横須賀ソウルフードを味わう!老舗アメリカンダイナー「ハニービー」の魅力

横須賀といえばアメリカ海軍基地の存在を抜きには語れません。東京湾の入り口に位置する軍港都市として、長年にわたりアメリカ海軍の拠点が置かれていることから、街には異国情緒が漂い、日本の文化とアメリカの文化が交錯する独特の雰囲気を育んできました。

その象徴の一つと言えるのが本格的なアメリカンダイナーの存在です。今回ご紹介するのは横須賀で長きにわたり愛され続ける老舗「ハニービー(HONEY BEE)」です。創業から半世紀以上、本場アメリカの味を提供し続けるこのダイナーは、単なる飲食店というだけでなく、横須賀の歴史と文化を今に伝える貴重な存在なのです。

横須賀で味わう本場アメリカンダイナー:ハニービー(HONEY BEE)とは?

ハニービーは1968年、在日アメリカ海軍横須賀基地のメインゲート正面という絶好のロケーションに「GALLEY HONEYBEE」として創業しました。創業者である直井陽樹氏は1950年代にアメリカ軍の兵員食堂で調理師として働いた経験を持っており、その知識と経験を活かして「本物のハンバーガー」を「本格的なアメリカの味」で提供することをモットーとしました。

開店当時はベトナム戦争の時代で、ドブ板通りは多くの水兵で賑わっており、ハニービーは彼らにとって故郷の味を提供する貴重な場所となりました。活気あふれる通りでは昼夜を通して様々な出来事がありましたが、ハニービーは憲兵や警備兵の休憩所としても利用されていたため、比較的落ち着いた場所として知られていました。

横須賀市本町のドブ板通り

当時はウイチタ、マミースナック、アンディーズキャップ、ハンソンズ、パンダ、スヌーピーなど、多くのアメリカ料理店がドブ板通りに軒を連ねていましたが、時代の流れとともにその多くは姿を消しました。そのような中で、ハニービーは創業以来、変わらぬレシピと味を守り続け、日本人はもちろん本場アメリカ人にも愛され続けてきました。

これぞ本場の味!ハニービーの人気メニュー

ハニービーのメニューの中心となるのは、やはり「ヨコスカネイビーバーガー」です。100%ビーフ、つなぎなしのパテは1/2ポンド(約227g)というアメリカンサイズで提供され、肉本来の味を存分に楽しめます。シンプルながらも奥深い味わいは、長年変わらない製法で守り続けられています。  

ヨコスカネイビーバーガーとフライドポテトのセット
定番のレギュラーネイビーバーガー

さらに、もっとボリュームが欲しいという方にはこちらの「アドミラルネイビーバーガー」も人気があります。通常の1/2ポンドパテに加えてステーキ肉とマッシュルームデミグラスソース、卵とオニオンリングが乗った「アドミラル(Admiral)=海軍提督」という名にふさわしい贅沢なバーガーです。

アドミラルネイビーバーガーとフライドポテトのセット
大迫力のアドミラルネイビーバーガー

いずれのバーガーもバンズがふっくらしていて一口でかぶりつくのは大変ですが、ぎゅぎゅっと押し潰して食べるのが本場流ですよ!とお店のスタッフがオススメしてくれました。

ハンバーガー以外にも様々なアメリカンダイナーの定番メニューを楽しむことができ、チリコンカン、タコス、スティックドッグ、フライドチキン、フライドポテトなど、バラエティ豊かなラインナップが取り揃えられています。

中でも「スティックドッグ」は日本で初めてハニービーで販売されたとも言われており、現在ではアメリカンドッグとして広く一般に知られています。これは日本の食文化にアメリカの味が浸透していく上で、ハニービーが先駆的な役割を果たした証と言えるでしょう。

さらに、ハニービーでは横須賀のご当地グルメである「よこすか海軍カレー」も販売しており、ハチミツの甘みと丁寧に煮込まれた牛肉の旨みが凝縮された粘度の高いカレールーは、どこか懐かしい味わいの人気メニューです。

