地域と果実の物語をクラフトビールに。JUNGLE BREWERYが新たに挑む「YORIMICHI -いちご×香川-」

テーブルの上に積み上げられたYORIMICHI缶のディスプレイ。背景にはカラフルなモニター映像。

地域の素材と物語をビールに込める「JUNGLE BREWERY」。アップサイクルな取り組みを続けてきた同ブランドが立ち上げた新シリーズ「YORIMICHI」。その第一弾《いちご×香川》は、三木町の完熟いちごを使用したサワーエール。素材と人の想いが重なる、爽やかで奥行きある一杯が誕生しました。

JUNGLE BREWERYとは?

株式会社ゆいまーる(東京都港区)がプロデュースするクラフトビールブランド『JUNGLE BREWERY(ジャングルブルワリー)』。代表・島袋尚美氏が掲げる理念は、『たのしいはツクレル』。この言葉の通り、レシピ開発から販促まで一貫して手がけ、地域の食材や想いをビールに昇華する“クラフトビールの何でも屋”として、これまで数々のユニークな商品を生み出してきました。

「たのしいはツクレル」をモットーに誕生したJUNGLE BREWERY。当初はその言葉のとおり、自由で遊び心あふれるビールづくりが原動力でした。やがて“フルムーンラビット”などの挑戦を通して、規格外の素材に新たな命を吹き込む『アップサイクル』にも注力するようになります。

アップサイクルとは? 廃棄されてしまう素材に、新たな価値を

アップサイクルとは、本来であれば廃棄されてしまう素材に、新たな価値を与える考え方です。JUNGLE BREWERYがその方向性を意識し始めたきっかけのひとつが、北海道産小豆を副原料に使用した《FULL MOON RABBIT(フルムーンラビット)》でした。

日本の秋と“お月見”の情景をイメージし、小豆の甘みとモルトのコクを組み合わせたこのビールは、地域食材の魅力を引き出す試みでもありました。現在は販売終了していますが、こうした経験が、地域と素材をつなぐビールづくりへと進化していったのです。

「寄り道」から生まれたビールの物語

プラスチックカップに注がれたYORIMICHI -いちご×香川-と缶パッケージ。鮮やかなオレンジ色の液体が印象的。

「YORIMICHI」シリーズは、そんなJUNGLE BREWERYの思想を受け継ぐ形で誕生しました。コンセプトは「人生も、食材も、ちょっと寄り道した方がおいしくなる」。効率からこぼれた素材たちに新しい価値を与えるためのブランドラインです。

その第一弾となる《YORIMICHI -いちご×香川-》には、香川県三木町の農業法人「いちごスタジオ」で育てられた規格外の完熟いちご「さぬきひめ」を使用。農業未経験の若者や子育て中の女性など、多様な人々が手がけるいちごの物語もこの一杯に込められています。

このプロジェクトは、20代の若手スタッフが中心となり、JUNGLE BREWERYの理念やシリーズ構想を農家に伝える中で出会った、「いちごスタジオ」とのご縁を得たことから本格始動したそうです。

「いちごスタジオ」は、農業未経験の若者や外国にルーツを持つ人々、子育て中の女性など、多様な背景を持つメンバーが協力しながらいちごを育てる、ユニークな農業法人です。農業の未来を“開かれた現場”から変えようというその姿勢にも共鳴し、今回のコラボレーションが実現しました。

(​​いちごスタジオ公式Instagram: www.instagram.com/ichigo_studio15/

《YORIMICHI -いちご×香川-》の魅力:味わいとデザイン

グラスに注がれたYORIMICHIとイチゴをフォークで持ち上げる手元。光が差し込むテーブルに缶と果実が並ぶ。

《YORIMICHI -いちご×香川-》は、いちご本来の甘酸っぱさを最大限に生かすため、サワーエールというスタイルが選ばれました。グラスに注ぐと、白桃を思わせる淡い桃色の液色が輝き、きめ細かな泡立ちが立ち上ります。

ふわりと漂う完熟いちごの繊細な香り。そして、口に含めば、爽やかな酸味と奥深い果実味が広がり、その余韻は長く続きます。

いちごスタジオの『ハッピーな人たちが育てたイチゴが、食べる人にもハッピーを届ける』という哲学が、このビールの澄んだ色合いや、口いっぱいに広がる幸せな香りに表れているかのようです。

チーズやデザートとの相性も抜群で、日常のささやかな楽しみにそっと寄り添ってくれる一杯です。

この新シリーズのために一新されたラベルデザインも、そのコンセプトを表現しています。ショートケーキをイメージさせるような遊び心ある配色とマットな質感は、ビールを手に取る瞬間から、ワクワクするような『寄り道』の物語が始まることを予感させてくれます。

​​YORIMICHI -いちご×香川- 製品情報

黄色い背景に置かれたYORIMICHIの缶と2粒のいちご。シンプルな構成がビールの魅力を引き立てる。
  • スタイル:サワーエール
  • アルコール度数(ABV):6%
  • 使用素材:香川県三木町産「さぬきひめ(規格外いちご)」
  • パッケージ:缶(JUNGLE BREWERY初の缶商品)

「クラフトビールでつなぐ」これからの風景

代表・島袋尚美氏が今回のプロジェクトを若手スタッフに託した背景には、「若者が挑戦できる場をつくり、若者が自分らしく輝ける社会をつくりたい」という強い想いがあります。

実家が農家というスタッフもおり、「いつか故郷の食材でビールをつくってみたい」という声も芽生え始めています。こうした“ひとりひとりの想い”が、これからもまた新たなビールと物語を紡いでいきます。

『YORIMICHI』シリーズは、一過性の企画ではなく、今後も各地の様々な食材との出会いを通じて、その展開を広げていく予定とのこと。

また、飲食店との連携や、季節・地域を問わず楽しめる“シグネチャービール”の開発も模索されています。

JUNGLE BREWERYが描く未来

JUNGLE BREWERYが描く未来は、単なるビールづくりにとどまらず、地域の課題解決や、食文化の循環とも深く結びついています。

効率化の陰で見過ごされてきた素材や、その背景にある人々の物語に光をあて、一杯のビールを通じてそのすべてを味わってもらう。まさに、手間暇を惜しまない『クラフト=手仕事』の精神そのものです。

注目すべき次回の計画では、『和の食材』を使った挑戦的なビールづくりの企画も進行中とのこと。

生姜や山椒といった日本ならではの香味素材を取り入れた次なるクラフトビールの構想が既に進められており、新たな『寄り道』の物語に期待が高まるばかりです。

ユニークでパワフルな彼らだからこそできる、斬新なアップサイクルビールの誕生に目が離せません。

JUNGLE BREWERYの最新情報はこちらから

今後も目が離せないJUNGLE BREWERY、YORIMICHIシリーズの最新作やイベント情報は、SNSで随時発信中。

▶ 公式サイト:jungleandbrewery.com
▶ Instagram:www.instagram.com/jungle_brewery
▶ X:@STAFF64189174

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Taro Okazaki
「Guidoor Media」の立ち上げに携わり、日本の文化・歴史・観光を中心に執筆。オーストラリアでの出版社や教育機関での勤務経験を経て培った国際的な視点を活かし、日本の多様な魅力を国内外に発信しています。 文章では、地域の魅力を分かりやすく伝えることを心がけ、アートでは感情や記憶を色彩と形で表現しています。 趣味はVtuber、アニメ、音楽など。日々の好きなものが創作の原動力になっています。