世界に誇るアニメーションスタジオ・ジブリ。その名作群を支えてきたプロデューサー鈴木敏夫に焦点を当て、全国を巡回している「鈴木敏夫とジブリ展」。2025年4月25日から長野展が開幕しました。
そして次回はついに愛知・ジブリパークでフィナーレを迎えます。
鈴木敏夫とジブリ展 長野展
会期:2025年4月25日(金)~ 6月29日(日)
会場:長野県立美術館 本館 展示室1 ・2・3
▶ 長野展 公式特設ページ
長野展、開幕しました🎉 pic.twitter.com/QfwRFaTcyD
— 鈴木敏夫とジブリ展【公式】 (@ts_ghibli) April 25, 2025
Contents
「鈴木敏夫とジブリ展」 愛知展は2025年7月12日から
愛知での展示では、「千と千尋の神隠し」に出てきた油屋(あぶらや)と不思議の町を再現した空間が新登場する。
本・映画・音楽を通して辿る鈴木氏の思考と感性。展示空間に再現された“ジブリの世界”を旅する本展は、ジブリファンはもちろん、映画や本、音楽を愛する人々にとって十分に見応えのある内容となっています。
さっそくチェックありがとうございます😊
— 鈴木敏夫とジブリ展【公式】 (@ts_ghibli) January 6, 2025
この夏愛知県で!「また、会えるね」 pic.twitter.com/889nmDUrXS
鈴木敏夫とジブリ展 愛知展
会期:2025年7月12日(土)〜9月25日(木)
会場:愛・地球博記念公園 体育館(愛知県長久手市)
▶ 愛知展 公式特設ページ
スタジオジブリを支えた、鈴木敏夫とは
スタジオジブリの数々の名作の背後には、物語と作り手をつなぐ“編集者”としての視点を持ち続けたプロデューサー、鈴木敏夫の存在がある。1948年、名古屋市に生まれた鈴木氏は、大学卒業後に徳間書店へ入社し、アニメ雑誌『アニメージュ』の創刊に携わった。そこで出会ったのが、高畑勲と宮﨑駿だった。
編集長として二人の作品を特集し、やがてスタジオジブリの設立にも深く関わるようになる。1989年以降は専従プロデューサーとして、ジブリのほぼすべての劇場作品を手がけ、数多くの傑作を送り出してきた。
その仕事は単なる制作管理にとどまらない。物語の方向性に関わり、時にはポスターやキャッチコピーといった広報戦略にも携わるなど、作品全体を“編集”する姿勢が一貫している。今回の展覧会では、鈴木氏が何を見て、何を読み、どんな音に耳を傾けてきたのか。彼の内的世界をたどることが、ジブリ作品の成り立ちを読み解く鍵にもなっている。
愛知展 展示の見どころ4選 ― 映画、音楽、本…“鈴木ワールド”を体感
① 鈴木敏夫の本棚 ― 思考の原点を探る
展覧会の中心に据えられたのは、鈴木敏夫の“本棚”をそのまま空間として再現したかのような展示だ。約8,800冊に及ぶ書籍が並ぶ様子は圧巻で、なかには実際に手に取って読むことのできるものも含まれている。
少年期から読み継いできた作品群は、物語のつくり手というより、まずひとりの読者としての鈴木氏の姿を浮かび上がらせる。会場には本人のコメントも添えられ、思考の変遷が静かに語られていく。
② 映画コレクション ― 日々の習慣が編んだ映画の森
映画好きとしても知られる鈴木氏。毎朝、新聞のテレビ欄をチェックし、録画予約するという日課を続けてきた。そうして蓄積された映画作品は約10,000タイトルにものぼる。
名作から隠れた一本まで、個人の嗜好が反映されたコレクションは、映画史を縦横に行き来するような奥行きを持つ。プロデューサーとしての視点と、いち映画ファンとしての視線が交差する空間は、ジブリ作品の豊かな映像言語の背景にもつながっている。
③ 「音楽コレクション」 ― “聴いてきた風景”の記憶 愛知展のみの新展示
今回の愛知展で初公開となるのが、「音楽」をテーマにした展示だ。初めて買ったレコード、深夜ラジオから流れてきた歌、友人と歌ったフォークソング…。そうした個人的な記憶を辿るレコードジャケットの数々が並び、来場者は鈴木氏の“聴いてきた時間”を共有するような感覚を味わえる。文字通り「本・映画・音楽」の三層構造で鈴木敏夫の精神的履歴が浮かび上がる構成は、展示としても稀有な試みと言える。
④ 油屋と不思議の町 ― ジブリ世界の実体験空間 愛知展のみの新展示
展覧会の終盤には、ジブリ作品の世界を体験できる空間が広がる。約3メートルの巨大な湯婆婆と銭婆が設置されたコーナーでは、口に手を入れて引くおみくじが楽しめる。また、今回の愛知展限定で、『千と千尋の神隠し』に登場する“油屋”と“不思議の町”を再現した空間も登場。照明が昼から夜へと変化する演出の中、まるで物語の一場面に迷い込んだかのような没入感が味わえる。写真撮影も可能なスポットとして、訪れる人の記憶に強く残る展示となっている。
開催概要・アクセス情報
展覧会名
鈴木敏夫とジブリ展
会期
2025年7月12日(土)〜9月25日(木)
※休館日:毎週火曜日(ただし、9月23日[火・祝]は開館し、翌24日[水]が休館)
開館時間
9:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
会場
