広島のお土産として今や誰もが知る存在となったもみじ饅頭。
もみじの形状をしたふんわりとしたカステラ生地の中に、様々な餡がぎっしりと詰まっています。
その愛らしい外見と手軽な食べやすさから、日本人だけでなく世界中の人々に広く受け入れられているお菓子です。
今回は、もみじ饅頭の魅力に迫り、広島で絶品のもみじ饅頭をご紹介します🍁
もみじ饅頭を徹底解剖!知られざるヒストリー
老若男女問わず愛されているもみじ饅頭には、全国のお土産ランキングで常に上位を取るだけの理由がありました。
もみじ饅頭の歴史を辿りながらその謎に迫りましょう。
もみじ饅頭のはじまり
もみじ饅頭のように知名度のあるお土産は基本的に単一メーカーで製造されていることが多いのですが(たとえば赤福餅・ロイズの生チョコ・名菓ひよ子など)もみじ饅頭は最初に手掛けたと言われている「高津堂」が独占しなかったため、現在では様々なブランドが名を馳せています。
そんなもみじ饅頭を初めて世に送り出したと言われている高津堂はいったいどんな流れで、この銘菓を完成させたのでしょうか。
時は明治に遡ります。
創業1854年の宮島(厳島)を代表する老舗旅館「岩惣」に当時皇太子や大韓帝国皇太子、夏目漱石など数多くの著名人が宿泊していました。
そのため岩惣に和菓子を納品していた高津常助に女将が、「大切なお客様への手土産に紅葉谷の名にふさわしい菓子が作れないか。」と依頼したのが始まりだと言われています。
常助は試行錯誤を繰り返し、ようやく「紅葉形焼饅頭」を完成させました。
この当時作られていたもみじ饅頭の原型は7つの切れ込みのある葉に短い葉柄と二頭の鹿が描かれていたようで、現在のもみじ饅頭とは異なりますがその後改良を重ね現在の姿となっていきました。
さらにもみじ饅頭にはくすっと笑えるエピソードも残されています。
皆さんもよく知る初代内閣総理大臣伊藤博文。
彼は弥山に祀られる三鬼大権現を厚く信仰していて、宮島に足繁く訪れていたようです。(もちろん岩惣にも宿泊。)
ある時伊藤博文が紅葉谷にあったお茶屋さんでお茶を出してくれた女性の手を見て「紅葉のような可愛い手を食べてしまいたい。」と冗談交じりに言ったそうです。
今の時代にこの発言はいろいろと物議を醸しだしそうですがw
歴史上に残る偉人にもこのようなユーモアあふれるやり取りがあったというエピソードのおかげで、親しみやすさを感じられますよね。
この話を岩惣の仲居さんから聞いた常助は、もみじ饅頭づくりのヒントにしたという説も残されています。
いずれにせよ美しい紅葉でも知られる宮島(厳島)にぴったりの名産品もみじ饅頭は、昔から広島の人々にとって身近な存在だったと言えるでしょう。
元祖もみじ饅頭のその後
元祖もみじ饅頭と言われている高津堂はなぜ商標権を得なかったのでしょうか。
実際もみじ饅頭を生み出した高津常助は商標登録をしていましたが、有効期間の20年が経つと常助は更新を行わなかったそうです。
その理由は職人ならではで、「技や味は盗むもの」というもの。
息子で2代目の高津昇にもレシピを教えなかったため、昇は試行錯誤しましたが父の味にたどり着けず、このまま初代に傷をつけたくないともみじ饅頭の製造販売を中止してしまいました。
しかしながら初代常助は、宮島の菓子組合中長を務めていたこともあり、もみじ饅頭を高津堂だけのものとせず宮島の名物になるようにという思いで職人育成に尽力していたという面もあったため、高津堂の一時製造中止後も「元祖」もみじ饅頭を名乗るお店が続出し、現在に至っているのです。
その後もみじ饅頭は様々な形で進化を遂げていきます。
第二次世界大戦以前は一つ一つが型に入れて焼く手焼きだったため職人の技量によって見た目や品質がまちまちでしたが、戦後は販売レーンやルートも拡大し大量生産が実現しました。
そして忘れてはいけないのが、1980年代の漫才ブームで一世を風靡した漫才コンビB&Bのギャグ。
島田洋七が「モミジマンジュウ!」と言うと相方の島田洋八が「きびだんご!」と返して互いに譲らないという掛け合いがお茶の間でも大人気となり、このネタがきっかけでもみじ饅頭は全国的に大ブレイク。
宮島だけでなく広島を代表する銘菓として発展していったのです。
筆者も太鼓判!究極のもみじ饅頭10選
広島にはもみじ饅頭を販売している店舗がたくさん。
その中でも選りすぐりの10店舗を筆者が実際に食べ歩き、独断で選ばせていただいたのでご紹介します!
