希少性が高く現地に行かないと飲めないものや、多様なスタイルが存在するため見た目や味が全く異なるもの』がクラフトビールの特徴と言えます。

最近では旅行へ行くと現地で作られている珍しいビールが売店やコンビニによく並んでいますね。筆者も旅行先では必ず数本購入して家に帰った後のご褒美にしています!

旅のお土産としても人気のあるクラフトビールは一体どのような過程を経て現在に至っているのか。歴史を辿ってみましょう。

クラフトビールの歴史を紐解く誕生から現在まで

ビール瓶の上の部分だけアップで、数多くのビール瓶が奥から流れているように置かれている。

クラフトビールの歴史はまだ浅く1994年酒税法改正後、ビール製造免許に必要な最低製造量が従来の年間2,000キロリッターから60キロリッターに引き下げられたことから始まります。

法改正により、小規模醸造所が徐々に設立されて場所を問わず様々な場所でビール製造が可能になりました。町おこしや地域貢献に繋がることから反響は大きく最初に地ビールが広まった要因でもあります。

当時は日本酒の‟地酒”にあやかって“地ビール”と呼ばれ、一大ブームを巻き起こしました。

地ビールの衰退:高価格で未熟な味のイメージが定着

売り上げが下がっていることを示すグラフ

しかし、2000年前半頃に地ビールは衰退していきます

当時のビールは地元の特産物を無理に使用したり、造り手が未熟で味が未完成なものが多いにも関わらず値段が高めの商品が多くありました。
その結果、地ビール=美味しくないというイメージが定着したことが衰退の原因とされています。

クラフトビール革命:名称変更と質の追求で市場拡大

売り上げが上がっていることを示すグラフ

しかし時は経ち、2010年になると再びブームを迎えます。

以前のマイナスな印象を払拭させようと名称を”クラフトビール”に変更して製造方法や味にこだわりを持つ醸造所が増えたことや、キリンビールが100%子会社「スプリングバレーブルワリー」を設立したことで多くのメディアに取り上げられてクラフトビールの名が世間に知れ渡る事になったことがブームの要因とも言えるでしょう。

また国内のブルワリーが世界的に評価されるなど、お土産のイメージがあったビールは職人が造るビールと認識されるようになりました。

クラフトビール市場は大手から各地域まで全国へ普及

海に綺麗な夕日が沈みあたり一面はオレンジ色の光に包まれていて、幻想的な雰囲気。瓶ビールをお互いに重ね合わせて夕日に乾杯している手が2本両サイドから出ている。

そして現在では大手ビールメーカーも参入したことで市場が拡大しています。コンビニやスーパーでも売られるようになり、クラフトビールはどこでも飲める存在へと変化していきました。

ビール製造所は670箇所を超え、各地では工場見学やクラフトビールのイベントが盛んに行われています。

おしゃれなパッケージや特別感から女性をはじめとした若い世代にも人気を得ていることが現在でも幅広い層に支持されている理由でしょう♪

地域の魅力あふれる「八女ブルワリー」の歴史

巨大なビール窯で酒造

製造所のあるべんがら村は1998年4月11日、健康増進施設として「八女リフレッシュビレッジ」という名称でオープンしました。

施設の開業に併せて「八女麦酒 ジ・ビール矢部川」(やべがわ) というブランドでビールの製造を開始したのが八女ブルワリーの前身です。

当時、市場への販売はまだ行っておらず館内のレストランや農産物直売所などで販売していました。

ビール製造および施設の運営は民間企業に委託しており、 第三セクター(地方公共団体と民間の共同出資による事業体)として設立された「株式会社八女リフレッシュビレッジ」が担当していました。

時代の変遷による移管とビール販売終了

ビールサーバーからグラスにビールを注いている。

その後、2005年に施設の指定管理者が株式会社八女リフレッシュビレッジから「地域中央開発株式会社」へ移管され、それに伴ない施設名も八女リフレッシュビレッジから現在の「べんがら村」へと変更しました。

2016年に指定管理者契約の満了に伴い、施設の指定管理者が地域中央開発株式会社から東京に本社を置く「西洋フード・コンパスグループ株式会社」へ移管されることになりました。それを受けて従来のべんがら村のビールは、2016年3月末をもって販売を終了する事となりました。

新たなブランド「八女ブルワリー」の誕生

水滴が付いたビールが入ったビールジョッキが2つ木のテーブルに置かれている。

しかし2016年度から西洋フード・コンパスグループの新体制のもと、 ビール造りも心機一転開始する運びとなり現在の「八女ブルワリー」という新たなブランド名でスタートを切ることになりました。

2016年9月28日には酒類等製造免許(発泡酒)を取得し、 従来はビール免許で造ってきましたが新体制では発泡酒免許での出発となりました。

第一弾としてピルスナーを販売し、現在では全6種類のクラフトビールを販売しています。

楽天ランキング1位にも選ばれた‟八女ブルワリー”は風味豊かな味わいが人気

原材料にドイツ産の麦芽とドイツ産、ニュージーランド産のホップを使用し、 地元八女の水を仕込み水として使用しています。

八女ブルワリー最大の特徴は、地域の特産品をブレンドした風味豊かさな味わいです。八女市はお茶の町と呼ばれていて、クラフトビール(ピルスナー・深蒸IPAに2種類)の原料にも使われています。