よこすか海軍カレーとは、明治時代に旧日本海軍で生まれたレシピを基に作られた歴史あるご当地グルメです。
日本海軍がカレーを食事に取り入れた背景には、当時、近代化を進めていた日本が、イギリス海軍の食事習慣を参考にしたことが挙げられます。特に、兵士の健康問題、とりわけビタミン不足による脚気の蔓延が深刻だったため栄養価の高いカレーが注目されました。
当初、イギリス海軍で提供されていたのはカレー風味のシチューでしたが、日本海軍はこれを白米に合うように小麦粉でとろみをつけたカレーライスへと変化させました。この工夫が現代の日本のカレーライスのルーツの一つになったと言われています。
牛肉または鶏肉と、人参、玉ねぎ、じゃがいもなどの野菜を使い、あっさりとした味わいが特徴で、サラダと牛乳が添えられるのが定番のスタイルです。
なお、「よこすか海軍カレー」という名称は商標登録されているため、商品にその名を使うには「カレーの街よこすか事業者部会役員会」による認定を受ける必要があります。

まるでアメリカ映画のワンシーン!ハニービーのレトロな店内装飾

ハニービーの店内はまさにアメリカンダイナーそのものです。創業当初からほとんど変わらないというレイアウトは、訪れる人々を古き良き時代のアメリカへとタイムスリップさせたような感覚にさせます。

店内の座席とジュークボックス。壁一面には多くのサインが飾られている

ジュークボックス、コカ・コーラの看板やポスター、山積みにされたソフトクリームの箱など、アメリカンカルチャーを象徴するアイテムが所狭しと並べられ、活気あふれる雰囲気を演出しています。赤、白、青を基調としたアメリカンカラーで彩られた店内は、どこを切り取っても絵になるようなフォトジェニックな空間です。  

ハニービーの本店は、アメリカ海軍横須賀基地のメインゲート正面、ドブ板通り商店街に位置しており、日本とアメリカの文化が融合した独特の雰囲気を持つこの通りには多様なショップが軒を連ねています。また、横須賀ポートマーケット内には支店もあり、本店とは異なる開放的な空間でハニービーの味を楽しむことができます。どちらの店舗もアメリカのダイナーにいるかのような、本場の雰囲気を体験できる点が魅力です。

横須賀とアメリカ海軍:食文化交流の歴史

横須賀が海軍の拠点としての基礎を築いたのは、1865年に徳川幕府がフランスの技術支援を受けて近代的な造船所の建設を始めたことがきっかけでした。1871年には横須賀造船所と改称され、日本の近代海軍の発展に大きく貢献しました。

横須賀造船所の正面玄関
横須賀造船所外観

第二次世界大戦終結後の1945年、日本の降伏に伴い横須賀の海軍施設はアメリカ海軍に接収され「アメリカ海軍横須賀基地」として新たな歴史を歩み始めます。以来、横須賀はアメリカ海軍にとって西太平洋における重要な拠点となり、多くの兵士とその家族がこの地に暮らすことになりました。このことが横須賀の街にアメリカの文化、特に食文化が深く浸透する大きな要因となりました。  

まさに友好の証!ヨコスカネイビーバーガー誕生秘話

ハンバーガーがアメリカで生まれたのは100年以上前のことであり、20世紀初頭にはその手軽さと栄養価の高さからアメリカ海軍においても24時間体制で勤務する見張り要員のための貴重なメニューとなりました。  

日本で一般市民が初めてハンバーガーを味わう機会となったのは1940年代後半のことです。当時、アメリカ海軍から横須賀に様々な文化がもたらされる中で、汐入駅近くにあったEMクラブ(Enlisted Men’s Club:下士官兵集会所)においてビッグバンドジャズの演奏とともにハンバーガーが提供されたこともきっかけとなりました。これは日本におけるハンバーガー普及の初期の出来事の一つであり、現在日本全国で人気のハンバーガーの発祥の地として横須賀がその一つと言える所以です。