しかももみじ饅頭は1個当たりのカロリーが70~110と普通のお菓子に比べても低いので罪悪感なくペロッと食べられちゃいます☺
ぜひ、バラエティ豊かなもみじ饅頭を味比べしてみてください🍁
もみじ饅頭を誕生させた「高津堂」
元祖もみじ饅頭の生みの親「髙津堂」。
髙津常助がこだわり抜いて作り上げたもみじ饅頭は左右非対称で葉脈がはっきりと描かれた独特な見た目。
一枚一枚手焼きされているので、どこか懐かしさを感じる優しい味わいです。
一度は途絶えてしまった髙津堂のもみじ饅頭製作でしたが、2009年に3代目店主によって復活し、今では毎日完売する人気ぶりです。
まずは元祖の歴史深いお菓子をご賞味あれ。
髙津堂
公式WEB:元祖もみじ饅頭 髙津堂
住所 :広島県廿日市市宮島口西2-6-25
TEL :0829-56-0234
営業時間:8:00~18:00
定休日 :不定休
お餅のようなモチモチ食感がたまらない「にしき堂」
にしき堂は広島を代表する大手の菓子メーカーで歴史は他のお店に比べると比較的新しいのですが、宮島へ行かなくとも市内にお店があることから大変ポピュラーなブランドです。
こちらのにしき堂で筆者が皆さんに声を大にしておすすめするのが「生もみじ」。
普通のもみじ饅頭とは違って、生菓子としてつくられた生もみじは、モチモチとまるでお餅を食べているような食感を楽しめます。
従来のもみじ饅頭に比べて賞味期限も短いのですが、今までにない新しいもみじ饅頭をぜひ楽しんで頂けたらと思います。
にしき堂
公式WEB:西しき堂
住所 :広島県広島市東区光町1-13-23
TEL :0120-979-161
営業時間:9:00~18:00
定休日 :無休
カープ坊やがプリントされている「香月堂」
続いては、カラフルなパッケージが目を引く香月堂の「広島カープ」もみじ饅頭。
広島と言ったらカープ⚾
人々に親しまれてきた球団のキャラクター「カープ坊や」が愛らしくデザインされていて、見ているだけで元気が出てきます。
お土産にも非常に喜ばれると思うので、ぜひ広島旅行の際は手に取ってみてくださいね。
香月堂
公式WEB:香月堂
住所 :広島県広島市安佐北区小河原町1520-1
TEL :082-840-1301
サクサク食感が新しい「紅葉堂」
お次は今SNSでも話題の「揚げもみじ」を販売している紅葉堂。
揚げもみじは、もみじ饅頭の製造段階で出来栄えがあまり良くないものをなんとか美味しく食べられないものかと考え生まれたそうですが、今では宮島の食べ歩きの定番として人々に親しまれています。
揚げたてはサクッともみじ饅頭の天ぷらそのもの。
一度食べると病みつきになる食感なので、宮島観光と合わせて楽しんでください。
紅葉堂
公式WEB:紅葉堂
住所 :広島県廿日市市宮島町448-1(本店)
TEL :0829-44-2241
営業時間:8:45〜17:30頃 (※季節により変動)
定休日:不定休 (要問い合わせ)
オリジナルフレーバーも取り揃えている「やまだ屋」
次にご紹介するのは貴重な手焼き体験や工場見学もできる「やまだ屋」。
美味しいもみじ饅頭を自分の手で焼き上げて、アツアツのできたてを食べられるなんて感動ですよね。
また通常のものに加えオリジナルフレーバーの「レモンもみじ」「ヨーグルトもみじ」「コーティングチョコもみじ」など餡子が苦手な方も楽しめる充実のラインナップ。
いろんな味を家族で分け合って味比べしてみるのも面白いですよね。
やまだ屋
公式WEB:やまだ屋
住所 :広島県廿日市市宮島町835-1(宮島本店)
