鷲・虎・龍の柄に都道府県名を刺繍|横須賀のスカジャン絵師・横地広海知が「パターンオーダースカジャン」を開始

横須賀・ドブ板通りを拠点に活動するスカジャン絵師、横地広海知さんが、柄と地名を選んで仕立てる「パターンオーダースカジャン」の受付を2026年11月1日に始めた。横地さんが描き下ろした鷲・虎・龍を胸と背中に配し、背中には「JAPAN」「Yokosuka」、あるいは47都道府県のいずれかの名前を刺繍する。一から柄を描き起こすフルオーダーと、店頭に並ぶ既製品。そのあいだに置かれた、新しい注文のかたちだ。価格は、手持ちのジャケットに刺繍する場合で11万円(税込)から。

旅の記念品として生まれた服に、自分の地名を

スカジャンは、第二次世界大戦後に横須賀へ駐留した米軍人の土産物として広まった刺繍ジャンパーだ。名前は「横須賀ジャンパー」の略。サテンや別珍の生地に、鷲や虎、龍といった図案を刺繍する。米海軍横須賀基地の正面ゲートに近いドブ板通りには、戦後まもない頃から米兵向けの土産物店やテーラーが軒を連ね、通りの商店街は2018年に「スカジャン発祥の地」を宣言している。

もともとは、海を渡る人が持ち帰るための記念品だった服である。今回のパターンオーダーで背中に入る文字は、注文者が自分で選ぶ。いま暮らしている都道府県でも、生まれ育った都道府県でもいい。横地さんの描いた柄に、それぞれの土地の名を添えて仕立てる。横須賀まで足を運べない人にも、カスタムメイドの一着を届けることが、この仕組みのねらいだ。

選ぶのは、柄と文字とジャケット

柄は、スカジャンの定番である鷲・虎・龍。いずれも横地さんがこのサービスのために新たに描き下ろした。右胸と左胸はこの3柄から、背中は虎を「竹と富士」「岩」の2種に分けた4柄から選ぶ。組み合わせは36通りになる。

背中の文字は「JAPAN」「Yokosuka」か、47都道府県の名前から一つ。書体は筆記体、レトロ(ラウンドスラブ)、シンプル(サンセリフ)の3種類がある。注文ページでは、柄や文字を選ぶたびに前後のジャケットの画像へその組み合わせが合成され、金額も同時に表示される。仕上がりを画面で確かめてから申し込める仕組みだ。なお、現在サイトに表示される文字はサンプルで、今後、手書きの文字に順次差し替えられる予定となっている。

ジャケットは、手持ちの一着を送る「お持ち込み」のほか、中綿なしの別珍の黒、購入代行、カスタム製作から選べる。刺繍は職人による横振り仕上げで、納期は最短1か月。

「描く」と「選ぶ」のあいだ

横地さんはこれまでも、依頼者の話を聞いて柄をゼロから描き起こす一点物のフルオーダーを手がけてきた。価格は16万5000円(税込)から、予約から引き渡しまでは3か月以上かかる。そして多くの依頼者が負担に感じてきたのが、何を入れ、どんな構図にするかという「柄を決める」段階だった。

パターンオーダーは、その経験から組み立てられた。柄はすでに描かれたものから選び、背中の地名を決めれば、仕上がりは画面で確かめられる。描く工程を省いた分、価格はフルオーダーより抑えられた。

横地さんは、オーダーを受けるなかで「選んで決めたい」という声を何度も聞いてきたという。このサービスで、そうした希望により多く応えられればうれしい、と話す。

横振り刺繍の目で描く絵師

横地広海知さんは1981年、名古屋市生まれ。神戸大学大学院で認知心理学(実験心理学)を学び、面白法人カヤックでプランナー、ディレクターを務めたのち独立した。2008年に横須賀へ移り住み、ドブ板通りを拠点に「スカジャン絵師」として活動を始める。

ライフワークは、スカジャン黎明期にあたる1940〜50年代の伝統柄の復興だ。絵の描き方にも特徴がある。スカジャンの刺繍を担ってきた横振り刺繍は、針が左右に振れるミシンを職人が操り、糸で面を埋めていく技法である。横地さんは、その刺繍目と同じように線を入れながら面を塗っていく。刺繍になったときの姿を前提にした絵といえる。

これまでにPUMAやGU、大阪・関西万博公式などへデザインを提供してきた。現在はドブ板通り商店街の副理事長を務め、地域の活性化や文化の継承にも取り組んでいる。

価格と申し込みの注意点

価格は、デザイン使用料・進行費・刺繍代をあわせた11万円(税込)に、ジャケットの代金を加えた額になる。

ジャケット価格(税込)
お持ち込み110,000円
別珍の黒(中綿なし)132,000円
購入代行132,000円〜
カスタム製作132,000円〜

送料は別途。購入代行とカスタム製作は、ジャケットの仕様によって金額が変わる。申し込みは公式サイトのフォームから行い、お持ち込みと別珍の黒は、送信後に、横地さんが代表を務める合同会社ICHIの店舗「ICHIドブ板本店」のオンラインストアで支払う。購入代行とカスタム製作は、金額が決まってから支払い方法が案内される。

持ち込む場合は、ジャケットの素材に注意が要る。中綿入りや厚手のもの、薄手や伸縮性のある素材、レザーやコーティング生地、生地の傷んだ古着などは刺繍できないことがある。そのため申し込みの時点で、ジャケットの種類と中綿の有無を伝え、刺繍できなかった場合に「別珍の黒に変更する(差額2万2000円・税込)」か「返却して全額返金を受ける」かを選んでおく。ジャケットは発送前に写真で、到着後に実物で確認したうえで作業に入る。発送時の送料(元払い)と、返却時の送料(着払い)は注文者の負担となる。

対象は、自分で着る、または贈り物にする個人の客に限られる。転売や販売、ノベルティやユニフォームとしての配布など商用目的の注文は受け付けず、店舗やブランド、団体での製作はOEMとして別途相談に応じる。

既製品を買うか、一から仕立てるか。そのあいだに、「選んで仕立てる」という買い方が加わった。戦後、横須賀から海の向こうへ渡っていったスカジャンが、今度は全国の地名を背負い、それぞれの土地で着られる一着として仕立てられる。

インフォメーション

パターンオーダースカジャン
110,000円(税込)〜 ※送料別

注文ページ:https://hiromichiyokochi.com/

Direction & Editing
Project Direction / Editor-in-Chief: Taro Okazaki

プロジェクト統括・編集長:岡崎 太朗

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【プロジェクト統括・編集長】岡崎 太朗(Taro Okazaki)