楽天リアルタイムランキングのビール・発泡酒で第1位を獲得した功績もあり口コミでは「飲みやすく美味しい!」「お世話になった方へのプレゼントにおススメ!」と絶賛のレビューが数多く。

2022年10月に出来たばかりの醸造体験所では自分だけのクラフトビールを作ることができます!オリジナルラベルの制作もできるなので記念日や結婚式など特別な日に向けて作るのも素敵ですね♪

八女ブルワリーのクラフトビール商品ご紹介【5種】

八女ブルワリーの商品5種。背景にビルが見える窓辺に、黒の箱と6本クラフトビールの瓶が並んでいる。
左からブラック、ピルスナー、華たちばなHszy IPA、深蒸IPA、ピルスナー、ぶどうIPA

今回は八女ブルワリーのクラフトビール5種×6本セットからご紹介します。

定番のピルスナーから春季限定の華たちばなHszy IPAまで幅広い種類のクラフトビールがセットになったこちらの商品は飲み比べやシェアして好きなようにお楽しみいただけます♪

実際に飲んでみたのですが味わいはもちろんのことながら香りを豊かに感じられることに衝撃を受けました⚡

香りがより一層味を引き立ててくれるのは八女ブルワリーで作るクラフトビールだからでしょう。どれもサッパリとした飲みやすい口当たりなので誰にプレゼントしても喜ばれそうです!

種類別にクラフトビールの特徴と筆者の目線でぜひ飲んでほしい人も記してみたので、参考にしていただけたら幸いです。

ピルスナー「BLIGHT STAR PILSNER」

八女ブルワリーのピルスナー。背景にビルが見える窓辺の中央に青色のラベルのクラフトビールの瓶が1本置いてある。

ピルスナー「BLIGHT STAR PILSNER」は低温発酵によって仕上げられた清涼感のあるスッキリとした味わいが特徴的。

地元の特産「八女茶」を使用して製造されている珍しいビール。独特の苦みが苦手な人や、初めてお酒を飲む人へ記念の1本としてもオススメ。

アルコール分4.5%
IBU (苦みの数値)23

※IBU値は高いと苦みが強く、低いと苦みが弱め

深蒸IPA「FUKAMUSHI IPA」

八女ブルワリーの深蒸IPA 。背景にビルが見える窓辺の中央に緑色のラベルのクラフトビールの瓶が1本置いてある。

筆者的イチ押しの深蒸IPA「FUKAMUSHI IPA」。

柑橘系の香りが鼻から抜け、サッパリとした味わいで飲みやすい。独特の苦みも感じられて全種中で中で最も定番のビールに近い。

ビールが好きな人や、定番の味を飲みたい人にオススメ。

アルコール分6.0%
IBU (苦みの数値)50

※IBU値は高いと苦みが強く、低いと苦みが弱め

ぶどうIPA「GRAPE IPA」

八女ブルワリーのグレープIPA。背景にビルが見える窓辺の中央に紫色のラベルのクラフトビールの瓶が1本置いてある。

福岡県産のぶどうを使用したIPA「GRAPE IPA」はぶどうの香りを軽やかに感じられ、スッキリとした味わいが特徴的。

ホップの程よい苦みからぶどうのフルーティーな甘みへと変化が楽しめる。フルーティーなビールを飲みたい時や、デザートとのペアリングを楽しんでも良さそう。

アルコール分5.0%
IBU (苦みの数値)35

※IBU値は高いと苦みが強く、低いと苦みが弱め

「春季限定」フルーティーで華やかなIPA「華たちばな HAZY IPA」

八女ブルワリーのオレンジIPA。背景にビルが見える窓辺の中央に紺色のラベルでオレンジの写真が入ったクラフトビールの瓶が1本置いてある。

JAふくおか八女かんきつ部会青年部・道の駅たちばなとの共同制作で造られたIPA「華たちばな HAZY IPA」。

クリーミーでしっとりとした味わいが特徴的。後味にみかんのジューシーさを感じられ、定番化してほしいと願う人も少なくないだろう。

フルーツビールを飲みたいけどビール感も感じたいという欲張りさんにおススメ。

アルコール分5%

ブラック「YUTTARI BLACK」

八女ブルワリーのブラック。背景にビルが見える窓辺の中央に黒色のラベルのクラフトビールの瓶が1本置いてある。

「YUTTARI BLACK」は醗酵をより進めることで※ドライスタウト風に仕上げており、全商品の中で最もビール本来の味と香りを堪能できる。

ナチュラルな味わいで後味は自然な甘みが特徴的。黒ビールが好きな人や、仕事後の1杯におススメ。

※ドライスタウト…濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビール。黒ビールには無い爽やかさがある。

