「動き出す妖怪展 NAGOYA」初開催|妖怪画が“動き出す”没入型アート体験が名古屋に

「動き出す妖怪展 NAGOYA」のメインビジュアル。巨大な妖怪骸骨と多彩な妖怪たちが幻想的な色彩で描かれたキービジュアル。

2025年7月19日(土)から9月23日(火・祝)まで、名古屋・金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)にて、「動き出す妖怪展 NAGOYA 〜Imagination of Japan〜」が初開催される。

江戸・明治期に描かれた妖怪たちを、3DCGやプロジェクションマッピング、ホログラフィックスクリーンといった映像技術によって立体的に再構成し、伝統美術と現代デジタルの融合を試みる展覧会。

本展の特徴は、視覚効果だけにとどまらない没入型の演出にある。古典絵巻に描かれた妖怪の姿が、空間全体に展開される映像と、精巧な立体造形によって“動き”と“質感”の両面から立ち上がることで、来場者を異世界へと誘う構成が予定されている。

その融合表現が、どのような没入体験を形づくるのか。現段階では詳細は未発表ながら、美術とテクノロジーの交差点として注視される展覧会のひとつである。

また、妖怪文化の背景に深く迫る学術的な側面にも注目したい。小豆島の妖怪美術館や、日本初の古書博物館である西尾市岩瀬文庫の協力により、貴重な妖怪画や戯画の実物展示と解説が行われる予定だ。古代から近世にかけて育まれた妖怪のイメージが、現代のポップカルチャーへとどのように継承されてきたのか――その系譜を辿る企画展示としての意義も見逃せない。

この展覧会に関するチケット情報などの詳細は、後日公式サイトにて順次発表される予定だ。

妖怪たちと“出会い”“遊ぶ”インタラクティブな空間演出

本展では、来場者が展示の一部として妖怪たちと関わることができるような、インタラクティブな仕掛けも用意されている。妖怪たちが投影された映像空間では、記念撮影や動画撮影が可能とのこと。中には、観客の動きに反応する演出もあり、自身が妖怪絵巻の世界に迷い込んだかのような没入感が味わえるという。

加えて、映像と連動する立体造形の展示も重要な要素だ。鬼や天狗、河童、付喪神といった妖怪たちが、リアルなサイズ感と細密な造形によって再現される予定だ。映像表現と物理的な造形とが相互に補完し合うことで、妖怪たちの存在感はより一層リアリティを帯び、視覚だけでなく空間的な記憶にも強く刻まれる体験となりそうだ。

妖怪文化の系譜と、世代・国籍を超えたアート体験

日本には、妖怪という存在が時代とともに形を変えながら、連綿と語り継がれてきた背景がある。古くは神話や民話、昔ばなしに登場し、明治期には柳田國男によってその民俗的意義が掘り下げられた。戦後には水木しげるによる独自の解釈が広まり、『ゲゲゲの鬼太郎』や『妖怪ウォッチ』、『学校の怪談』などを通じて、妖怪は今も子どもたちや大人たちの想像世界に息づいている。

本展では、そうした妖怪たちの姿を、現代的な視覚表現だけでなく、文化的背景や美術史的文脈を踏まえて紹介する。
江戸時代の浮世絵師・歌川国芳による妖怪画などの実物展示をはじめ、小豆島の妖怪美術館、西尾市岩瀬文庫との協力による資料展示が予定されており、鑑賞者は妖怪文化の起源から現在に至るまでの変遷を立体的に学ぶことができる。

また、本展は多様な来場者に向けた配慮も重視している。日本語・英語による展示解説のほか、館内はバリアフリー設計で、シニアや子ども連れにもやさしい構成となっている。非言語・直感的に楽しめる体験型の内容も多く、訪れる人の年齢や国籍を問わず、多層的に楽しめる展覧会として設計されている点も注目に値する。

会期中には、来場者が妖怪たちとともに空間を巡る「百鬼夜行パレード」も予定されており、展示を超えた参加型イベントとしても期待が寄せられている。

開催概要

  • 展覧会名:「動き出す妖怪展 NAGOYA 〜Imagination of Japan〜」
  • 会期:2025年7月19日(土)〜9月23日(火・祝) ※期間中無休
  • 会場:金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)
    (愛知県名古屋市中区金山町1丁目1−1)
  • チケット情報:各種コンビニ端末、電子チケットにて販売予定
    ※詳細は後日、公式サイトにて発表
  • 公式サイトhttps://www.yokaiimmersive.com
  • Instagram@yokaiimmersive
  • 主催:動き出す妖怪展 NAGOYA 実行委員会(テレビ愛知、一旗)
  • 特別協力:西尾市岩瀬文庫、妖怪美術館(小豆島)
  • 企画制作:一旗、テレビ愛知
  • お問い合わせ:動き出す妖怪展 NAGOYA 実行委員会事務局(テレビ愛知事業部内)
    TEL:052-229-6030(平日10:00〜17:00)

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ABOUT US
Taro Okazaki
「Guidoor Media」の立ち上げに携わり、日本の文化・歴史・観光を中心に執筆。オーストラリアでの出版社や教育機関での勤務経験を経て培った国際的な視点を活かし、日本の多様な魅力を国内外に発信しています。 文章では、地域の魅力を分かりやすく伝えることを心がけ、アートでは感情や記憶を色彩と形で表現しています。 趣味はVtuber、アニメ、音楽など。日々の好きなものが創作の原動力になっています。