ラフカディオ・ハーン、日本帰化名・小泉八雲(こいずみ やくも)はギリシャ生まれのイギリス人です。
1890(明治23)年、アメリカ合衆国の出版社の通信員として来日し、その後日本に魅せられた彼は日本女性と結婚し帰化、日本人の間で伝承されていた死などをテーマとした民話を「怪談 (kwaidan)」という名の文学作品へ昇華、世界へ広めた作家・日本研究家として有名です。
ラフカディオ・ハーン『小泉八雲』人生の旅
ギリシャ(1850年誕生)→アイルランド→フランス→イギリス→アメリカ→日本・島根県松江→日本・熊本市→日本・東京(1904年死去)
2019年の訪日外国人は3000万人。
あるWEBサイトの旅行動向調査「世界の旅行者が訪れたい国」で日本はアメリカに次いで堂々の2位に選ばれています。
ところが歴史を遡ると、日本はファーイースト(Far East)という言葉があるように極東の遠い島国、世界の人々が訪れるにはハードルの高い国でした。
世界の中心ヨーロッパから東を目指す場合、最も遠い場所にある国こそ日本だったのです。
極東の遠い国ではありますが、そうはいっても歴史を振り返れば訪れている人々もいました。
明治維新を経て近代化(富国強兵)を進める日本にとって、欧米文明の導入は必須であり、そのため少なからぬ欧米人が教師や技術指導者として日本を訪れました。
殖産興業を推進するために高給を払い明治政府が迎い入れた海外の人々、いわゆる「お雇い外国人」です。
ラフカディオ・ハーンもその一人でした。
彼の人生を振り返り、その人物像、彼が世界へ広めた日本文化を明らかにしてみたいと思います。
日本文化を世界へ広めたラフカディオ・ハーン「小泉八雲」とは
ラフカディオ・ハーンとその友人ミッチェル・マクドナルドの写真。※1
左はラフカディオ・ハーンが来日後初めて著し、1894年に出版されたた作品集『知られぬ日本の面影』(Glimpses of Unfamiliar Japan )の表紙の装丁。※2
明治期以前の江戸時代あるいは戦国時代にも日本を訪れた外国人は存在しますが、多くは日本人へのキリスト教の伝道・布教が目的でした。
戦国武将・織田信長や豊臣秀吉に会い当時の日本の状況を「日本史」という著書として残したルイス・フロイス(ポルトガル)や、その人物の言葉が徳川幕府の学者・新井白石によって一冊の本となっている(「西洋紀聞」)ジョヴァンニ・バッティスタ・シドッティ(イタリア)らです。
ところがラフカディオ・ハーンは、こうしたキリスト教圏から日本へ訪れた外国人の中では珍しいことに、「キリスト教(文化)を嫌悪」し、逆に「日本文化のすばらしさ」を世界へ広めた人でした。
日本の最も著名な作家の一人で日本近代文学を確立した文豪の夏目漱石が、その日本文化研究を絶賛した外国人でもあります。
またあまり知られていませんが「津波(tsunami)」という日本語を国際語化した人物といわれています。
ラフカディオ・ハーンは1897年(明治30年)の 著書「A LIVING GOD」で 、安政南海地震(1854年)の際に地震後の津波への人命救助で(生き神さまのように)犠牲的精神を発揮した日本人の様子を描いており、その中で現地の日本語「津波」を「tsunami」と表記したことが元となり「tsunami(ツナミ)」は国際語として活用されるようになりました。
ラフカディオ・ハーンは1850年にアイルランド出身の父・チャールス・ブッシュ・ハーンとギリシャ人の母ローザ・カシマチの間に生まれました。
アイルランドはいまでこそ独立国ですが当時はイギリスの植民地でした。
彼は3人兄弟の次男であり、長男は夭折、弟は後に訪米し農業経営者となります。
父親のチャールスはイギリス陸軍の軍医でした。
同じくイギリスの保護領(英国軍管理下)であったギリシャの島(1864年にギリシャに編入)に軍医として駐在していた際に、現地の名士の娘・カシマチを見初めて結婚、ラフカディオ・ハーンが誕生しました。
ラフカディオ・ハーンはギリシャ生まれですが国籍はイギリス、両親の当初の出自の国とは異なっていました。
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カバー画像出展:Wikipedia掲載画像
※1画像出展:Wikipedia掲載画像
※2This image was originally posted to Flickr by Boston Public Library at https://www.flickr.com/photos/24029425@N06/2350799690. It was reviewed on 17 March 2015 by FlickreviewR and was confirmed to be licensed under the terms of the cc-by-2.0.
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