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富士五湖とは?
富士山の麓、北側に、美しい湖がいくつも佇んでいることを、ご存じでしょうか。
『富士五湖』(ふじごこ)は、山梨県側の富士山麓に位置する、5つの湖の総称です。
本栖湖 (もとすこ):富士河口湖町、身延町
精進湖 (しょうじこ):富士河口湖町
西湖 (さいこ):富士河口湖町
河口湖 (かわぐちこ):富士河口湖町
山中湖 (やまなかこ):山中湖村
かつては富士八海などと呼ばれ巡礼地にもなっていた、湖面標高800mを超える湖の数々です。
新幹線の車窓などからはちょうど富士山の真後ろに位置し、普段なかなか直接目にすることは少ない湖の姿。
古来信仰の場として日本の人々に守られ、大切に崇められてきました。
富士山の活動により水がせきとめられて生まれたもの(堰止湖)、湧き水によってできたもの‥
様々なご縁で生じた湖たちはそのどれもが、清浄な水への感謝と共に私たちの胸に在り続けてきた、 “原風景のひとつ” なのではないでしょうか。
愛される形、呼び名は時と共に移り変わります。
近代化以降、富士急の創設者である堀内良平氏によって新たに、富士八海のうち5つの湖に『富士五湖』の名が与えられます(昭和初期)。
2013年にはこの『富士五湖』が「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として登録されます。世界文化遺産として、今や世界中の人々が観光や登山に訪れる場所となっています。
一度訪れてみると、その美しさと清らかさ、静謐さに、ほっと和らぎ、心癒される湖。
湖畔から雄大な富士山を仰げば自ずと、敬虔な祈りの念も胸に浮かんでくることでしょう。
今回は富士五湖の内、富士山登山口・吉田口にも近く、都心からも訪れやすい河口湖に注目します。
富士五湖の中での河口湖の位置や、河口湖周辺の魅力的なスポットをご紹介します。
河口湖北岸、産屋ヶ岬付近から眺めた景色
富士五湖・河口湖の位置など
富士五湖には、元々の産みの親、お母さんがいます。
太古の昔から富士北麓に存在していた大きな湖でした。
数千年前から10世紀ごろまでの富士山の噴火で、この太古からの湖が溶岩流により分断され、富士五湖はできたのです。
青木ヶ原樹海も、溶岩流により生まれたものです。
河口湖座標: 北緯35度31分4秒 東経138度45分22秒
地理院図(電子国土Web)より
富士五湖の中で河口湖は、ほぼ中央にある大きな湖。胃袋のような勾玉のような形をしています。
面積は山中湖に次いで2番めの大きさです。でも水深は最も深くても14.6m(意外に浅いのですね!)、山中湖に次いで2番めの浅さとなっています。
富士五湖の湖面標高を眺めてみてみると、地形の成り立ちなどが垣間少しずつ見えてきて、面白いです。
(湖面標高が同じということは‥)
筆者イラスト📖参照データ:
河口湖.net | 写真で綴る富士山と観光スポット
富士五湖の成り立ちについて詳しく知れます↑
(「西湖」「精進湖」「本栖湖」は繋がっている⁈)
富士五湖は「河口湖」から西側に「西湖」→「精進湖」→「本栖湖」と続く湖と、「河口湖」南東の「山中湖」で構成されます。
山中湖以外の4つは全て、富士河口湖町の湖。
富士河口湖町は日帰りや1泊2日の滞在でも訪れやすい(都心から約2~3時間)エリアです。
また登山ルートの一つとして有名な吉田口登山道の北側、ほど近くにも位置するので、富士登山の行き帰りに寄って楽しむこともできます。
(実体験で、2週連続で、週末都内から観光→登山と行けてしまいました)
観光客にも登山客にとっても何度もまた行きたくなる、人気の場所です🍀。
愛されている空気が、肌に心地よく感じられます♡。
🍀《in 富士河口湖町》(ふじかわぐちこちょう、Fujikawaguchiko Town)
①河口湖(かわぐちこ、Lake Kawaguchiko )
②西湖(さいこ、Lake Saiko )
③精進湖(しょうじこ、Lake Shojiko )
④本栖湖(もとすこ、Lake Motosuko )
🍀《in 山中湖村》(やまなかこむら、Yamanakako Village)
⑤山中湖(やまなかこ、Lake Yamanakako )
河口湖座標: 北緯35度31分4秒 東経138度45分22秒
地理院図(電子国土Web)より
では、河口湖周辺のおすすめスポットを、河口湖駅から近いエリアから順にご案内しましょう。
河口湖遊覧船(アンソレイユ号)
アンソレイユ号は、河口湖の東側を一周約25分で周れる遊覧船です🚢。
南欧のレイクリゾートをイメージして造られています。
乗り場の河口湖畔船津浜(アンソレイユ号桟橋)は、河口湖駅から北に徒歩約10~15分ほどの距離にあります。到着した日に駅からそのままでも行きやすい場所です。
この船の名 “アンソレイユ” は、「日(=ソレイユ、soleil)当たりのよい、光に満ちた」という意味のフランス語が由来のもの🌞。
もし河口湖到着時お天気が良ければ、最初に向かって船に乗ってみるプランもおすすめです。
ensoleiller / ɑ̃-sɔ-lε[e]-je / (← soleil) 他動
❶ …を陽光で満たす, …に日光を注ぐ
❷ …を輝かせる, 晴れやかにする, 陽気にする ¶ ~ le visage 顔を晴れやかにする
ensoleillé, e / ɑ̃-sɔ-lε[e]-je アンソレイエ /形
❶日当たりのよい, 光に満ちた ¶ appartement ~ 日当たりのよいアパルトマン ❷晴れやかな
プチ・ロワイヤル仏和辞典第3版©KURAKATA et al. 2003 /©2008 MONOKAIDO Co. Ltd.