ヨコスカネイビーバーガーが地域ブランドとして確立される上で、2008年11月にアメリカ海軍横須賀基地から横須賀市へ伝統的なネイビーハンバーガーの公式レシピが贈呈された出来事は非常に重要な転換点となりました。

横須賀市が1999年に「カレーの街宣言」を行ってから10周年を迎えたこの年、アメリカ海軍は地域活性化を共同で推進するという共通の目標のもと、友情の証としてレシピを提供しました。当時の在日米海軍司令官であったジェームズ・D・ケリー少将が横須賀市長にレシピを手渡したという行為自体が、両者の間の信頼と協力関係を物語っています。

日本とアメリカの国旗が風にたなびいている

アメリカ海軍が提供したレシピは、牛肉本来の味を最大限に引き出すためのシンプルなものでした。基本的な調味料は塩とコショウのみで、余計な香辛料や添加物は使用しないという原則が示されています。このレシピのルーツの一つとして考えられるのが、米国国防総省の食品管理を標準化するために1968年に設立された軍隊レシピサービス(AFRS)です。AFRSのハンバーガーレシピは長年にわたり多くの船員たちの食生活の定番であり「バーガーウェンズデー」として親しまれてきました。

地域ブランドとしての「ヨコスカネイビーバーガー」

横須賀市はこのレシピに基づいて開発されたハンバーガーを「ヨコスカネイビーバーガー」と命名し、2009年1月30日から市内4店舗で販売を開始しました。同年11月には「YOKOSUKA NAVY BURGER」として商標登録を出願し、翌年6月には正式に登録が認められています。この商標登録により、一定の基準を満たしたハンバーガーのみが「ヨコスカネイビーバーガー」を名乗ることが可能となり、品質の維持とブランドイメージの確立が図られました。今では「よこすか海軍カレー」「ヨコスカチェリーチーズケーキ」と並ぶ横須賀の三大グルメの一つとして広く認知されています。

市が定めるガイドラインによると、「ヨコスカネイビーバーガー」は最低170グラムの牛肉100%(脂肪分20%)のパティを使用し、塩とコショウのみでシンプルに味付けすることが基本とされています。卵やパン粉などのつなぎは一切使用せず、牛肉本来の味を最大限に引き出すことが重視されています。バンズは白パンで、直径11〜14cm、厚さ4〜7cmのものが推奨され、表面には白ゴマが振られています。トッピングは新鮮な玉ねぎとトマトのスライスが基本で、レタスやピクルスは任意となっています。ケチャップやマスタードなどの調味料はハンバーガーに塗らずに別添えで提供されるのが本場アメリカの伝統的なスタイルです。

カウンターに並んだ3人分のネイビーバーガーとフライドポテトのセット

これらの厳格な基準は、ヨコスカネイビーバーガーが単なるご当地バーガーではなく、横須賀の歴史と文化を体現する特別な存在であることを示しており、ヨコスカネイビーバーガーは横須賀市とアメリカ海軍基地を結ぶ重要な食文化の架け橋としての役割を果たし続けています。

また、米海軍基地の一般公開日には、兵士やその家族によって炭火で調理される本格的なハンバーガーが非常に人気を集めており、これは地元住民にとってもアメリカの味を身近に感じる貴重な機会となっています。ヨコスカネイビーバーガーは、単なる地域グルメという枠を超え、横須賀市とアメリカ海軍との間の長年の友好関係と文化交流を象徴する存在と言えるでしょう。  

ハニービー(HONEY BEE)の現在:本店とポートマーケット店

ハニービーは、ヨコスカネイビーバーガーが地域ブランドとして誕生するはるか以前の1968年から、すでに本格的なアメリカンハンバーガーを提供していました 。創業者の直井氏がアメリカ軍基地の食堂で培った経験こそが、ハニービーのハンバーガーが本物の味であることの証です。ハニービーは、横須賀におけるアメリカンダイナーの草分け的存在として、早くから地元の人々に本場アメリカのハンバーガーの味を伝えてきたのです。

