描き直すたびに生じる「ズレ」を絵に残す 長島伊織の個展「Traces That Seek to Remain」が銀座 蔦屋書店で開催

輪郭や光、色を追って描くうちに、画面と対象のあいだには小さなズレが生まれます。画家の長島伊織は、これまで悩まされてきたそのズレを、人の手が入った「痕跡」として画面に残すようになりました。大きな着想源となったのは、香港の街中で目にした、塗り重ねられた壁です。

香港での滞在制作を経て、描き直しで生じるズレを肯定的な痕跡として捉え直した新作絵画を中心とする個展「Traces That Seek to Remain」が、2026年11月6日(金)から25日(水)まで、銀座 蔦屋書店のGINZA ATRIUMで開かれます。

香港の壁に見た「絵」

長島が香港で目を留めたのは、長い間使われ、何度も乱雑に塗り直されてきた壁でした。新しい色を上から重ねても、以前の色や塗った跡は消えきらずに表へ現れています。修正を重ねながら痕跡をのぞかせるその壁面が、長島の目には絵のように映りました。

2026年、長島は海外での展示や滞在制作を重ねながら、自分が見ているものと、それを描く行為との関係について考えを深めてきました。香港の壁は、そのなかでとりわけ大きな手がかりとなりました。

克服すべき課題から、残すべき痕跡へ

身近な風景や人物、日常の事物を出発点に、写真や実景を参照しながら丁寧に描く。温かく穏やかな色調をもつ長島の絵画にとって、描き直しで生じるズレは、これまで克服すべき課題でした。対象に似せようとすればするほど、ズレは避けたいものになります。

いま長島は、そのズレにこそ人の手が入った跡が表れ、「イメージ以上のリアリティ」が生まれるのではないかと考えています。新作では、ズレを痕跡として残し、その上にさらに痕跡を重ねることで、イメージを画面に定着させています。描き直しのなかで残るものと変わっていくもの、その両方を描き込んだ作品群です。

塗り直されても前の層がのぞく壁に、長島は絵を見ました。本展の新作もまた、描き直した跡を消さずに重ねることで、ひとつのイメージを立ち上げています。

長島伊織

長島伊織|Iori Nagashima

長島伊織は1997年大阪府生まれ。2020年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業しました。2026年には香港のWKM GALLERYで個展「BETWEEN」を開いたほか、京都 蔦屋書店、LURF GALLERY、YUVAN Galleryなどで個展を重ねています。

アートフェアでは、2026年にArt Basel Hong Kong、アートフェア東京、Frieze Los Angeles、ART SGに、2025年にはAsia NOW(パリ)、ART TAIPEI、Frieze Seoulに出品。群馬県立近代美術館などに作品が収蔵されています。

長島伊織 個展「Traces That Seek to Remain」開催概要

展覧会名:長島伊織 個展「Traces That Seek to Remain」

会期:2026年11月6日(金)〜11月25日(水)※終了日は変更になる場合があります

時間:11:00〜20:00(最終日は18:00まで)

会場:銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6F)

入場料:無料

主催:銀座 蔦屋書店

協力:mona art office

オープニングレセプション:2026年11月7日(土)18:00〜20:00(どなたでも参加可)

作品販売:会場展示作品は11月6日(金)11:00から販売。プレセールスの状況により、会期前に販売を終える場合があります。アートのECプラットフォーム「OIL」でも11月9日(月)13:00から販売(11月25日〈水〉21:00終了予定)

お問い合わせ:銀座 蔦屋書店(03-3575-7755/info.ginza@ccc.co.jp)

特集ページ:銀座 蔦屋書店「Traces That Seek to Remain」特集ページ

会期や作品販売のスケジュールは変更になる場合があります。

Direction & Editing
Project Direction / Editor-in-Chief: Taro Okazaki

プロジェクト統括・編集長:岡崎 太朗

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【プロジェクト統括・編集長】岡崎 太朗(Taro Okazaki)