河口湖遊覧船「アンソレイユ号」の周遊ルート🚢
アンソレイユ号は、河口湖の東南の船津浜から「鵜(う)の島」(河口湖の中央)の方へ周遊します。
河口湖大橋を越え、八木崎公園・六角堂を左手に過ぎて、大石公園や長崎公園が北方に眺められる辺りでUターンするルートです🚢。
地理院地図(電子国土Web)より
以下Googole Map内は陸路・徒歩の表示ですが、南東の船津浜(船乗り場)から河口湖大橋をくぐり、河口湖の中央・小さな「鵜(う)の島」のあたりまで回りぐるっと見渡し戻ってきます。
「鵜の島」は、河口湖の真ん中に浮かぶ小さな島。
いつ頃の昔から、浮かんでいるのでしょう‥
「鵜の島」付近からは、天気の良い日には湖面に富士山が綺麗に映る「逆さ富士」を見ることがでることがきます。
湖面に丁度さかさまに映る「逆さ富士」
広い湖の上から、壮大な富士山や美しい湖畔を眺めて、思い切り五感をリセットしてみてはかがでしょうか?
富士五湖汽船 河口湖遊覧船「アンソレイユ号」基本情報とマップ
富士五湖汽船 河口湖遊覧船「アンソレイユ号」
船乗り場:山梨県南都留郡富士河口湖町船津4034(船津浜) マップ
TEL:0555-72-0029
営業日:年中無休 ※悪天候による運休あり
営業時間:毎時00分・30分出航(2019年の例)
●通常営業 9:00~16:30
3/7~4/24・5/7~7/12・9/2~11/24
●GW営業 9:00~17:30
4/25~5/6
●夏期営業 9:00~17:30
7/13~9/1
●冬期営業 9:30~16:00
11/25~12/30・1/6~3/6
●正月営業 9:00~16:30
12/31~1/5
アクセス:河口湖ICから車で10分
駐車台数:
乗用車300台(県営無料駐車場)
大型バス駐車可能
料金:
大人(中学生以上)1000円
子供(小学生)500円 ペット500円
座席数:120席
運行状況など詳細はこちら▼
WEB:富士五湖汽船 河口湖遊覧船「アンソレイユ号」
富士五湖の観光を満喫できるお得なセット券
河口湖遊覧船と合わせて近隣の「天上山公園カチカチ山ロープウェイ」や「河口湖・西湖周遊レトロバス」も楽しみたい方に、お得なセット券も販売されています。
(※セット券は個人・団体ともにお支払いは現金のみ)
「遊覧船&ロープウェイセット券」
料金:大人(中学生以上)1600円/子供(小学生)/800円
「遊覧船&ロープウェイ&周遊バスセット券」
料金:大人(中学生以上)2800円/子供(小学生)/1400円
セット券販売所:
①河口湖遊覧船内
②(〜河口湖〜富士山パノラマロープウェイ)河口湖畔駅
③河口湖駅
セット券の詳細情報はこちら▼
WEB:富士五湖汽船 お得なセット券
~河口湖~富士山パノラマロープウェイ(河口湖天上山公園)
遊覧船アンソレイユ号の船津浜の乗り場の東隣には、ロープウェイ場乗り場が見えます。
「カチカチ山ロープウェイ」。赤い車体のてっぺんに、赤いちゃんちゃんこ着た白兎が乗っています。
とっても可愛らしいロープウェイが動きます🐇。
登る先には、河口湖畔の東にそびえる標高1,140mほどの天上山(てんじょうさん)。
頂上の展望台へ、高低差220mを3分で結びます。
天上山山頂からの、冬の富士山の眺め
南には富士山、北方には南アルプスまで楽しめる絶景が目の前に広がり、壮大な河口湖の姿を存分に楽しめます。
ハイキングコースも用意されていて、徒歩4~50分で登れる距離。
天上山山腹にはあじさい群生地があり、7月上旬から8月上旬にかけてはロープウェイからも麓の駅からのハイキングコースからも眺められます。
山頂から15分ほど歩いて下った「央平(なかばだいら)」から麓まで、約10万本のあじさいが斜面一面に咲き乱れるのです。
草花や木々の姿を楽しみたい方は、ハイキングメインで天上山をゆっくり楽しんでみられてもよさそうですね。
「カチカチ山」by 太宰治~妻・美知子さんとのご縁生まれた河口湖~甲府
「カチカチ山」、昔聞いたこのお話、どんなストーリーだったでしょう? “河口湖畔” が景色に思い浮かぶお話だったでしょうか‥?
簡単にまとめると、「おばあさんを狸に殺されたおじいさんが、兎にたのんで悪い狸を成敗してもらうという日本の民話でしたね。「カチカチ」は、狸の背負った柴に、兎が火打ち石で火をつける際の音です。
『カチカチ山』日本昔ばなしデータベース
この、全国に伝わり沢山の子供向け絵本にもなってきた「カチカチ山」は、実は終戦直後の1945年10月、太宰治によって「お伽草紙」の中の一作品としてリメイク版が出版されています。
「太宰治版カチカチ山」の舞台となったのが、河口湖の東にそびえる天上山です。
(太宰治が滞在した天下茶屋は河口湖の北東、御坂峠の方)
地理院地図(電子国土Web)より
太宰が河口湖に療養に訪れた縁により、新解釈で書き直され、美少女と男の宿命物語となっています。
(あの太宰さんも安らぎにいらした河口湖‥!)
最初の一節から切り口が面白く、青空文庫(太宰治『御伽草子』)でも読むことができます。
筆者撮影:
太宰治『お伽草子』新潮文庫改版2009年3月
解説:奥野健男「お伽草子」pp.257~367
内、「カチカチ山」pp.332~366
太宰治版カチカチ山 in「お伽草紙」冒頭
カチカチ山
カチカチ山の物語に於ける兎は少女、さうしてあの惨めな敗北を喫する狸は、その兎の少女を恋してゐる醜男。これはもう疑ひを容れぬ儼然たる事実のやうに私には思はれる。これは甲州、富士五湖の一つの河口湖畔、いまの船津の裏山あたりで行はれた事件であるといふ。甲州の人情は、荒つぽい。そのせゐか、この物語も、他のお伽噺に較べて、いくぶん荒つぽく出来てゐる。だいいち、どうも、物語の発端からして酷だ。婆汁なんてのは、ひどい。お道化にも洒落にもなつてやしない。狸も、つまらない悪戯をしたものである。
太宰治『御伽草子』
青空文庫http://www.aozora.gr.jp/
底本:「太宰治全集第七巻」筑摩書房
1990/平成2年6月27日初版第1刷発行
なんと色褪せない、太宰節。
皮肉の向こうに徹底的に流れる意識は、なんと言うのでしょう‥
デカダンス、芸術至上主義‥?
