2027年1月16日に開幕する札幌国際芸術祭2027(SIAF2027)の、全11会場の構成が決まりました。参加アーティストは34組、パートナーは9団体です。市民ギャラリーや科学館、区役所の入る庁舎といった身近な施設が、「雪の惑星(プラネット・スノー)」にある架空の施設として生まれ変わります。昼から夜まで街を巡りながら作品に出会う、37日間の芸術祭です。
見慣れた施設を、別の星の施設として読み替える
SIAFは、公共施設や公園、地下空間などを舞台に3年に一度開かれる国際芸術祭です。今回のテーマは「PLANET SNOW(プラネット・スノー)—upas mintar / upas nociw」。後半はアイヌ語で、ウパㇱは雪、ミンタㇻは庭、ノチウは星を意味します。札幌で暮らす人にとっては「雪の庭」、遠くから訪れる人にとっては「雪の星」。一つの街を二つの視点で捉える言葉です。アイヌ文化コーディネーターは、北海道博物館会場の参加アーティストでもあるマユンキキが務めます。
11の会場には、「情報館」「博物館」「地下道」「学校」「区役所」といった惑星上の役割が一つずつ割り振られました。テクノロジー、科学、歴史、ファッションとアートを掛け合わせ、雪を起点に地球の外まで想像を広げることが、企画の軸になっています。
人間だけではないまなざし──札幌市民ギャラリーと北海道博物館

「始まりの場所」と名づけられた札幌市民ギャラリーには、全会場で最も多い13組が集まります。中心となる展示の一つが、北海道津別町の私設美術館「シゲチャンランド(大西重成)」によるこの冬限定の大規模な出張展示です。流木や獣の骨などから生まれた不思議な生き物たちが、札幌にやってきます。大西は今回のメインビジュアルの写真・題字・キャラクターも担当しています。ノルウェーのFrode OLDEREIDとThomas KVAMは、高さ約4mの顔型ロボット《Requiem for an Exit》を出品します。

北海道博物館では、石黒浩/いのちの未来研究所によるアンドロイドが館内を「訪れ」ます。アンドロイドの視点で常設展示室を巡ると、見慣れた資料が未来の側から見つめ直され、「人間とは何か」という問いが浮かび上がる仕掛けです。

雪原のピラミッド、48mの地下回廊
イサム・ノグチが設計したモエレ沼公園では、ガラスのピラミッドが会場になります。ファッションデザイナー・中里唯馬のコレクション《GLACIER》は、パリとフィンランド・オウルでの発表を経て、ここで国内初公開されます。スイスのfragmentinは札幌の雪景色に着想を得た新作を発表し、アート&テクノロジー分野の国際プロジェクトも加わります。

札幌大通地下ギャラリー 500m美術館では、国内外80組を超える応募から選ばれた大西康明と鈴木悠哉が、それぞれ全長48mの展示を手がけます。地上が雪でも落ち着いて鑑賞できる会場で、会期は3月24日まで続きます。
1月5日にひと足早く始まる札幌市青少年科学館では、演劇、絵画、アニメーション、空間全体を使った体験型作品という四つの仕掛けが、いつもの館内を小さな旅に変えます。
学び、つくる場所
重要文化財の札幌市資料館(旧札幌控訴院庁舎)は「学校」になります。展示室は「視聴覚室」や「制作室」に姿を変え、北海道ゆかりの4組がARやプログラミングを使った体験型作品を並べます。ワコムと協働する「未来の図工室」も設けられます。
中央区複合庁舎では、絵本『100かいだてのいえ』シリーズのいわいとしお(岩井俊雄)が、雪の惑星の住民の暮らしを想像しながら「雪の100かいだてのいえ」を参加者と共につくります。アイデアが形になっていく過程も紹介される予定です。

