雪駄とスニーカーの融合が進化する — goyemonの「unda-雲駄」最新モデルたち

足袋一体型スニーカー「unda-雲駄 TEGU」ブラックモデルの製品ビジュアル。goyemonによるコンセプトモデル。

日本の伝統的な履物「雪駄」を、現代の技術と感性で再構築するブランド「goyemon」。その代表作である「unda-雲駄」は、毎年進化を重ね、新たなフェーズへと歩みを進めている。2025年春には、足袋との一体化を実現した「TEGU」モデルと、White Mountaineering®︎とのコラボによる新ソール搭載型が登場。両モデルに共通するのは、文化と機能性の融合という明確なビジョンだ。

1分でわかるこの記事
  • 日本の伝統的な履物「雪駄」とスニーカーを融合させたgoyemonのプロダクト「unda-雲駄」を紹介
  • 新モデル「TEGU」は足袋一体型のコンセプトモデル、ネオプレン素材やアジャスターを搭載
  • White Mountaineeringとの最新コラボは、新開発「HOVER」ソールとオリジナルジャカード生地が特徴
  • ファッションとしての応用性が高く、テック系・和装・モード・フォーマルまで幅広く対応

日本の伝統×最新技術を掲げるプロダクトデザインユニット「goyemon」

goyemon(ごゑもん)は、2018年に大西藍と武内賢太によって結成されたプロダクトデザインユニットである。ブランドが掲げるのは、「日本の伝統や魅力ある製品を、若い世代や世界の人々に届ける」という明快な理念だ。古くから受け継がれてきた文化や技術を、現代の素材や発想を通じて再構築することで、“今”の生活に馴染むプロダクトを生み出してきた。

その代表的なプロダクトが「unda-雲駄」シリーズである。日本の伝統的な履物である雪駄をベースに、スニーカー由来のエアソールを組み合わせるという意外性に満ちた発想は、2019年のブランド発足時から大きな注目を集めた。以来、5年の歳月で約30社とのコラボレーションを重ね、累計4万足以上を販売。goyemonのものづくりは、もはや単なるプロダクト開発にとどまらず、伝統と革新のあり方そのものを問う、文化的な試みとして広がりつつある。

足袋との融合で生まれた「unda TEGU」:雪駄の未来形

TEGUとは何か?機能性と文化の結節点

「unda TEGU」は、goyemonが新たに提案するコンセプトモデルであり、雪駄と足袋を一体化させたハイブリッドなフットウェアである。

プロジェクトの起点は、日本の伝統的履物「足袋」を現代的に再解釈し、それを「unda-雲駄」と融合させるというアイデアにあった。3Dプリンティングやモックアップを重ねた開発工程を経て生まれたこの一足は、古典的な履物が持つ構造美と、都市生活に求められる機能性を兼ね備えている。

伝統を支えるディテール:素材、構造、思想

TEGUモデルでは、足袋部分にネオプレン素材を採用。優れた伸縮性と保温性を備え、従来の足袋よりも履きやすく、寒冷環境にも対応する。アッパーには、脱着可能なアジャスターが装備されており、これは古くは雪駄を紐で足に固定した「雪駄留め」に着想を得た構造だ。

フットベッドにはポリエステル生地が使われ、滑らかな足あたりを実現。テック感を強調したアジャスターやアウトソールと、伝統的なビロード生地の鼻緒が生み出すコントラストが、プロダクトの象徴的な意匠となっている。

GRAYとBLACKの2色展開

雪駄スニーカー「unda-雲駄 TEGU」GRAYモデルの側面および正面ビジュアル。goyemonによる最新モデル。

「unda TEGU」は、GRAYとBLACKの2色展開で提供される。GRAYモデルでは、光沢のあるグレーを基調にオレンジのステッチがアクセントとなり、視覚的な軽快さを添える。

雪駄スニーカー「unda-雲駄 TEGU」BLACKモデルの側面および正面ビジュアル。goyemonによる最新モデル。

一方、BLACKはよりミニマルな印象で、スモークブラックのミッドソールが落ち着いた佇まいを演出する。サイズはS(23.5–25.0cm)・M(25.5–27.0cm)・L(27.5–29.0cm)の3種類、価格は税込49,000円。2025年4月5日より抽選受付が開始され、goyemon公式オンラインストアにて限定販売された。

「unda-雲駄 TEGU」の製品一式。足袋パーツ、サンダル本体、収納バッグ、化粧箱が並べられたパッケージ内容。
商品スペック|goyemon「unda-雲駄」TEGU モデル

■ カラー展開

  • BLACK(ブラック)
  • GRAY(グレー)

■ サイズ展開

  • Sサイズ:23.5cm〜25.0cm
  • Mサイズ:25.5cm〜27.0cm
  • Lサイズ:27.5cm〜29.0cm

■ 重量(片足)

  • Sサイズ:約390g
  • Mサイズ:約415g
  • Lサイズ:約440g

■ ソール素材

  • 合成樹脂(synthetic resin)
  • 合成ソール(synthetic sole)

■ アッパー素材

  • ナイロン(nylon)
  • ポリプロピレン(polypropylene)
  • ポリオキシメチレン(polyoxymethylene)
  • ポリエステル(polyester)
  • ポリウレタン(polyurethane)

■ 足袋素材(内蔵インナー)

  • ポリクロロプレン(polychloroprene)

■ 価格(税込)

  • 49,000円(税込)

■ 生産国

  • 日本製(Made in Japan)