アルコール分5.0%
IBU (苦みの数値)20

※IBU値は高いと苦みが強く、低いと苦みが弱め

銅賞を獲得した栄誉あるビール

八女ブルワリーさんで作られているこちらの「ゆったりブラック」はクラフトビールの世界大会
International Beer Cup 2022(※1)で銅賞、ジャパン・グレートビア・アワーズ2022(※2)で金賞のW受賞したスゴイ品なんです✨

(※1)International Beer Cup (通称:IBC)とは世界5大ビール品評会のひとつで、日本地ビール協会が主催しています。
世界でも3番目に古い歴史を持つビール審査会ということもありこの賞はとても栄誉あるものということがお分かりいただけるかと思います。

(※2)ジャパン・グレートビア・アワーズとはクラフトビールの品質向上を目指し、日本国内で醸造されるビールに特化した審査会です。基準値は飲む人の心に強く残る「魅力」を重点的に評価しています。
金賞受賞は大変難しいようで全受賞ビールのうちの 15%、全出品銘柄数からみても 10%あまりに過ぎないとされています。

ビールとしてのレベルの高さや、魅⼒、⻑所、個性が際⽴っていないと取れない金賞を受賞したゆったりブラックは誰もが認める美味しいクラフトビールだと言えますね🍺

輝かしい入賞歴を誇る八女ブルワリーに今後も目が離せません👀‼

八女ブルワリー醸造担当者が語る!地域素材を使ったクラフトビールの魅力

醸造所のなかで、瓶に注がれたビールを手に、見つめる紺色のキャップの帽子をかぶった醸造担当者。
八女ブルワリーの醸造担当 佐野史香さん

今回は、日本のクラフトビール市場で注目を集める八女ブルワリーの醸造担当者、佐野史香(さのふみか)さんにオンラインインタビューしました。八女ブルワリーは、九州地方で醸造される地元の素材を活用したクラフトビールで知られています。佐野さんには、地元の素材を活用する理由や、八女ブルワリーが目指すクラフトビールへのこだわりについて語っていただきました。

八女ブルワリーの誕生

—八女ブルワリーの歴史と、そもそもなぜ八女にブルワリーが出来たのかを教えていただけますか?

佐野:八女ブルワリーの歴史は、およそ25年前に遡ります。

八女市を盛り上げるために、八女市の観光施設「べんがら村」のレストランに併設する形で設立されました。そのほか施設内には、天然温泉、直売所などがあり、「べんがら村」は市の観光シンボルとなっております。

設立当時は、第一次地ビールブームということで、大盛況だったようです。

しかし、地ビールブームが下火となり、施設来客数も減少し、ビールの製造量も年々減っていったそうです。

そんな中、前任の醸造担当の方が奮闘して、今の八女ブルワリーの味の確立をされました。

創業当時を知る人はもう施設にはいないので、当時の苦労などを詳しく知る人はいませんが、現在は地元の特産を副原料にして、クラフトビールで地元の魅力を発信できたらいいなという思いで醸造しています。

こだわりのクラフトビールづくり

—八女ブルワリーのクラフトビールへのこだわりと、イチオシポイントを教えてください。

佐野:八女ブルワリーでは仕込み水にもこだわってます。八女を流れる「矢部川」の伏流水を使用しており、施設から源流まで往復2時間をかけて汲みに行ってます。クラフトビールのレギュラー商品は現在以下4種類となります。

  • ピルスナー
    副原料に八女茶を使用しており、すっきり爽やかな苦味が特長です。
  • 深蒸しIPA
    深蒸しの八女茶を使用。モルト感、ホップ感のバランスが絶妙です。飲み応えのあるIPAです。
  • ブラック
    ロースト麦芽の香ばしさがコクを引き出しています。ドライスタウト風に仕上げており、飲みやすさが特長です。(ジャパン・グレートビア・アワーズ2022にて金賞受賞)
  • ぶどうIPA
    福岡県産ぶどうを使用したフルーツIPA  ブリュットに仕上げて、ぶどうのほのかな香りを楽しみながら味わえます。

その他季節に応じて地元の特産品を使ったフルーツクラフトビールも製造しており、常時5種類は店頭にて販売を行なっております。

地元の特産品である「八女茶」や果物などを取り入れたクラフトビールを製造することで、八女を盛り上げることができればとの思いで日々醸造をおこなっております。また、クラフトビールをより身近に感じていただきたいと思い、醸造体験所も開設致しました。こちらでは自分のオリジナルクラフトビールを製造することができます。

是非八女に遊びに来てください!

八女ブルワリーでクラフトビールと観光を楽しむ

八女ブルワリーは、特産品である八女茶や地元の素材を使用した、地域の魅力あふれるクラフトビールを製造しています。

地元で人気の観光スポット「べんがら村」のなかにあり、直売所や天然温泉なども一緒に楽しむことができます。

自分のオリジナルクラフトビールも作れる、八女市の魅力が詰まった「八女ブルワリー」。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

公式WEB:八女ブルワリー
住所:福岡県八女市宮野100番地(べんがら村内)
TEL:0943-24-3339(平日 10:00~18:00)

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