デカダンスdécadence:衰退、退廃、凋落
以下、お好みの方へ☕。
世の中は太平洋戦争に向って、言論統制の厳しい、悪時代になってゆく中で、太宰治は次第に深く古典やフォークロアの世界に沈潜し、ますます多才な芸術的才能を開花させてゆく。戦争が激化し、日本が破滅に向って堕(お)ちてゆくとき、もはや太宰にとって、自殺も、革命も、自己破壊も不可能になり、ただ内に向って文学そのものと化したような、すさまじい創作力を燃やし続ける。時流を超(こ)えた古典やフォークロアの絶対の宿命の中に、人間の永遠の真実の姿を深く捉えようとする。しかも太宰は決して時代から目を背(そむ)けていない。戦争期の人間の中にも潜(ひそ)んでいる真実を祈るような思いで描いているのだ。
太宰治『お伽草子』新潮文庫改版、2009年3月
文芸評論家奥野健男氏「解説」
(1972/昭和47年2月)より
フォークロアfolklore:民間伝承、民俗、民俗学など
下線部強調:筆者
2019年9月、小説『人間失格』のリメイク作品とも言える映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』(監督 蜷川実花・脚本 早船歌江子)が公開され、太宰作品は今、改めて注目を集めています。
#映画人間失格 各界から絶賛の声💭
✍️#村上龍 さん
(作家)
「太宰の小説はおそらく永遠に読み継がれる。この映画は、そのわけを秘やかに示す。」 pic.twitter.com/UIfnW9TqOr
— 映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』 (@NSmovie2019) 2019年9月16日
映画の主題は小説『人間失格』の誕生秘話で、時代設定は太宰の晩年(30代後半)ですが、遡ること数年前、小栗旬演じる文豪・太宰治が、妻・美知子(宮沢りえ)と出会うきっかけが生まれたのが、この河口湖畔。
天上山から見てやや北西、御坂峠に今もある「天上茶屋」に、太宰は井伏鱒二の勧めにより、3カ月ほど滞在・療養していました(1938年/昭和13年9月~)。
そこで甲府に住む才女・石原美知子(地質学者・石原初太郎の4女)との見合いの話が持ち込まれ、翌年1月8日には結婚するのです(30歳)。
ふと、井伏氏が、
「おや、富士。」と呟いて、私の背後の長押(なげし)を見あげた。私も、からだを捻(ね)ぢ曲げて、うしろの長押を見上げた。富士山頂大噴火口の鳥瞰(てうかん)写真が、額縁にいれられて、かけられてゐた。まつしろい睡蓮(すゐれん)の花に似てゐた。私は、それを見とどけ、また、ゆつくりからだを捻ぢ戻すとき、娘さんを、ちらと見た。きめた。多少の困難があつても、このひとと結婚したいものだと思つた。あの富士は、ありがたかつた。
太宰治『富嶽百景』青空文庫http://www.aozora.gr.jp/
底本:「筑摩現代文学大系59 太宰治集」
筑摩書房、1975(昭和50)年9月
初出:「文体」1939(昭和14)年2、3月
美知子さんが育った甲府の風土を遥かに想いながら、御坂山地の遥かな景色を眺めることもできますね。
筆者撮影:(左)太宰治『お伽草子』
新潮文庫改版(85刷)2009年3月
昭和47/1972年2月初版
解説:奥野健男 「お伽草子」pp.257~399
(右)太宰治『富嶽百景・走れメロス 他八篇』
岩波文庫改版(69刷)2013年1月
昭和32/1957年5月初版
解説:井伏鱒二 「富嶽百景」pp.51~76
富士山パノラマロープウェイの基本情報とマップ
河口湖 富士山パノラマロープウェイ
(河口湖天上山公園)
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町浅川1163-1 マップ
料金:
大人・中学生以上:往復900円(片道500円)
小学生まで:往復450円(片道250円)
アクセス:
<車>中央自動車道河口湖ICから15分
<電車>富士急行線「河口湖駅」から徒歩15分
運行時間※季節により変動(5分〜10分間隔で出発)
(通常期)
平日 9:30~16:00(下り最終16:20)
土休日 9:30~17:00(下り最終17:20)
定休日:年中無休
電話番号:0555-72-0363
富士山パノラマロープウェイ詳細情報はこちら▼
WEB:河口湖 富士山パノラマロープウェイ
河口湖ハーブ館 KAWAGUCHIKO HERBKAN
河口湖ハーブ館はショップ・体験教室・カフェなどが入っている観光施設です(入館無料)。
ハーブ関連のグッズや山梨地場産品の取り揃えが大変充実しているので、河口湖からのお帰りの際、迷われたらまずはこちらにお土産購入タイムで寄られてみるのもおすすめです🌸
ショップとカフェ、カステラ工房、中庭、温室、「香水の舎」などが1階にあり、2階にはハーブ専門店と体験教室があります。
富士山グッズ、ふじぴょんグッズ、地酒やワインなどの他に、館内の工房で作っている手作りカステラも注目のお土産となっています。
本館1Fから南へ抜け出ると、様々なハーブや花が迎えてくれる中庭が現れます。
ここは最盛期には200種近くもの植物が育ち、ハーブの香りに包まれる場所🌸🌿
背景の富士山と共にゆっくり眺めて過ごせる、穴場なスポットとなっています。
中庭のそばには温室とカフェもあり、カフェのみの利用も可能。お庭を眺めながら、本物のハーブティと共に、癒しのひと時を過ごせます☕
