東京・表参道のSH GALLERYで、アーティスト・小林亜沙の個展「ガールズ・トーク」が2026年5月9日(土)より開幕します。
開幕前日に行われた内覧会では、平面作品と立体作品が並ぶ展示空間を歩きながら、小林さんに作品への思いや制作について話を聞きました。
Contents
個展タイトル「ガールズ・トーク」に込められた思い

個展のタイトルに込めた思いを尋ねると、小林さんは、作品に登場する女の子たちの特徴について次のように語りました。
「女の子をずっと作っていて、その特徴として口がないんです。心の中を表現したいから、口をなくして、目で訴えるような感じで、見ている人とつながりたいという思いがあって。それで、その心の対話というか、そういうものを『ガールズ・トーク』と呼んだ感じです」
「ガールズ・トーク」というと、にぎやかなおしゃべりのイメージが浮かぶかもしれません。しかし小林さんの言葉からは、作品と鑑賞者のあいだに生まれる、静かな対話としての意味が伝わってきます。少女たちと、まなざしを通して鑑賞者が向き合う。その関係性を「トーク」と呼んでいることが印象的でした。

見る人によって変わる、瞳の意味

小林さんの作品で印象に残るのが、少女たちの目です。力強く見えるときもあれば、今にも涙がこぼれそうに見えるときもあります。そのまなざしの表情について聞くと、次のような答えが返ってきました。
「目で訴える、その人の強さとか、心の中の感情というか。見る人によって、いろんな違う感情に見えるんじゃないかなって」
例えば、力強く見えるのか、泣いているように見えるのか、それは見る人によって変わってくるといいます。
「一つの目を見ても、見る人によっては意思が強そうとか、悩んでいそうとか、そういうふうに映ればいいなという感じです」
小林さんの話からは、作品の意味を一つに固定するのではなく、見る人の状態によって受け取り方が変わることを大切にしている姿勢が伝わってきます。会場で作品と向き合う時間は、少女たちのまなざしを見つめながら、自分自身の感情にも目を向ける時間になりそうです。
心の中にいる、小さい頃の自分

なぜ「女の子」をテーマに描き続けているのか。その問いに対して、小林さんは作品づくりのきっかけとなった内省的な時間について話してくれました。
「自分がやりたくてやれてこなかったことはなんだろうって思ったとき、小さいときの自分って素直だったな、と。その頃の自分と対話するような感覚の中で、あ、私は絵が描きたいな、作品を作りたいって思った。その時の私のままで作品を作っているので、私がその時に感じた心の中の少女というか、それが原点なので、ずっとそれが続いている感じです」
自身の人生の転機となった出来事をきっかけに、言葉にできない感情や「好き」という気持ちをすくい上げ、「memeco」というキラキラした瞳の愛らしいキャラクターに託して作品を制作
平面から立体へ、新たな発見

本展では平面作品に加え、立体作品も展示されています。同じキャラクターが平面と立体の両方で表現されるなか、制作の感覚はどう変わるのでしょうか。
「全然違うんですけど。平面のときって一つの目線から見て描いていたんですけど、立体になると360度を想像してやり始めて。より深く考えるようになって、多分、平面も変わってまた違う表現になると思うし、一回立体に落としてみて、すごい良かったんです」
「初めて見た後頭部、みたいな。立体にして、こんな後頭部だったんだ、みたいな」
会場には、展示空間の中で新たな表情を見せる少女たちが並んでいます。小林さん自身も、作業場に並んでいたときとはまた違う印象を、展示の場で発見したと語っていました。
作ることへの幸せと、続けること

活発に活動を続ける小林さんに、作り続けることについて尋ねました。
「私も聞きたいくらいです。でもやっぱりコツコツやることだなとは思っています。制作していたらいろんな感情が出るので、自分と向き合う作業になってきて」
苦しくなるときもあるが、そういうときも始めたときの気持ちに立ち返り、とにかくコツコツ続けることを心がけているといいます。
途中で嫌になることはないかと聞くと、次のように話してくれました。
「作ることが嫌というか……こんなもんじゃないのに、と思い描いたものに手が追いつかない苦しみはあるみたいな。でも作業自体は、毎日、作業で座るときに『幸せ』って思うんですよ。今日もできる、今日もできる、みたいな。作業自体は『今日もできて、なんて幸せなんだろう』っていう感じです」
制作には苦しさもある一方で、作業の場に座れること自体に喜びがある。小林さんの言葉からは、日々の制作に向き合う姿勢が伝わってきます。
心が少し動く時間に

最後に、本展を訪れる人に何を感じてもらいたいかを尋ねました。
「とにかく純粋に、これを見た人が『かわいい』とか『面白い』とか、そういうふうにちょっとでも心が動いてくれたらいいなというのが、作っているときの気持ちなので、そういう時間になればいいなと思います」
かわいらしさの中にある、言葉にならない感情。好きなものにまっすぐ向かう気持ち。そして、作品を見る人の心が少し動く時間。
作品の前に立つとき少女たちのまなざしを通して、自分自身の内側にも目を向ける展覧会です。
アーティストプロフィール

小林亜沙 / Asa Kobayashi
京都精華大学芸術学部デザイン学科卒業。「女の子」というフクザツで愛しい存在をテーマに、言葉にならない感情や心の動きを絵画・立体作品として表現している。自身の人生の転機をきっかけに、「memeco」というキラキラした瞳のキャラクターを生み出し、国内外のアートフェアで高い評価を得る。2025年にはIndependent Tokyo 2025にて審査員特別賞を受賞(朴ソネ/SH GALLERY)。
展覧会情報

オープニング・レセプションパーティー
2026年5月9日(土)17:00〜19:00 / アーティスト在廊予定
スパークリングワイン等の提供、コースター・ポストカードの来場者特典を予定しています。数量や配布条件などの詳細は会場でご確認ください。
| 展覧会名 | 小林亜沙「ガールズ・トーク」 |
|---|---|
| 作家名 | 小林亜沙(Asa Kobayashi) |
| 会期 | 2026年5月9日(土)〜5月30日(土) |
| 開館時間 | 12:00〜19:00 |
| 休館日 | 日曜・月曜 |
| 会場 | SH GALLERY |
| 住所 | 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-20-9 WAVEビル 3F |
| 入場料 | 無料 |
| オープニング・レセプション | 2026年5月9日(土)17:00〜19:00 |
| ギャラリー公式サイト | https://www.shartproject.com/ |




















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