横須賀美術館では、「山と海をつなぐアート:成川美術館コレクション展」を開催している。2023年度に始動した「箱根-横須賀連携プロジェクト」の第3弾として企画された本展では、箱根の山と横須賀の海という異なる風土を背景に、日本画による美術表現を通じた地域間の文化的対話が図られている。
展示期間は2025年4月19日(土)から6月22日(日)まで。成川美術館の収蔵品から約50点が選定され、山本丘人、平山郁夫、堀文子など近現代を代表する作家による作品のほか、神奈川県にゆかりのある作品も含まれている。
展覧会概要
「山と海をつなぐアート」は、箱根と横須賀の文化交流を目的とした企画展である。3回目の開催となる今回は、両地域がもつ自然環境や文化的背景を日本画の多様な表現を通じて紹介する。
会場となる成川美術館は芦ノ湖畔に位置し、日本画専門の美術館として1988年に開館。約4,000点に及ぶコレクションから、本展では選りすぐりの作品が紹介されている。出品作家には、山本丘人、毛利武彦、吉田善彦、平山郁夫、稗田一穂、堀文子、平松礼二らが名を連ねる。また、神奈川県とゆかりのある風景や題材を扱った作品群も含まれる。
本展は、異なる地理的背景をもつ地域がアートを媒介として結びつく過程を示すものである。
成川美術館について
あ成川美術館は、実業家・成川實氏の個人コレクションをもとに1988年に開館。約20年にわたり収集された現代日本画の名品を基礎とし、現在では4,000点以上を収蔵している。文化勲章を受章した山本丘人の作品だけでも200点を超える。
建築は今里隆による設計で、和の意匠と現代的な造形の融合が評価され、東京建築賞を受賞。2012年には、成川美術財団が設立され、展示・収集活動に加え、日本画の調査研究や作家支援も行っている。
住所:神奈川県足柄下郡箱根町元箱根570
公式サイト:
www.narukawamuseum.co.jp
展示作品と作家
展示される約50点の作品は、現代日本画の多彩な様式と技法を示すものである。出品作家には、戦後を代表する日本画家たちが並び、それぞれが伝統的な技法と現代的な表現の融合を試みている。
展示には、神奈川県の自然や文化と関わりのあるモチーフを描いた作品も含まれており、地域性と芸術性の交点としての側面も持つ。
観覧案内
会期
2025年4月19日(土)~6月22日(日)
開館時間
10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日
5月12日(月)、6月2日(月)
会場
横須賀美術館
神奈川県横須賀市鴨居4-1
公式サイト:
https://www.yokosuka-moa.jp/
観覧料(税込)
● 一般:1,300円(団体1,040円)
● 大学・高校生、65歳以上:1,100円(団体880円)
● 中学生以下:無料
● 横須賀市内の高校生:無料
● 障がい者と付添者1名:無料
※所蔵品展・谷内六郎館も観覧可
ミュージアムショップでは、成川美術館のオリジナルグッズも販売される。
問い合わせ
横須賀市コールセンター:046-822-4000(21言語対応)
平日 8:00~18:00/土日祝 8:00~16:00
海辺の美術館の空間性

横須賀美術館は、東京湾を望む立地と、建築の開放性が特徴的な施設である。大きなガラス窓からは、空と海が一体となった景色が広がり、展示空間と自然環境が調和する。
展覧会鑑賞後は、隣接する観音崎公園の散策や、海辺の景観を楽しむこともできる。また、併設の谷内六郎館では、雑誌『週刊新潮』表紙絵で知られる画家・谷内六郎の作品が常設展示されており、より多層的な芸術体験が可能となっている。
アートの余韻にひたる、海辺の食卓で
美術館を訪れたあとのひとときには、館内に併設されたレストランや屋上スペース、周辺の海辺や公園の散策がおすすめ。
館内レストラン「横須賀アクアマーレ」は、南青山の「リストランテ アクアパッツァ」で知られる日高良実シェフが総料理長を務めており、地元食材を活かした料理を提供している。大きなガラス窓越しに東京湾を望む店内は、昼は開放的な雰囲気のなかでランチセットやコース料理、自家製デザートが楽しめる。夜にはキャンドルの光とともに落ち着いた空間が広がり、ワインとともにコース料理を味わうことができる。
5月には、長井漁港「房竹丸」から仕入れたヒジキを使ったパスタやピッツァなど、初夏の食材を生かした季節限定メニューも提供されている。
「横須賀アクアマーレ」の営業時間などは以下の通り。
LUNCH 11:00~15:00(L.O.)
DINNER 17:00~20:00(L.O.)
CAFE 10:00~20:00
年末年始(12月29日~1月3日)を除き年中無休。
なお、美術館が休館となる第1月曜日も営業しており、館の駐車場も利用可能。
公式サイト:acquamare.jp/
コメントを残す