White Mountaineering®︎との協業が拓く、新たな表現:「unda」25SSコラボモデル

新開発「HOVER」ソールで追求された履き心地とシルエット

2025年4月、goyemonとWhite Mountaineering®︎による三度目の協業として発表されたのが、「unda-雲駄」25SSコラボレーションモデルである。本モデル最大の特徴は、新開発の薄型エアーソール「HOVER(ホバー)」の初搭載にある。クッション性を維持しつつも、より雪駄本来の薄く軽やかな印象を実現。足元のラインを美しく保ちながら、街履きにも適した機能性を持ち合わせる。

「HOVER」は、従来のスニーカーライクな厚底から脱却し、歩行時の安定感や重心の移動に配慮した設計となっている。伝統的な雪駄の構造美により近づけながら、現代人の歩き方に適応した新たな解釈といえる。

オリジナルジャカード生地が語る、伝統の視覚的解釈

アッパーの天板生地には、White Mountaineering®︎が制作したオリジナルのジャカード生地を採用。墨絵のような滲みやぼかしを織りで再現することで、日本的な余白と濃淡の美を表現している。肌に触れる部分はさらりとした質感で、暑い季節でも快適な履き心地を提供する。クラフトマンシップとテキスタイル技術の融合は、視覚からも“和”の文脈を感じさせる仕上がりとなっている。

取り扱い店舗、リリース情報まとめ

この25SSコラボモデルは、カラーはBLACK、サイズはM(25.5–27.0cm)・L(27.5–29.0cm)の2展開。1足あたりの重さはおよそ300g前後と、軽量で扱いやすい仕様に仕上がっている。税込価格は37,400円。2025年4月19日(土)より、White Mountaineering®︎の代官山店、伊勢丹新宿メンズ館、公式オンラインストア、および全国の取り扱い店舗にて順次販売が開始される。

商品スペック|White Mountaineering®︎ × goyemon「unda-雲駄」25SS

■ カラー展開

  • BLACK(ブラック)

■ サイズ展開

  • Mサイズ:25.5cm〜27.0cm
  • Lサイズ:27.5cm〜29.0cm

■ 重量(片足)

  • Mサイズ:約285g
  • Lサイズ:約300g

■ アッパー素材

  • 綿(cotton)
  • ポリエステル(polyester)
  • ポリウレタン(polyurethane)

■ ソール素材

  • 合成樹脂(synthetic resin)
  • 合成ソール(synthetic sole)

■ 価格(税込)

  • 37,400円(税込)

■ 原産国 日本

雪駄は歩き続ける:goyemonが見据える次のステージ

「unda-雲駄」は、単なる雪駄の延長線ではない。それは日本の履物文化に根ざしながらも、現代の都市生活者が求める快適性、ファッション性、個性を満たす“選ばれる”プロダクトとしての進化形である。goyemonはその開発を通して、過去と現在の「接点」にデザインの焦点を当て続けている。

足袋と融合させた「TEGU」モデルは、機能性と造形美が共存する未来の雪駄像を描き出した。一方、White Mountaineering®︎とのコラボモデルでは、テキスタイルやソール技術によって、伝統が持つ美意識をファッションの文脈で再構築することに成功している。

goyemonの挑戦は、履物を超えた「文化の継承と更新」にほかならない。変化し続ける時代の中で、日本の伝統を日常に引き戻すその歩みは、今後もさまざまな領域に広がっていくだろう。

goyemon | 公式情報まとめ

STYLE SUGGESTIONS|「unda-雲駄」は何と合わせるべきか?

モデルがTEGUを着用し自転車とともに立つストリートスタイルの写真

その機能性と造形美から、「unda-雲駄」は当然ながらテックウェアやストリートファッションとの親和性が高い。ナイロン素材のカーゴパンツやワイドなテックボトムス、アウトドアスペックのアウターと合わせることで、機能性を強調した都会的なスタイルが完成する。

一方で、このプロダクトの本質的な面白さは、“意外な文脈への接続” にもある。たとえば、モード系ファッションのミニマルなセットアップや、着物・和装アイテムとのミックスは、伝統と現代のバランスをビジュアルで表現する試みとして非常に魅力的だ。

さらに、スーツやドレスといったフォーマルスタイルにあえて組み合わせることで、「外し」の美学を体現することもできる。無機質なテック素材の中に鼻緒のビロードや手仕事の意匠が覗くその姿は、決して装飾的ではないが、文化と思想が滲む“静かな主張”としての存在感を放つ。

「unda-雲駄」は、ただのハイブリッドフットウェアではない。着る者の発想次第で、コーディネートの軸にも、反転させたエッジにもなる、極めて柔軟かつ思索的な一足だ。

COLUMN|“機能性と文化”を愛する一人として

テックウェアやストリートファッションに惹かれ続けてきた者として、日本からこうしたコンセプトのプロダクトが生まれるのを、ずっと待っていた。たとえばAcronym(アクロニウム)がそうであるように、文化的文脈と未来志向の機能性を併せ持ったアイテムには、言語を超えて伝わるメッセージがある。

goyemonの「unda-雲駄」は、単なる“和”のプロダクトではない。日本に脈々と息づく身体性や履物文化を、現代の都市空間にフィットさせる意志と構造を持っている。その点で、これは“ファッション”である以前に、明確な思想を帯びたデザイン、アートだ。

伝統を更新するとは、過去を否定することではなく、その価値を別の形で翻訳することだと感じる。今後もこのプロダクトの進化を、愛と共に見守りたい。

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ABOUT US
Taro Okazaki
「Guidoor Media」の立ち上げに携わり、日本の文化・歴史・観光を中心に執筆。オーストラリアでの出版社や教育機関での勤務経験を経て培った国際的な視点を活かし、日本の多様な魅力を国内外に発信しています。 文章では、地域の魅力を分かりやすく伝えることを心がけ、アートでは感情や記憶を色彩と形で表現しています。 趣味はVtuber、アニメ、音楽など。日々の好きなものが創作の原動力になっています。