春の訪れとともに、神奈川県・横須賀の寺々は淡い桜に彩られます。
静かな山門、風に揺れる枝垂れ桜、そして苔むす庭。そこには喧騒を離れた、時間の止まるような風景が広がっていました。
本記事では、写真好きなあなたに向けて、横須賀で巡るべき桜と寺の撮影スポットをご紹介。
列車や車で訪れやすいアクセス情報や、地元グルメの立ち寄りスポットも交えながら、春の一日を丁寧にたどります。
Contents
春の横須賀で出会う、桜と寺の静かな風景
東京から電車で約1時間。海と丘に抱かれた街・横須賀には、喧騒から少し離れた「静けさの春」があります。
そこにあるのは、華やかな名所ではなく、ひとつひとつの景色が胸に残るような、静かな寺と桜の物語。枝垂れる花びらが風に舞い、庭の砂紋に春の光が落ちる。その一瞬を、カメラに収める旅に出かけてみませんか。
この記事では、満昌寺・称名寺・等覚寺という、三つの寺とその周辺の春景色をめぐる一日をご案内します。
地元で愛される和食店や、旅の終わりに立ち寄りたいよこすかポートマーケットもあわせて、春の横須賀を「静かに味わう」旅のかたちをご紹介します。
おすすめ桜スポット① 満昌寺(大矢部)

横須賀市の大矢部、静かな丘のふもとに佇むのが、満昌寺(まんしょうじ)。
その門構えは控えめながらもどこか気品があり、時を見守るような山門(さんもん)が訪れる人を迎えてくれます。
春のはじまり、この山門の傍らに咲くのは一本のしだれ桜。
風に揺れるその枝ぶりは、まるで絹糸のようにしなやかで、見る人の足を自然と止める存在です。

この桜は「祇園しだれ桜」と呼ばれる名品種で、京都の桜守(さくらもり)・佐野藤右衛門の手によって育てられたもの。
華やかさよりも、静けさの中にある凛とした美しさが際立ちます。

境内には枯山水の庭もあり、砂紋と苔、石が光と影の中で対話をしているかのよう。
写真を撮る前に、まずは立ち止まり、静けさに身をゆだねてみましょう。
風に揺れる桜の枝、鳥のさえずり──そのすべてが、春の情景として静かに立ち上がります。

また本堂の前には、源頼朝が植えたと伝わる古いツツジもあります。
地元では、花の間に頭をそっと入れると、頭痛がやわらぐといわれていて、昔から人々に親しまれてきたそうです。
📍 住所:神奈川県横須賀市大矢部1-5-10
🔗 公式サイト:manshoji.com
ランチスポット:ひのき亭(山科台)

静かな住宅街・山科台に佇む「ひのき亭」は、地元の人々に親しまれている和食レストラン。三浦半島で獲れた旬の魚介や野菜をふんだんに使った料理が楽しめると評判です。
地魚と旬野菜、選べる「遊膳」ランチ

特に人気なのが、ランチタイム限定の「遊膳(ゆうぜん)セット」。お造りや天ぷら、豚の角煮、焼き魚、煮魚、ステーキなどからメインを2品選べる上、小鉢も日替わりで2品セレクト可能。ご飯、味噌汁、漬物がついた満足度の高いセットです。







調理に使うお米は無農薬の玄米。店内で精米し、羽釜で炊き上げるこだわりぶり。アルカリイオン水を使用するなど、素材の持ち味を大切にした料理が並びます。
テーブル席やカウンター、小上がりもあり、ひとりでも、家族連れでも落ち着いて食事ができます。ランチタイムは混雑することもあるため、早めの来店や少し時間をずらすのがおすすめ。週末はコース料理の予約客で賑わうこともあるため、事前の電話確認も安心です。
手頃な価格で、季節の味と丁寧な仕事が楽しめる一軒です。

移動の風景も一枚に:通研通りの桜並木

「何気ない」が、記憶に残る春の道
寺院から次の目的地へ向かう道中、ふと目を奪われたのが「通研通り(つうけんどおり)」の桜並木でした。横須賀市の長沢エリアを通るこの通りは、NTT通研センターから長沢中学校方面へとゆるやかに続く坂道。その両側に立ち並ぶソメイヨシノが、春になるとまるで桜のトンネルのような景色をつくり出します。
観光地として名の知れた場所ではありませんが、だからこそ日常の延長にあるような、自然で親しみのある春の風景が広がっています。車窓からでも十分に楽しめますが、時間が許すなら車をとめて、ゆっくりと歩いてみるのもおすすめ。歩く速度だからこそ気づける光の角度、風に舞う花びら、道端の緑と桜のコントラストなど、小さな美しさがそこかしこに隠れています。

カメラを持っていれば、ふとした瞬間にレンズを向けたくなるシーンがきっと見つかるはずです。「移動」そのものが、春の一枚になる──そんな感覚を味わえる道です。
📍 住所:神奈川県横須賀市長沢
おすすめ桜スポット② 称名寺(野比)ー 静けさに包まれる、住宅街のしだれ桜

京急久里浜線・YRP野比駅から徒歩約10分。閑静な住宅地の一角にたたずむ「称名寺(しょうみょうじ)」は、派手さのない、素朴で落ち着いた佇まいのお寺です。春になると、山門のそばに立つしだれ桜がふんわりと花を咲かせ、訪れる人をやさしく迎えてくれます。
このしだれ桜は、周囲のソメイヨシノよりやや早く咲き始めることが多く、その枝ぶりと花の重なりが、控えめながらも印象的なコントラストを生み出します。特別な演出はなくとも、そっと息をのむような美しさがそこにはあります。