草花がお好きな方なら、じっくり観察して味わうことも🍃
中庭と香水の舎(右奥)
香水の舎で、お好みのアロマ体験も(30分程度)
河口湖ハーブ館本館2階には、河口湖で唯一のハーブ専門ショップがあります。
店内は真心のこもった手作りのリースやドライフラワー、押し花などに溢れ、ハーブティー、ティーカップ、入浴剤の他、可愛い花柄の布製品なども豊富です。
体験教室も開かれていて、ドライフラワーを使ったメニューなど存分に楽しめます。
河口湖ハーブ館 KAWAGUCHIKO HERBKAN 体験教室メニュー ・ハーバリウム(所要時間30分)…今話題のハーバリウム手作り体験。 ・押し花🌸額装(所要時間30〜40分+額装に20分程) ・押し花🌸樹脂コーティングタイプ(所要時間15〜30分+仕上げコーティングに20分程)…ペンダントヘッドやアクリルコースター、ペーパーウェイトなど手作り体験。 ・押し花🌸貼り付けタイプ(所要時間15〜40分)…学生の方に大人気の定規、定番のストラップ、キーホルダーの手作り体験のほかに、季節限定で団扇やカレンダーの製作なども。 |
既製のハーブ製品を買うだけでなく、植物自体に触れ、癒しの力を味わうことができる河口湖ハーブ館。
ちょっとカフェ休憩をしたり、お土産を買いに、一度は訪れてみたくなる場所です。
多言語観光情報サイト「Guidoor(ガイドア)」|河口湖ハーブ館
河口湖ハーブ館の基本情報とマップ
河口湖ハーブ館
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町船津6713-18 マップ
TEL:0555-72-3082
FAX:0555-72-3083
営業時間:
9:00~18:00
(冬季11月~3月は17:30まで・本館2階、別館 香水の舎は18:00まで営業)
カフェ:
9:00~20:00(L.O 19:30・営業時間の臨時短縮あり)
休館日:年中無休(年末年始営業時間の短縮あり)
駐車場:50台(無料)
河口湖ハーブ館の詳細情報はこちら▼
WEB:河口湖ハーブ館
河口湖駅からのアクセス
産屋ヶ崎(うぶやがさきじんじゃ) 富士山の雄大な眺めと桜の名所
産屋ヶ岬、河口湖大橋の下から富士山を眺める景色
産屋ヶ崎は、河口湖大橋の北詰の岬で、桜の名所として知られます。
桜の開花時期は4月中旬頃で、富士山と湖と桜の映える美しい景色を観に多くの方が訪れます。
画面中央、河口湖大橋の左端に、産屋ヶ崎
河口湖大橋の北側から湖を眺めると、産屋ヶ崎の突端に岩場が見えます。
その岩場には、小さな祠が建てられています。
石の灯篭を目印に崩れそうな石段を上がっていく先の、岬の上のその小さな祠が、産屋ヶ崎神社です。
ひっそりとした神社ですが、そこからの富士山の眺めは雄大で誰もが息を呑みそう。
きっと忘れられない景色に出会えることでしょう。
この岩場は遥か昔、噴火により流れてきた溶岩でできていて、一帯がすべて富士山とつながっていることを、密かに伝えてくれています。
古来人々の胸に留まる遥拝の地として神話が伝わり、産屋ヶ崎神社は、少し北方に鎮座する『河口浅間神社』の末社とされています。
遥拝: 遥か遠くから神仏などを拝むこと
“海彦、山彦”の神話で知られる、山彦こと「彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)」と、“龍宮城”の伝説で知られる、乙姫こと「豊玉姫命(トヨタマヒメノミコト)」が祀られています。
社名:産屋ヶ崎神社(うぶやがさきじんじゃ)
祭神:彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)俗名 山彦/豊玉姫命(とよたまひめのみこと)俗名 乙姫
御由緒:山彦、乙姫達は海の国より帰られこの岬に茅で産屋を作られ、御子鸕鷀草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)を生み給う。この故に産屋ヶ岬の地名あり。
祭日:4月25日 山彦の御母神、浅間様は御神霊みたまと共に産着を持ってお見舞いに渡られる。この故にこの祭りを孫見祭という。
御神徳:結縁、安産、育児、商売繁盛、家内安全
祠近くの案内板より
産屋ヶ崎神社の基本情報とアクセスマップ
行き方:河口湖大橋を南から渡った先の河口湖大橋北の信号を、右に曲がり(急な角度なので注意)「御坂みち」に入ります。駐車場は河口湖大橋側にひとつ広い場所があり、トンネル抜けた先にも、脇に停められるスペースがあります。
「御坂みち」を進んだ左カーブの先、右手の湖畔に神社に上がる階段があります。石の灯籠が目印です。
産屋ヶ崎神社
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町浅川1 マップ
産屋ヶ崎神社の詳細情報はこちら▼
WEB:河口湖.net 「産屋ヶ崎神社」
河口湖美術館 KAWAGUCHIKO MUSEUM OF ART
富士へのオマージュに満ちた美術館
オマージュ:hommage、尊敬、敬意
河口湖の東北岸に静かに佇む河口湖美術館(車で10分程)は、富士山にちなんだ絵画・版画・写真を多数コレクションにもつ、富士五湖地方で初の公立の美術館です(1991年(平成3年)4月開館)。設計は日本を代表する建築家板倉準三の血を引く坂倉竹之助氏のアトリエ(坂倉インターナル)。
