柳川さげもん 可愛いらしいつるし雛で祝う福岡県柳川市伝統のひな祭り

さげもん
ねずみの形をしたさげもん
momo105さんによる写真ACからの写真

日本各地には、幼い子どもたちだけでなく大人の心をも魅了する様々なひな人形や風習が存在します。これらは日本独自の伝統的な美しさを放ち、多くの人々を惹きつけています。

今回は、その中でも特に個性的で可愛らしいひな飾り「柳川さげもん」に焦点を当てます。

高さのある雛人形と大量のさげもん

福岡県柳川市で展開されるつるし雛の一形態であり、その歴史や作品に込められた意味を紐解いていきます。

柳川さげもんは、親から子へ、そして子から孫へと受け継がれる美しいジャパンクオリティの世界を体現しています。

手作業で丁寧に作り上げられる作品たちは、見る者の心を揺さぶります。本記事では、柳川さげもんを通して日本のひな祭りの伝統美を皆さんにお伝えできればと思います。

立派な雛人形とさげもん

さあ、柳川さげもんの魅力に浸りながらその歴史や制作工程、そして作品に込められた意味に迫っていきましょう。

本記事では「桃の節句 ひな祭り」の歴史と由来についても解説していますので、あわせてぜひご覧ください。

「桃の節句 ひな祭り」の歴史と由来についてはこちらから。
日本の「ひな祭り」 桃の節句の歴史と由来

柳川の伝統工芸 つるし雛「さげもん」とは?

柳川『さげもん』はいわゆるつるし雛の一種で、様々なモチーフの小さな人形を吊るして飾るユニークな風習です。

全国にひな祭りは多くありますが、そのなかでも『つるし雛』は特に珍しい風習です。柳川「さげもん」と同様のつるし雛の風習は、静岡県「雛のつるし飾り」・山形県「傘福」にあり、「全国三大つるし飾り」と呼ばれ親しまれています。

「さげもん」は一つずつに想いと願いを込めて作られています。可愛いモチーフの人形それぞれには「長寿」「健やかな成長」など子どもたちのために込められた願いと意味があります。

つるし雛 「さげもん」の誕生と歴史

カラフルなさげもんが吊り下げられている
KOHARUSANさんによる写真ACからの写真

柳川「さげもん」づくりの始まりは定かではありませんが、江戸時代末期、柳川藩の奥女中が端切れや着物の残り布で子どもたちのおもちゃや琴爪入れをつくったのが原型で、いつしかそれらをぶら下げて愛でるようになったのが始まりだと言われています。

それを里帰りの際に女中たちが世間に広め、高価で手の届かないひな壇に比べて自宅でも作れる「さげもん」は庶民の暮らしに馴染む「初節句のお祝い」「ひな飾り」として親しまれ、定着するようになりました。

沢山のさげもんと奥に雛人形
Tempworksさんによる写真ACからの写真

さらにその後、「さげもん」制作を裁縫実習として取り入れたことで婦人たちに作り方が広く伝えられ、個々にまちまちだった見た目が統一されて現在の形に発展しました。

一般的にはひな段を父方の実家が用意し、さげもんを母方の親族が用意するという風習が根付いています。

一時は「さげもん」づくりも下火となっていましたが、1995年から柳川市をあげての取り組みで「柳川ひな祭りさげもんめぐり」という名のお祭りが始まりました。

貴重なさげもんが一般公開されたことによって改めて魅力が見直され、外国人観光客からも大変人気を集めています。

柳川さげもん
medetaiさんによる写真ACからの写真

柳川さげもんは1列に7個の細工が下げられ、紅白の布を巻いた等間隔の竹輪に7列結び付けられるようになっています。

さらに中央に大きな毬(まり)が2個。

(7×7)+2=51

この数には意味があり、昔は“人生50年”と言われていた中で1年でも長く生きられますようにという意味を込め51にしたようです。

さげもんの魅力を世界に広める「SAGEMON GIRLS」

「SAGEMON GIRLS」(さげもんガールズ)は福岡県柳川市をPRするために結成された、アイドルユニットです。

「さげもんガールズ」が出演した柳川氏の観光PRビデオは日本のみならずアジアを中心に世界中をとりこにしました。

動画は1400万再生を突破し、
「こんな町に遊びに行きたいです‼️」
「地元の人達が出てきて皆で踊ってるところでふいに泣きそうになった」
「演出良し、音楽良し、CG良し、美術も衣装も良し、そしてこれをオッケーした市も良し」

など世界中からも賞賛のコメントが寄せられています。

つるし雛「さげもん」の大切な吊るす順番は?

