言葉の代わりに、一輪を選ぶ 今村文のプロジェクト「花言葉」がOIL by 美術手帖ギャラリーで開催中

「言葉の代わりに、花を贈る」。アーティストの今村文が以前から温めてきたこの着想が、渋谷PARCOのOIL by 美術手帖ギャラリーで小さなインスタレーションになった。会場に並ぶ一輪の花の作品から好きなものを選んで購入すると、作品はグラシン紙の封筒に収められて手渡される。会期は11月23日(月・祝)まで。会場では、作家にとって初めての作品集『温かい家』と特製トートバッグのセット販売も行われる。

封筒に入れて手渡される一輪

今村文《花言葉》2026 ©Fumi Imamura

今回の企画は「プロジェクト」と銘打たれ、この着想から生まれたインスタレーションを中心に構成されている。過去のインスタレーションを構成していた要素から選び出された一輪の花の作品は、購入するとグラシン紙の封筒に入れて渡され、その後どう扱うかは持ち帰った人に委ねられる。気に入った額に収めてもいいし、箱に入れてもいい。引き出しの中にそっとしまっておくこともできる。

今村はステートメントで、かつて好きだった童話に触れている。魔法をかけられ、話すたびに口から花や真珠がこぼれ落ちるようになるという物語だ。文章は「言葉の代わりに花を。」という短い一文に続き、好きな花を透明の封筒に入れる、と結ばれている。

作品を選ぶという行為は、誰かに贈る花を選ぶときのそれに近いのかもしれない。自分のために選ぶにしても、誰かを思い浮かべて選ぶにしても、言葉にしきれない何かを一輪に託すことにもなるだろう。

グラシン紙と蜜蝋の花

今村文《花言葉》2026 ©Fumi Imamura

今村は花や植物を主なモチーフに制作を続けてきた。手法のひとつは、半透明のグラシン紙に描いた水彩を植物の輪郭に沿って切り抜き、コラージュするものだ。細い枝葉や根まで切り出された姿は、どこにも実在しない押し花の標本を思わせる。もうひとつは、熱で溶かした蜜蝋に顔料を混ぜて描く「エンコスティック」と呼ばれる古代からの技法である。

今回、作品を包む封筒には、今村が制作に用いてきたのと同じグラシン紙が使われている。

初の作品集『温かい家』

会場では、torch pressから刊行された今村の初作品集『温かい家』と、その刊行を記念した特製トートバッグがセットで販売される。作品集はA4判・上製本、112ページ。テキストは石田大祐、ジュリア・タラシュク、今村文が執筆し、デザインは若林亜希子が手がけた。言語は日本語・英語で、定価は5,000円(税別)。

作家について – 今村文(いまむら ふみ)

今村文は1982年愛知県生まれ。2008年に金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科絵画専攻油画コースを修了した。現在は愛知県在住。これまでに「芸術植物園」(愛知県立美術館、2015年)、「あいちトリエンナーレ2016」、「見えない庭」(資生堂ギャラリー、2019年)、「The Garden of Musubi」(Lyndsey Ingram、ロンドン、2025年)などで作品を発表してきた。2026年には東京オペラシティアートギャラリーの「種と根っこー都市の耕し方」、CAVE-AYUMI GALLERYの「温かい家-my red flowers-」で作品を展示している。

植物の繊細な姿を描き、切り出してきた作家の花が、今回は一輪ずつ封筒に入れて手渡される。会場を離れたその花が、それぞれの暮らしの中でどのように置かれるのか。その先は、選んだ人に委ねられている。

作品販売

会場展示作品は10月30日(金)11:00から販売中。アートのECプラットフォーム「OIL」では、11月9日(月)16:00から11月23日(月・祝)20:00まで販売される。オンライン公開は会場での販売開始後となるため、公開時点で売り切れの場合がある。日時は変更されることがある。

開催概要

今村文「花言葉」
会期:2026年10月30日(金)~11月23日(月・祝)
時間:11:00~21:00
会場:OIL by 美術手帖ギャラリー(東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 2F)
入場:無料
主催:OIL by 美術手帖ギャラリー
企画協力:CAVE-AYUMI GALLERY
問い合わせ:oil_gallery@ccc.co.jp
特集ページ:https://oil-gallery.bijutsutecho.com/

Direction & Editing
Project Direction / Editor-in-Chief: Taro Okazaki

プロジェクト統括・編集長:岡崎 太朗

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【プロジェクト統括・編集長】岡崎 太朗(Taro Okazaki)