河口湖大橋北を過ぎ、車窓から湖畔を見やると一面の萌黄色、緑の樹々の中に、落ち着いた灰白色の建物が目に入ります。湖を背景に、どこか錫色(すずいろ)のような印象も与える建築。
錫は銀白色の金属。古来、金・銀に次ぐ高価な金属とされました。錫色は、白みを帯びた灰色、無彩色の銀色に近い明るい鼠色。
古くは「薄雲鼠」「絹鼠」「銀灰色」とも。ガラス張りの一角に光が差し込み反射する外観は遠くから眺めるだけでも、心ひき立ちます。
企画展では国内外の古代美術から現代アートまで、幅広いジャンルがテーマに選ばれ、常設展とともに展示内容は充実しています。
吉田博展などの企画展も含め、やはり魅力は、富士山に魅せられ人生を懸けた芸術家たちの、切なる祈りのような想いに満ちた作品に溢れていることでしょうか。
富士山写真大賞受賞作品の展示も定期的に開催されており、訪れるたびに富士山の深い魅力を見つけることができます。
鑑賞した後に見る、富士山と輝く湖面には、新しい想いがきっと湧いてくることでしょう。
施設内のガラス張りの一角にあるカフェも、そこだけでゆっくり過ごしたくなるくらい、素敵なスポットです。
壁一面のガラス窓からは、全席から河口湖の景色を眺めながらゆっくりとした時間を過ごせます。カフェのみの利用も、ぜひ☕
企画展ごとに展覧会のテーマをイメージしたケーキセットや、和スイーツなども提供されています。
この美術館設立の背景には、地元の方々の熱い想いが生きています。
その表れのひとつが、ロゴマーク。
作り手は日本を代表するデザイナーの一人、松永真氏。
松永真 まつながしん 1940(昭和15)-
河口湖美術館公式HP>施設概要>OUTLINE
グラフィックデザイナー。東京・高輪に生まれる。父は書家。東京芸術大学美術学部デザイン科を 卒業後、資生堂宣伝部に入社し1971 年独立。グラフィックワークはもとより、パッケージデザ イン、ブックデザイン、企業のC・I など活動は旺盛にして幅広く、そのシンプルにして鮮烈なデザ インワークをもって、70 年代から今日に至るも日本を代表するデザイナーの一人に数えられる。
展覧会出典作品だけでなく、美術館の建物そのもの、デザインも総合的にクオリティが高く、訪れてひと時を過ごしているうちに洗練された気持ちになれる場所です。
河口湖に到着された日、お天気が崩れてしまった際など、ぜひ一度訪れてみられてはいかがでしょうか。
河口湖美術館の基本情報とマップ
河口湖美術館
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町河口3170
TEL:0555-73-8666
FAX:0555-76-7879
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
※季節により変動有り
入館料:
一般・大学生800円(720円)
高校生・中学生500円(450円)※小学生以下無料
※()内は8 名以上の団体料金
休館日:火曜日(祝日の場合開館)、年末 ※6~8月は無休
展示替えのための休館(不定期、 要問合せ)
駐車場:大型車10台・普通車50台(無料)
河口湖美術館の詳細情報はこちら▼
WEB:河口湖美術館
吉田博展 2019年10月26日(土)~12月22日(日)
福岡県久留米市に生まれ、明治、大正、昭和の時代にかけて、写実表現を駆使し風景画の第一人者として、また我が国の浮世絵の歴史から連なる高度な木版画表現の大成者としてこんにちも高い評価をもって語られる吉田博(1876-1950)の版画作品、スケッチや版木などの資料を含め約250点を展示。
河口湖美術館の豆情報
美術館の南側に、草木や花に親しめる町営の芝生広場が隣接しています。
晴れた日にはここでピクニック感覚で過ごすこともできます(公共トイレ有)。
通常は観光客も少なく富士山や河口湖、周囲の山々を見渡せのんびりと過ごせる穴場スポットです。ホタル池もあり、6月下旬にはホタル鑑賞会(ホタルの夕べ)も行われます。
河口湖美術館の豆情報2
美術館の東側には、人気のほうとう研究所があります🍲
当店は歴史ある「ほうとう」の味の 可能性や更なる新メニューを深求し 私達自身が美味しいと思うものを純粋な気持ちで 皆様にご提供させていただきます。 そこで、屋号を 「ほうとう研究所」 と致しました。 また、自家製ほうとう麺を使用し、食材においても 私達がこだわった食材のみ厳選して使用しております。
ほうとう手作り体験もできます♪
海鮮ほうとう専門店ほうとう研究所第3研究室(体験ラボ)
自然豊かな「久保田一竹美術館」
筆者撮影:久保田一竹美術館
茶房「一竹庵」より眺めた龍門の滝
久保田一竹美術館は、染色家・久保田一竹氏(1917~2003)により1994年(77歳)に建てられた、氏の作品を常設展示する美術館です。
赤松の自然林に囲まれる高台に、1990年代に開館(本館・新館・庭)しました。
筆者撮影:久保田一竹美術館
正門より新館に向かう先、館を囲う樹々
河口湖を望む北岸の地にあり、美術館からは荘厳な富士山の姿が眺められます。
「人と自然と芸術の三位一体」「新しい文化・芸術の発信地」を2大テーマとします。
『一竹辻ヶ花』の作品以外にも、庭園や建物すべてに久保田一竹氏の世界が感じられます。