吊るし雛がたくさん吊り下げられている
シェルさんによる写真ACからの写真

一つ一つ手作りのつるし雛「さげもん」は吊りさげる順番も決まっており、それにもちゃんと意味が込められています。

上中段には「飛ぶもの・山のもの・木になる(咲く)もの」
中下段には「水中のもの・動物・人形」
最下段には「這い人形(ハイハイしている赤ちゃんの姿に似せた人形)・柳川毬」

つるし雛「さげもん」は一つ一つのモチーフ、吊るし方、それぞれに親から子への願いや意味が込められています。

柳川独自の工芸品「柳川毬」

柳川毬がぶら下がっている
coji_coji_acさんによる写真ACからの写真

「さげもん」の中心に2つ吊るされている毬は「柳川毬」(やながわまり)と呼ばれる柳川独自の指定特産工芸品で、本来は草木染めでつくられていました。

現在ではリリヤン(レーヨンを細かく編み込んだ手芸用の紐)の堅牢染め(堅牢度が高い染め方。堅牢とは丈夫さの度合いなので、ここでは色落ちや変色、汗水に強い染め方という意味。)によってつくられています。

沢山の柳川毬
ぷらむさんによる写真ACからの写真

元々は女の子が生まれた家にその子が気立てが良くマメであるようにと願い、5色の糸を巻いて作ったのが始まりです。

一つ一つ手作業の柳川毬は菊や椿、花菖蒲などの鮮やかな柄が多く、縁起ものなので赤やピンクなど鮮やかな色合いで構成されているのも特徴です。

いろいろな「さげもん」の種類とそれぞれの特徴

サルの人形がぶら下がっている
405さんによる写真ACからの写真

「さげもん」はひな壇の前に飾る豪華絢爛なものと、その飾りを引き立てる単一なモチーフでつくられたシンプルなさげもんに分かれます。

例えば柳川市の蒲池地区ではたくさん「い草」が栽培されていることから、い草を傘に細工したものだけを下げた「い草傘のさげもん」や、折り紙や広告チラシを扇状にしてつくった「紙細工のさげもん」があります。

色んな種類のさげもん
とりあし さんによる写真ACからの写真
 

その他にも金魚だけ、「柳川毬」だけ、水引を下げた「さげもん」などを柳川では見ることができます。

それぞれメインの「さげもん」を引き立てつつ、全てが調和している美しさや俯瞰で見た時の迫力は計り知れません。

柳川雛祭り「さげもんめぐり」水の故郷ならではのお祭り !

様々人形がぶら下がっている「さげもん」
405さんによる写真ACからの写真

毎年2月の中旬から4月上旬にかけて柳川市では柳川雛祭り「さげもんめぐり」と称した大々的なお祭りが開かれています。

普段見ることの出来ない貴重なさげもんの数々を一般公開しているため、繊細で色鮮やかな逸品を思いっきり楽しむことができます。

おひな様水上パレードをしている様子

また柳川ならではの「おひな様水上パレード」や「さげもん」の展示即売会なども行われています。

女の子のいる家庭や女性はぜひ自宅用に自分だけの「さげもん」を購入してみてはいかがでしょうか?手ごろに購入しやすい「さげもん」もあり、可愛らしさに惹かれついつい手に取りたくなると思います。

全校区的にも珍しいつりさげ雛「さげもん」を身近に感じられる貴重な機会なので、ぜひ足を運んでみてくださいね👍

柳川の川下り
上原淳也さんによる写真ACからの写真

柳川雛祭り「さげもんめぐり」の基本情報

さげもんめぐりをしている様子

開催時期:
毎年2月中旬から4月上旬

問い合わせ先:
0944-73-2145(柳川雛祭り実行委員会)
0944-74-0891(柳川市観光案内所)

※イベントの内容及び日程は変更になる場合がございます。
詳細は公式Webサイトなどでご確認ください。

公式WEB: ゆつら~っと柳川 YANAGAWA

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