愛・地球博記念公園 体育館(愛知県長久手市)
アクセス
- 【公共交通機関】
名古屋市営地下鉄「藤が丘駅」からリニモに乗り換え、「愛・地球博記念公園駅」下車すぐ - 【自家用車】
東名高速道路「名古屋IC」または「日進JCT」からおよそ20分
※駐車場あり(混雑時は公共交通機関の利用推奨)
チケット料金
通常チケット(鈴木敏夫とジブリ展のみの観覧チケット)
区分 | 前売券 | 当日券 |
---|---|---|
一般 | 1,700円 | 1,900円 |
中高生 | 1,300円 | 1,500円 |
小学生 | 900円 | 1,100円 |
※全チケットは日時指定制。前売券は入場日前日の22:00まで購入可能。
※障がい者手帳をお持ちの方と同伴者1名まで、当日券の半額で入場可。
■チケット販売方法について
通常チケット販売場所
オンライン予約購入:Boo-Wooチケット、ローソンチケット
店頭購入:ローソン、ミニストップ
※通常チケットは展覧会会場にて当日券の販売を予定しておりますが、数に限りがありますので、オンラインまたはコンビニ店頭での事前の予約購入をおすすめします。
チケットの購入方法や種別、注意事項については下記の公式チケットページをご確認ください。
▶ チケット情報(愛知展)公式ページ
ジブリパークと展覧会、あわせて楽しむチケット情報
「鈴木敏夫とジブリ展」では、ジブリパークとの同日入場が可能なセットチケットが用意されています。展覧会とあわせて、ジブリパーク内の「魔女の谷」「もののけの里」「ジブリの大倉庫」などを楽しめる内容となっており、1日で両方を巡ることができるのが特徴です。
セットチケットは展覧会単体よりもお得な価格設定となっており、ジブリの世界をより広く、深く体験することができます。
チケットは日時指定制で、希望する時間帯に合わせて事前予約が必要です。販売はオンライン(Boo-Wooチケット、ローソンチケット)およびコンビニ店頭(ローソン、ミニストップ)で行われます。セットチケットには以下の種類があります。
チケットの購入方法や種別、注意事項については下記の公式チケットページをご確認ください。
▶ チケット情報(愛知展)公式ページ
特別チケット(ジブリパークとのセット券)
鈴木敏夫とジブリ展 + ジブリパーク(魔女の谷・もののけの里)
一般(大学生以上) | 3,600円 |
中高生 | 3,200円 |
小学生 | 1,800円 |
未就学児(4歳以上) | 1,000円 |
鈴木敏夫とジブリ展 + ジブリパーク「ジブリの大倉庫」
一般(大学生以上) | 3,600円 |
中高生 | 3,200円 |
小学生 | 1,800円 |
未就学児(4歳以上) | 1,000円 |
それぞれ入場時間の指定があり、ジブリパーク内の混雑緩和やスムーズな動線確保のため、分けての時間管理が行われています。未就学児も別料金で入場が必要です。
チケット購入方法
- オンライン:Boo-Wooチケット、ローソンチケット
- 店頭:ローソン、ミニストップ(一部チケットは会場販売あり)
チケットの購入方法や種別、注意事項については下記の公式チケットページをご確認ください。
公式サイト
ジブリとともに育った私が思う、「最後に観てほしい展覧会」
「鈴木敏夫とジブリ展」のフィナーレは、ジブリパークを同時に楽しめるまたとない機会でもある。ジブリの世界に浸るには、これ以上ない舞台だ。
ジブリは、わくわくと幸せな記憶が入り混じった存在だ。
最初に出会ったのは『天空の城ラピュタ』か『となりのトトロ』だったと記憶している。公開時はまだ幼かったので、映画館でではなく、祖母が私のために用意してくれたビデオだった。
冒険、少年少女の出会い、そしてロマン。王道の物語の中にある温かさが、子どもだった私の心を強く惹きつけた。気がつけば、他の子と変わらずジブリのファンになっていた。
高校生になってから初めて読んだ『風の谷のナウシカ』のコミックには衝撃を受けたし、『火垂るの墓』では、今まで観た映画の中で一、二を争うほどの涙を流した。実の妹たちの姿とも重なって見えたからかもしれない(幸いにして、妹たちは今も元気に暮らしている)。
『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』の頃には、世界中がジブリに夢中になっていく流れを肌で感じていた。あれほど多くの人が同じ作品に心を揺さぶられているのを目の当たりにしたのは、あの時が初めてだったかもしれない。
いまでも、ジブリ作品を観ると自然に心が安らぐし、「ジブリを観れば幸せな気持ちになれる」と素直に思える。家族との関係は少し複雑だが、『君たちはどう生きるか』を母と劇場で観たときは、不意に涙が込み上げた。まだ健在な母の姿と重ねながら――。
ジブリの作品づくりは、時に狂気とさえ言えるほどの熱意に支えられている。だからこそ、多くの人の心に深く残るのだろう。私にとっても、そしてきっと多くの人にとっても、ジブリはただのアニメーションではない。人生に寄り添ってくれる、かけがえのない存在なのだ。
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