TEL :0829-44-0511
営業時間:9:00~18:00
定休日 :年中無休
出来立てが食べられる老舗「藤い屋」
続いてはカフェで焼き立てや美味しい甘味も頂けるおしゃれな「藤い屋」。
老舗でありながらも時代の変遷に合わせて進化し続け、美味しいパンやスイーツなども展開しています。
お店では手焼きしたてのもみじ饅頭をその場で楽しめます。
こだわり抜かれた素材と熟練の技で焼き上げた珠玉の1個をお試しあれ。
藤い屋
公式WEB:藤い屋
住所 :広島県廿日市市宮島町1129(宮島本店)
TEL :0829-44-2221
営業時間:9:30~17:00(営業時間が変更する場合あり)
粒あん発祥のお店がつくる粒もみじ「岩村もみじ屋」
さて次にご紹介するのはもみじ饅頭の「粒あん」を最初に生み出した「岩村もみじ屋」。
明治に創業。
昭和9年に高松宮殿下が厳島を訪問された際、初代店主の岩村栄吉に「粒あん入りのもみじ饅頭がつくれないか」と提案したことがきっかけとなり粒もみじが生まれたそうです。
丁寧に作られた餡がぎっしり詰まった元祖つぶもみじの味を確かめてみてください。
岩村もみじ屋
公式WEB:岩村もみじ屋
住所 :広島県廿日市市宮島町中江町304-1
TEL :0829-44-0207
営業時間:9:00~17:00(売り切れ次第閉店の場合あり)
定休日 :不定休
海外の人からも人気の「おきな堂」
続いては元祖繋がりで、元祖クリームもみじの「おきな堂」。
昭和59年に業界で初めてクリームもみじを発売してから、もみじ饅頭は日本だけでなく世界の人にも親しまれるようになりました。
カステラ生地はほわっとした柔らかさと程よい食感を意識して丁寧に焼き上げられています。
いつでも焼き立てがモットーなので、注文が入ってから焼き上げられるのも特別感があってさらにおいしく感じられますよ。
おきな堂
公式WEB:おきな堂
住所 :広島県廿日市市宮島口1-10-7
TEL :0829-56-0007
営業時間:9:00~19:00
定休日 :木曜日(振替あり)※営業日カレンダー参照
1個80円という破格価格にびっくり「大伸堂」
お次は知る人ぞ知る名店「大伸堂」。
宮島で創業してから50年にわたり、一つ一つ丁寧に焼き上げるスタイル。
こじんまりとした情緒溢れるもみじ饅頭のお店です。
地域最安値の1個80円という価格にも驚きますが、目を引くブルーに爽やかな甘さのラムネ味や季節をイメージした春限定の「サクラ咲く春」など変わり種も人気です。
中でも手作りのこしあんはくちどけも柔らかく絶品ですよ◎
大伸堂
公式WEB:大伸堂
住所 :広島県廿日市市宮島口1-4-11
TEL :0829-56-0380
営業時間:9:00~21:00
定休日 :火曜日
洋風のもみじ饅頭ならここ「菓子処きむら」
最後にご紹介するのは、洋菓子店がつくるもみじ饅頭です。
老舗洋菓子店「菓子処きむら」は新鮮な卵を使用し、まるでシフォンケーキのようにふんわり冷めてもパサつかない生地が特徴の新感覚なもみじ饅頭を販売しています。
中でもオリジナル商品の果肉入りアップルはリンゴをソテーしてワインで炊き上げた大人な風味のお菓子。
デンマークのクリームチーズにプロセスチーズをブレンドしたオリジナルチーズも、思わずワインと一緒に食べたくなる洋風もみじ饅頭です。
菓子処きむら
公式WEB:菓子処きむら
住所 :広島県廿日市市宮島町592
TEL :0829-44-0041
営業時間:9:30~18:30 季節により変動あり
もみじ饅頭の美味しい食べ方をご紹介!