北海道立近代美術館の所蔵品展「雪々(せつせつ)と」では、絵画、浮世絵、ガラス、陶芸を通して、雪の美しさだけでなく、厳しさや恐ろしさにも目を向けます。
これらの会場を結ぶ拠点が、札幌文化芸術交流センター SCARTSです。ソニーグループの没入型インスタレーション《OPTICAL DRIFT》が世界初公開されるほか、コクヨが「鑑賞と観光の間」をテーマに新しいインフォメーションセンターを開きます。
夜に巡る──ENESSの作品を三つの場所で
夜の会場では、アート&テクノロジースタジオ・ENESSの作品が三つの場所に登場します。
大通公園西2丁目のさっぽろ雪まつり大通会場(2月4日〜21日)には、高さ最大14mの岩型バルーン群による《IWAGUMI Air Scape》が現れます。日建設計による会場の環境デザインと合わせて、雪まつりの風景を大きく変えます。この作品の着想源は、生態系や自然の美しさを水槽に取り込む「ネイチャーアクアリウム」です。水族館のAOAO SAPPOROでは、ADA水景クリエイターの展示に加え、ENESSの作品も特別に登場します。

さっぽろホワイトイルミネーション中島公園会場では、ENESSの新作《SNOWFISH》が世界初公開されます。会期は1月9日〜28日で、芸術祭の開幕より前に始まります。一方で雪まつり会場は2月4日からのため、二つの作品を両方見るには、それぞれの会期に合わせた旅程が必要です。

ほかにも、札幌市資料館では札幌軟石の壁面に映像作品などを投影するプログラムを夕刻に実施します。新札幌地区には栗林隆の体験型作品《元気炉》が出現し、1月16日〜2月21日の展示期間中、複数日にわたって昼から夜まで楽しめるプログラムが組まれています。
会期中の主なイベント
開幕日の1月16日には、SIAF2027のディレクターチームに歴代ディレクターも加わり、複数の会場で来場者を迎えます。夜はSIAF2017ゲストディレクターの大友良英が、北海道ビッグバンドと共にオープニングライブを行います。会期中には、「地球の歩き方」編集長とSIAF2027クリエイティブディレクターによるトーク(1月23日)や、STEAMをテーマにした「STEAM STUDY FES」(2月13日)も開かれ、2月21日のクロージングトークで幕を閉じます。テーマソングは、札幌発の音楽ユニット・LAUSBUBによる「holo」です。
鑑賞の手引き
11会場のうち6会場は無料、5会場は有料です。
札幌市民ギャラリーのチケットは、会期中なら何度でも入場できます。一般料金はオンライン前売り1,600円、会期中のオンライン購入2,000円、当日窓口2,400円で、市民・道民券と学生券(高校生以上)もあります。中学生以下と、障がい者手帳等をお持ちの方とその付添者1名は無料です。前売りは1月15日までで、オンラインのみの販売です。
札幌市青少年科学館、北海道博物館、北海道立近代美術館、AOAO SAPPOROは、各館の入場料だけでSIAFの展示も鑑賞できます。作品解説などを収めたガイドブック「プラネット・スノー フィールドガイド」も、複数の会場で販売される予定です。
地元の人にとっては、通い慣れた区役所や地下道が惑星の施設に見えてくるかもしれません。旅の人にとっては、科学館から雪原のピラミッド、夜の大通公園まで、街そのものが一つの星として立ち上がるはずです。「雪の庭」と「雪の星」という二つの言葉は、そのまま二通りの歩き方を示しています。





















名称: 札幌国際芸術祭2027(SIAF2027)
会期: 2027年1月16日(土)〜2月21日(日)
会場により会期が異なります。札幌市青少年科学館は1/5〜2/21、AOAO SAPPOROは1/9〜2/21、北海道立近代美術館は1/9〜4/11、500m美術館は1/16〜3/24、さっぽろ雪まつり大通会場は2/4〜2/21、特別連携会場の中島公園は1/9〜1/28です。
一部会場には休館日があります。
会場: 札幌市内11会場+特別連携会場
主催: 札幌国際芸術祭実行委員会、札幌市
公式サイト: https://siaf.jp/