上記3点筆者撮影:久保田一竹美術館
散策路・竹林を臨む/新館前
シベリア抑留を経て、日本美を世界へ届けた染色家 久保田一竹氏
辻ヶ花とは本来、室町時代に興り江戸初期に消えた絞り染めの技法を指しました。
辻ヶ花 Tsujigahana
室町時代に隆盛を極めた縫締絞りをその主たる技法とした文様染め。
名称の由来は定かではない。 庶民の小袖から始まったと言われているが、後に秀吉等の武家に好まれ、高級品として一世を風靡するも、江戸初期により自由に多色を使い、絵画的表現が出来る「友禅染め」の出現により、衰退されたとする説が有力。
辻が花と一竹辻が花|一竹工房・一竹辻が花
Itchiku Atelier・Itchiku Tsujigahana より
久保田氏は20歳の時、東京国立博物館で出会ったこの中世の「辻が花」の小裂に魅了されます。
その後27歳での召集、終戦、3年に亘る過酷なシベリア抑留を経ても、継承の途絶えた染色「辻が花」の復元への想いを手放しませんでした。
1961年(昭和36年)44歳で河口湖畔の当地に工房を構え、漸く本格的に「辻が花」研究の道に邁進。
1977年(昭和52年)念願の初個展を銀座ミキモトにて開催します(60歳)。
その後の活躍は目覚ましく、着物の布地に繰り広げられる作品世界と氏の足跡には、言葉を失うばかりです。
1990年、フランス政府よりフランス文化勲章シュヴァリエ章を受章。
1994年、河口湖に一竹美術館を開設。
1995年、米国スミソニアン国立自然史博物館より半年間に渡る同博物館での個展への協力に対し、感謝状を授与。
久保田 一竹|一竹工房・一竹辻が花
Itchiku Atelier・Itchiku Tsujigahanaより
緑色の写真 富士山火焔太鼓公演 仰響(こうきょう)
室町時代来の染色技法の復元を夢見た久保田氏ですが、1962年(昭和37年)、草木染ではなく化学染料を取り入れる決意に至ります(45歳)。
自らの技法を『一竹辻ヶ花』と命名、独自の思想と共に作品世界を発展させていきます。
本館では『一竹辻ヶ花』による着物等約30点が常時展示され、「辻ヶ花」技法の詳細を伝える動画も観ることができます。
季節ごとに作品は入れ替えられ、「四季」や「宇宙」などの主題に沿った『一竹辻ヶ花』が展開されています。
青森ヒバオール(株)Instagramより
部屋の中央が吹き抜けのように高く上がる大木の構造になっていて、眼が吸い込まれます。
輪廻を意識させるようなキュレーションに身体が自然と別次元へと、促されることでしょう。
キュレーション:展示構成
『一竹辻ヶ花』作品の魅力のひとつに、化学染料による色彩のvivid(鮮明)さという特徴があります。
シベリア抑留の果てに氏が魂に焼き付けた陽の輝きと、宇宙まで見通す想い―それらが生命力として時空を超え、伝わってくるのでしょう。
久保田一竹美術館には、お茶処が二か所、用意されています。本館奥の茶房「一竹庵」と、新館「蜻蛉玉ギャラリー」1Fに中に面したカフェ。
《茶房「一竹庵」》
龍門の滝を見ながら、お抹茶と上生菓子(じょうなまがし)いただけて‥安らげます。
季節ごとの主菓子(おもがし)を、いかがですか。
上記3点、筆者撮影:
龍門の滝。本館の奥、茶房「一竹庵」にて
こちらは、新館「蜻蛉玉(とんぼだま)ギャラリー」のほっと休めるカフェからの景色です。
晴れた日は富士山の頂上を望むことができます。(※入場料:ドリンク付き¥500ほどがかかります)
上記4点、筆者撮影:
新館「蜻蛉玉ギャラリー」より
お腹が満たされたら、少しお庭を散策されてみてはいかがでしょうか。
竹林に、苔むす地面に、なんとも癒されます。
筆者撮影:久保田一竹氏歌碑
歌碑「一竹の いのちを染めし この辻が花 生きよ華やげ 幻ならで」
久保田一竹美術館
ITCHIKU KUBOTA ART MUSEUM
|久保田一竹 より
たった数十年前同じ日本に生まれ、想像を絶する苦難のなかから、世界に通じる日本美をたった一人で生み出されてきた久保田一竹氏。
氏がなぜ河口湖に引き寄せられたのかに想いを馳せながら、また改めて訪れて見たくなる美術館です。
初めての方、カップルにもご家族連れでも、たっぷりの感動と安らぎが得られる場所。
北岸に行かれる際は、ぜひ、おすすめのスポットです。
《基本情報》
住所 :富士河口湖町河口2255
休館日:不定休
入館料:
大人 1,300円
大学・高校生 900円
中学・小学生400円
開館時間:
10:00~17:00(最終入館時刻16:30))
駐車場:無料
tel :0555-76-8811
以下、富士の国やまなし観光ネットより(2019年6月6日現在) ユニバーサルデザイン:補助犬受入・車椅子スロープ・車椅子参加・メディカルサービス・応急手当・階段の手すり・車椅子駐車場・主要出入口の自動ドア・貸出車椅子/雨天でも楽しめる:可/外国語対応可能言語:英語|中国語|韓国語|フランス語/利用可能カード:VISA|MASTER|JCB|アメリカン・エキスプレス|ダイナースクラブ |
河口浅間神社(かわぐちあさまじんじゃ)
古代に遡る、大切な遥拝地点
富士山の麓には、太古の昔より遥拝地点とされてきた場所が、いくつもあります。
「遥拝」とは山麓などから彼方の山頂を仰ぎ見、崇拝することです。
古来火山活動を繰り返してきた恐ろしくも美しい富士山に、人々はおのずと手を合わせ、祈りを捧げてきたのでしょう。