境内は、四季折々の植物が丁寧に手入れされており、どこを切り取っても絵になる風景。写真を撮るにも、構図に悩まず、自然のままを受け止めるような感覚で向き合うことができます。

称名寺は「三浦三十三観音霊場」の第11番札所にもなっており、観音堂には地元の人々から長く信仰を集めてきた聖観音像が安置されています。観音堂は通常非公開ですが、春のやわらかな空気の中、その存在をそっと感じることができます。
近くには桜並木が美しい「通研通り」もあり、称名寺と合わせて立ち寄るのもおすすめです。静かな春の時間を、花とともにゆったりと味わえるスポットです。
📍 住所:神奈川県横須賀市野比1-32-15
おすすめ桜スポット③ 等覚寺(久村)ー 静けさを映す、一樹のしだれ桜

久村の住宅地にひっそりと佇む「等覚寺(とうがくじ)」は、日蓮宗総本山・身延山久遠寺の直末にあたる由緒ある寺院です。境内に足を踏み入れると、まず訪れるのは音のない時間。車通りも少なく、鳥の声や枝の揺れる音が、風景の一部として溶け込んでいます。
100年を越える枝垂れ桜と静寂の時間

本堂へ続く石段のそばに立つのは、樹齢100年を超えるしだれ桜。その歴史は、大正時代に27世・日優上人の誕生を記念して植えられたもの。高さのある枝ぶりが空を撫でるようにしなやかに広がり、その姿は静かに、けれど確かに記憶に残ります。派手な華やかさはないものの、気づいたときには心を掴まれているような、そんな一本です。

境内は広すぎず、写真を撮るには絶妙なバランス。光と影の移ろいで、わずかな立ち位置の違いがフレームの印象を変えてくれます。時間帯や天気によって表情を変える、桜と風景の対話が楽しめます。
また、観音堂には平安時代後期の木造仏像が安置されており、横須賀市の重要文化財にも指定されています(内部は非公開)。長い時間を静かに見つめてきた存在が、空間に穏やかな重みを与えてくれます。

春のお彼岸と開花の時期が重なることもあり、駐車場は檀家さん優先となります。訪れる際は、公共交通機関や近隣のコインパーキングを利用すると安心です。
静かに、そして深く心に残る春の風景を探しているなら、ぜひ足を運んでほしい場所です。
📍 住所:神奈川県横須賀市久村479
公式サイト:temple.nichiren.or.jp/0061063-tougakuji
旅の締めくくりに:よこすかポートマーケット

春の寺巡りと桜散歩を終えて立ち寄ったのは、「いちご よこすかポートマーケット」。東京湾に面した開放感あるロケーションに、多彩な食と地元の魅力が詰まった複合施設です。旅の終わりにふさわしい、横須賀らしさを味わえる場所でもあります。
HONEY BEE



まずは、横須賀名物「ネイビーバーガー」を味わうなら、老舗の〈HONEY BEE〉へ。ジューシーなパティとボリューム満点のアメリカンスタイルは、見た目にも写真映えし、食べごたえも抜群です。
横須賀ビール TAPROOM



喉を潤す一杯には、〈横須賀ビール〉のクラフトビールがおすすめ。地元の湧水や食材を活かして丁寧に醸造されたビールは、種類も豊富。テラス席で海風を感じながら楽しめば、旅の気分もさらに高まります。
BUTCHER’S TABLE 横須賀松坂屋



お肉派の方には〈BUTCHER’S TABLE 横須賀松坂屋〉。クラフトソーセージや揚げたての「スカメンチ」は、地元ならではの味わいが詰まった逸品です。
YOKOSUKA GELATO FACTORY



そして、デザートには〈YOKOSUKA GELATO FACTORY〉のジェラートを。関口牧場のミルクを使ったフレッシュな味わいに、三浦半島の旬のフルーツや野菜のフレーバーが並びます。季節ごとに変わる限定フレーバーも見逃せません。

マーケット内を巡るうちに、旅の余韻がゆるやかに深まり、桜の風景とともに「横須賀の春」がじんわりと心に残っていきます。
テラス席からは、記念艦「三笠」や港の風景が望め、食事のひとときさえも一枚の写真のように感じられます。
料理の彩りや人の流れ、海辺の光——グルメと風景が交差するこの場所には、カメラを向けたくなる瞬間が随所にあります。
- 所在地: 神奈川県横須賀市新港町6
- アクセス: 京急本線「横須賀中央駅」から徒歩11分
- 公式サイト: https://yokosukaport-market.com/
- 営業時間: 10:00~19:00(一部店舗は18:00まで)
旅のおわりに:もう一度、歩きたくなるまち

桜と静かな寺院、そして地元の味をめぐる一日は、写真だけでは伝えきれない豊かさがありました。
横須賀の春は、何気ない風景の中に、ふと物語を感じさせてくれます。
また季節が変わる頃、きっともう一度、このまちにレンズを向けたくなる。
そう思わせてくれる静かな記憶が、この旅にはありました。
今回の撮影旅では、点在する寺院や桜の名所を効率よく巡るために車を利用しました。
各所には駐車スペースがある場所もありますが、特に春のお彼岸など混雑が予想される時期には、お墓参りの方や地域の方々を優先する必要があります。
周辺のコインパーキングや公共交通も上手に組み合わせながら、静かな風景と地域の暮らしにそっと寄り添うような旅を心がけましょう。
・京急久里浜駅から車で約10分/徒歩約25分
・満昌寺から車で約7分
・火・水・金~日:11:30〜14:30(L.O.14:00)
・金・土のみ夜営業:17:00〜21:00(L.O.20:00)
※個室あり(7〜8名用・要確認)