もみじ饅頭はもちろんそのまま食べても美味しいのですが、賞味期限が3日~2週間と短いのも特徴です。
そこでもみじ饅頭の知る人ぞ知る食べ方や、保存方法をご紹介したいと思います。
出来立てのような仕上がり!電子レンジで温める
袋から出してお皿に乗せたら10秒ほど電子レンジでチンしてみてください。
ほのかに温かく、まるで出来立てのもみじ饅頭を食べているかのようになります。
やりすぎると大変なのであくまでも適度に温めるのがポイントです。
カリッサクッと!オーブントースターで焼く
さらに電子レンジで温めたものにサクッ、カリッとした食感を加えたい場合はオーブントースターとの合わせ技もおすすめです。
ここでポイントなのは必ずレンジで一度温めたものをトースターでほんの少し焼くということです。
トースターは火力も強いのでそのまま温めると、外だけ焦げて中はそのままの残念な感じになってしまいます。
また焦げやすいので目を離さずに適度な時間で焼いてください👍
ジューシーに!油で揚げる
少し面倒ですが油で揚げるという食べ方もあります。
まるでドーナツのようにカリカリ・アツアツ・中はトロトロな食感が一度に楽しめます。
また揚げもみじのオリジナルレシピもネットには数多く掲載されているので、衣をつけて揚げるのもおすすめです。
かなりの高温ですので、火を扱う際や食べる時はやけどにも注意してお召し上がりくださいね。
ひたひたで食べるのが新しい!牛乳に浸ける
餡子と牛乳は相性がいいですし、カステラと牛乳の相性も抜群です。
牛乳好きな人はもみじ饅頭を少しずつ浸しながら食べてみるのも新しい美味しさを発見できるかもしれません。
浸すのに抵抗がある方はもみじ饅頭のお供に牛乳を飲むだけでもおすすめです。
刑事ドラマのあんパンと牛乳から考え付いた?!組み合わせなのかもしれません。
もみじ饅頭の保存方法
さて思いのほか賞味期限の短いもみじ饅頭。
買ってきたらまず、直射日光を避け涼しいところに置いておくのが基本です。
あまりにも量が多いな…というときはサランラップで包んだりジップロックでしっかりと密閉して、匂いがつかないようにした上で冷凍庫に入れるのがおすすめです。
自然解凍しても美味しいですし、解凍したものを更に前述の方法で温めれば美味しさも蘇りますよ🍁
筆者の祖母の家では冷凍のもみじ饅頭がたくさん入っていたので、子供のころはもみじアイスと称してそのまま食べることもありましたw
これも意外といける食べ方なので勇気のある方や冷たいスイーツがお好きな方はお試しください ✋
もみじ饅頭には色んな種類や食べ方がある
もみじ饅頭特集、お楽しみいただけましたでしょうか。
もみじ饅頭はバラエティ豊かな種類があり、進化を続けています。
さらに驚くべきは、犬用のもみじ饅頭「もみじ焼き」が存在することです🐶
もみじ焼きは見た目は本物のもみじ饅頭そのままですが、餡子を入れずにほんのり甘いカステラ生地のお菓子に仕上げられています。
もみじ饅頭は人間だけでなく、可愛らしいペットたちにも大人気です。
家族みんなで広島の銘菓を囲んで楽しいティータイムを過ごしましょう🍵
執筆:Honami
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