遥拝地点に設けられた浅間神社
約2,200年前を最後に現在まで、山頂部での噴火は起こしていない富士山ですが、北西から南東のライン山腹には側火山があり、噴火が度々確認されています。
8世紀末(奈良時代末期)頃から、噴火活動が再び活発化します。
律令国家政府は噴火の鎮静化へ祈りをこめて、古(いにしえ)からの遥拝地点に富士山を御神体とする「浅間神社」を建立していきます。
9世紀前半には南麓に、9世後半には北麓に。
河口湖北岸の「河口浅間神社」は、貞観の大噴火(864~866年)を機にこの北麓に建てられた浅間神社を起源とします(貞観7年/865年建立)。
「浅間(あさま)」神社の由来
「浅間(あさま)」神社とは、富士山に対して霊性を感じ、富士山を神としてこれを祀る神社のことです。
富士山の麓だけでなく、全国に鎮座する存在です。
📖「浅間」の語源については諸説あります。
以下、主だった例をご紹介します。 ①噴火の絶えない富士山を鎮めようと、伊勢神宮北東の朝熊山(あさまやま)の火の神・木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやびめのみこと)を富士山へ勧請し(分霊を運び)、浅間と呼んだ説。 ②古くは火山を「あさま」と類似する母音と子音で呼んできただろう推察に基づく説。 寺田寅彦『火山の名について』 |
遥かな富士山に深い畏敬の念を抱き、その山容の美しさに身を震わせる人々の心持ちが、浅間神社を、祭礼と、神社と一体である自然と共に大切に残してきました。
河口浅間神社は、河口湖北東、湖畔から徒歩20分ほどの高台にあります。
神社を包む一帯は、古(いにしえ)からの自然の宝庫。
参道には樹齢1,200年に及ぶ巨木(県指定天然記念物)が一斉にそびえ、厳かな空気に満ちています。
「七本杉(ひちほんすぎ)」と呼ばれる境内の七本の杉の御神木は、樹高40m以上の大きさになります。
悠久の存在が、静寂の中、遥かにそびえています。
河口浅間神社の七本杉
|河口湖.net より
すべてのご神木が富士山の方向に並び生える姿は、神秘そのもの‥ですね。
元々は、すべての周囲の自然が、天然記念物、世界遺産だったのでしょう。
境内地は七本杉をはじめとし、大木(杉、檜、栂[つが]、欅[けやき]、樅[もみ]、松、栃、など)が百本以上もあり、荘厳で厳粛な雰囲気があります。この中でも特に大きく樹齢800年を超える樅の木と栃の木が富士河口湖町の天然記念物に指定されています。 河口湖.netより
河口浅間神社|河口湖.netより
河口湖は地形的に、背後(北側)に自然豊かな御坂山地を抱えています。
御坂山地は、甲府盆地から富士山へ向かう途中の山脈です。河口湖の北側にそびえます。
御坂山地を甲府盆地から河口湖東方へと抜ける峠が、御坂峠です。
御坂峠は旧来官道になっていて、河口浅間神社はこの官道沿いにありました。
御坂峠に行く人帰る人にとって、心留めるお参りの場所だったのでしょう。
16~19世紀にかけては、富士山登拝の隆盛に伴い御師集落としても、ここ河口の地は栄えたそうです。
御師とは:御師の歴史と文化
御師の家 菊谷坊|富士講の歴史・文化体験館|世界遺産の街富士吉田市 |
地理院地図(電子国土web)
19世紀以降吉田御師の方に人気は移り、御師集落としては衰退しました。
でも尚一層素晴らしいのは、ここ河口浅間神社では今でも、富士山を御神体として祀る宗教行事が地元の人々の生活に息づいている、ということです。
その姿が、とても稀有で、美しいのです。
《河口の稚児の舞》
毎年4月25日に行われる例大祭(孫見祭り)で奉納される、地元少女たち(8~10歳くらい)による舞です。
山梨県指定の無形文化財となっています。
「稚児の舞」は、富士山の噴火や地震などの災害を鎮める伝統の舞です。災害を押さえるのではなく、神様が和み穏やかになって欲しいと祈願する舞です。
河口浅間神社 | 河口湖.netより
春の「稚児の舞」は、全5番立ての舞の内、前半の3番が奉納されます。
夏の太々御神楽祭(だいだいおかぐらさい・毎年7月28日)では5番全てが奉納されます。
5番立てでは、少女たちが一日がかりで舞う儀式になるそうです。
《太々御神楽祭(おだいだい)》
この祭りは貞観六年の大噴火の際、穢れ(けがれ)を知らぬ童女の稚児達が浅間様の荒神霊をお慰めしたもので、古くからのしきたりに則り舞を奉納します。氏子の中で、両親の健在な七、八歳の童女で衣装は白衣の上に緋の千早(ひのちはや)、差祓(さしぬき)をまとい、上には錦織の陣羽織、緋の襷(ひのたすき)を懸け、頭には誠を捧げる意味の熨斗紙(のしがみ)を着し、舞瓔珞(まいようらく)を戴きます。
河口浅間神社 | 河口湖.netより
本番に向けて、夜までお稽古されているご様子で、泣けてきます。
木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやびめのみこと)は、3人の御子を燃えさかる産屋で無事に産んだ、美と火の女神です。
木の花とは、桜の花を意味するそう🌸
懸命に舞う少女たちが、木花咲耶姫のご加護の下美しく健やかに、生きていけますように。
故郷の地が無事でありますように‥と、こちらまで祈る気持ちになってしまいます。
とても素敵な、御朱印帳ですね。
「稚児の舞」、一度見てみたくなりませんか‥?