ドブ板通りの顔:ハニービー本店で味わう歴史と伝統

ハニービーの本店は活気あふれるドブ板通りに位置しています。アメリカ軍基地のメインゲートの真向かいという立地は、創業当時から変わっていません。

ハニービーの正面写真

店内に入るとまるでタイムスリップしたかのようなレトロなアメリカンダイナーの雰囲気が広がります。ジュークボックスやコカ・コーラのグッズ、ネオンサインなどが飾られ、1968年の創業当時からほとんど変わらない内装は、訪れる人々を魅了し続けています。  

長年の間、アメリカ軍関係者や地元の人々が集う場所として親しまれてきた本店は、まさに文化交流の拠点とも言えるでしょう。メニューにはヨコスカネイビーバーガーはもちろんのこと、ローストされた玉ねぎやハニーマスタードが特徴の「ハニービーバーガー」 や、長年愛されるヨコスカ海軍カレー など、魅力的な品々が並びます。

手前にハニービーバーガー、奥にアドミラルネイビーバーガー
はちみつとマスタードがクセになるハニービーバーガー
店舗情報
  • 所在地: 神奈川県横須賀市本町2-1
  • アクセス: 京急本線「汐入駅」から徒歩5分/JR横須賀線「横須賀駅」から徒歩10分
  • 電話番号: 046-825-9096
  • 公式サイト: https://www.honeybee-yokosuka.com/
  • 営業時間: 11:30~23:00(定休日なし)

新たなランドマークで楽しむハニービーポートマーケット店の魅力

本店に続きハニービーは横須賀市新港町にあるいちごよこすかポートマーケット内にも店舗を構えています。

ハニービーのいちごよこすかポートマーケット内店舗

ここは、かつて水産倉庫として利用されていた建物をリニューアルし、生まれ変わった活気あふれるスポットです 。その名前にある「いちご」は、「一期一会」という言葉に由来しており、訪れる人々に一度きりの特別な出会いと体験を提供したいという願いが込められています。

いちごよこすかポートマーケット外観

館内にはゆったりと食事を楽しめるように多くの椅子とテーブルが用意されています。また、屋外にはオープンテラス席があり、そこからは横須賀の海や停泊する艦船や猿島などを一望することができます。

いちごよこすかポートマーケットオープンテラス席

潮風を感じながら開放的な空間で食事や休憩を楽しめるのは、このマーケットならではの魅力です。本店と同様に、ヨコスカネイビーバーガーやヨコスカ海軍カレーといった定番メニューを味わうことができます。  

オープンテラス席に置かれたヨコスカネイビーバーガーとポテトのセット
店舗情報
  • 所在地: 神奈川県横須賀市新港町6 いちごよこすかポートマーケット内
  • アクセス: 京急本線「横須賀中央駅」から徒歩11分
  • 電話番号: 046-825-9096
  • 公式サイト: https://www.honeybee-yokosuka.com/
  • 営業時間: 10:00~19:00(L.O.19:00)

横須賀を訪れたらハニービーへ!本場の味と温かい空間を堪能

横須賀にあるアメリカンダイナー「ハニービー」は、1968年の創業以来、半世紀以上にわたりその歴史と伝統を守り続けてきました。アメリカ海軍横須賀基地の目の前という立地、本場アメリカの味を忠実に再現したメニュー、そして創業当時から変わらないレトロな雰囲気は、地元の人々やアメリカ軍関係者はもちろんのこと、観光客など多くの人々を魅了し続けています。
特に「ヨコスカネイビーバーガー」は、ハニービーを代表する一品として広く知られ、そのボリュームと本格的な味わいは高く評価されています。

ドブ板通りの本店で歴史を感じるもよし、観光の合間にポートマーケット店で気軽に味わうもよし。横須賀を訪れた際にはぜひハニービーに足を運び、その変わらぬ味と温かい雰囲気を堪能してみてください。きっと横須賀のさらに魅力的な一面を発見できるはずです。

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