《身曽岐祭》(みそぎさい)
遙拝、修験、登拝―富士と人との本来の係りを伝える神社
浅間神社は富士山をご神体として、小高い丘の上から霊峰・富士を遥拝する信仰から生まれました。古くは「浅間」を「せんげん」ではなく、「あさま」と読んだことに由来します。
富士と人との係りは、遙拝、修験、登拝と続きます。
当神社は、遙拝、修験、登拝を有する唯一の神社です。
宗教法人浅間神社|山梨県南都留郡より
下線部強調:筆者
河口浅間神社を含めた全国の浅間神社は、火山としての富士山を畏れ、霊山・ご神体として敬い信仰する心持ちから生まれています。
数ある浅間神社の中でも当社は、「遥拝(ようはい)」「修験(しゅげん)」「登拝(とはい)」という本来の富士・山岳信仰に基づく神社参拝・巡礼の姿勢を伝える貴重な神社です。
遥拝:遠く彼方から霊山・富士山を仰ぎ見て、崇拝すること
修験:山岳に神霊が宿ると信じ、山を聖地・ご神体として山に籠り、修行や儀式を行うこと 登拝:山岳の霊力を信じ、拝みながら登ること |
今も尚、修験道の行者が禊、滝行を行っているという河口浅間神社。
富士山を、ただ登る対象とすることではなく、敬い仰ぎ見ることを、静かに知ることができるスポットです。
心を清め、洗いたくなったとき、おすすめの場所です。
《基本情報》
住所:南都留郡富士河口湖町河口1
tel: 0555-76-7186
アクセス:
JR富士急行線河口湖駅からバスで20分
河口郵便局前バス停下車徒歩3分
中央自動車道河口湖ICから20分
駐車場:
バス 5台
普通 30台
多言語観光情報サイト「Guidoor(ガイドア)」|河口浅間神社
場所によって変わって見える富士山の姿
河口湖周辺スポット7選、いかがでしたでしょうか。
今回は、河口湖駅から北岸エリアにかけての、周りやすい経路で、ご案内いたしました。
事前知識がなくても、湖と富士山の姿に触れるだけで、心洗われる場所です。
また辿ってみると予想を遥かに超えて、世界文化遺産としての背景も見えてきます。
どのきっかけからでも、おすすめです。
ぜひ一度、河口湖に訪れてみてください。
こんな日本があったのだ‥と胸震える景色が、きっとあなたの目の前に現れます。
《主な参考文献・参照サイト》
- 世界遺産一覧表への記載推薦書(NominationDocument for InscriptionontheWorldHeritageList)|文化庁
- 富士山―信仰の対象と芸術の源泉(平成25年記載)|文化庁
- 地理院地図|国土地理院
- 産屋ヶ崎神社| 河口湖.net
- 浅間神社/山梨県神社庁
- 宗教法人浅間神社|山梨県南都留郡(河口浅間神社公式HP)
- 河口浅間神社 | 河口湖.net
- 河口浅間神社の七本杉| 河口湖.net
- 『富士山信仰のルーツを解き明かす(3) 浅間神社と浅間山』
《画像クレジット》(筆者作成画像・イラスト以外)
- 富士山頂の御来光, photo by クマキチ
/フリー素材ぱくたそ - 『河口湖の春(河口湖1)』Spring of Lake Kawaguchiko,富士河口湖町提供
- 河口湖と富士山, photo by あめまん
/フリー素材ぱくたそ - 『アンソレイユ号』,富士河口湖町提供
- 『河口湖2』,富士河口湖町提供
- 『ロープウェイ1』,富士河口湖町提供
- 『ロープウェイ2』,富士河口湖町提供
- 『ロープウェイ3』,富士河口湖町提供
- 『ハーブ館1』,富士河口湖町提供
- 『ハーブ館2』,富士河口湖町提供
- 『ハーブ館3』,富士河口湖町提供
- 河口湖と富士山, photo by あめまん
/フリー素材ぱくたそ - 『河口湖の春(河口湖1)』Spring of Lake Kawaguchiko,富士河口湖町提供
- 『美術館1』,富士河口湖町提供
- 『美術館2』,富士河口湖町提供
- 『美術館3』,富士河口湖町提供
- 『河口浅間神社2』,富士河口湖町提供
- 朝焼けを待つ富士山, photo by Redsugar
/フリー素材ぱくたそ - 『河口浅間神社1』,富士河口湖町提供
- 『河口浅間神社3』,富士河口湖町提供
- 『河口浅間神社4』,富士河口湖町提供
- 『河口湖3』,富士河口湖町提供
テキスト・イラスト:mayucocon
本記事の情報・写真は取材(2017年9月3日)・執筆当時のものです。
日本の精神、こころが伝わって来ます。行ったことがあっても,なくても、又行きたくなり感じたくなり、そして行ってきたかのような気持ちになりました。一竹辻が花がこんなところにあったのも知りませんでした。机の上で富士山周辺をぐるりと訪れたた気持ちになれました。有難うございました^^
寺田 啓子 様
この度は、お忙しい中当記事にお目通しくださいまして、誠に恐れ入ります。
お心の籠ったコメントまでご丁寧に、お時間割きお言葉に紡いで伝えてくださいまして、心より、御礼申し上げます。
寺田様が「日本の精神、こころが伝わって来ます。」とお言葉にしてくださって、本当に胸が温かく、感謝、感動の限りにございます。
日本の中でもしかしたら私たちの記憶の古層に伝わり続けているかもしれない、足元の、
こころ、精神といったもの‥を、
多様化、グローバル化が進む今の時代だからこそ、世界のどこかの、どなたか―こうした心持ちを命として必要とされている方―に届けたいと思い、書かせていただいておりました。
ですので、寺田様のように共感していただけ、またご紹介させていただきました土地にも、その土地に生きる人々にも、興味を持ったり、心動かしてくださいましたら、
幸いなこと、この上ない気持ちになります。
久保田一竹美術館につきましては、こちらの河口湖のコレクション、ぜひ、おすすめです。
染色の工程を動画で具に見ることができ、戦中・戦後の幾多の困難の中、どれほどの想いでこの地道な手仕事を守り、理想を描き、世界の中で大切にしたいものを求め続けられてきたのか、空間からズドンとよくわかる場所でした。
河口湖美術館も、特に静謐な日本画がお好みの方でしたら(富士山を描き続けられた日本画家の方の作品が多数あります)、静かに、 “禊” 、が、
視覚と心でできるような場所です。
おいしいものも沢山の、心安らぐ湖畔の街ですので、いつか、訪れられてみてください。
いつか、感想など、(一竹辻ヶ花の他に出会える‥?場所なども、)伺えるご縁ができましたら、とてもうれしく存じます。
*
拙いお話になりますが、今回富士山にゆかりの地を担当し、改めて私自身も、
新たな発見―「遥拝・修験・登拝」という言葉自体・その真意についてなど―がございました。
富士山登山の事件を耳にした後ですので、最近は一層、
古(いにしえ)の人々のこころと “知” に、深く頭が下がる想いが致しております。
グローバル化の洗礼を受けた列島の一つとして、
○資本主義経済の目線では測れない大切なもの―古(いにしえ)から続くこころと “知”を、
言葉として(も)、残すこと
○残す営みを、ただの懐古趣味に終わらせず、後世への生きがいになるものへと活かしていくこと
‥こんなところを、課題とし模索しておる書き手でございます。
文章が長くなって読むご負担増やしてしまって、申し訳なく、恐縮です。
何とかお読みいただきやすい姿へと変えて参りますので、
引き続き何卒、よろしくお願い申し上げます。
この度は本当に、どうも、ありがとうございました。
mayucocon 拝